コラム

 公開日: 2015-10-02 

大人の発達障害~職場にこんな人はいませんか?

 職場に次のような周りととちょっと違った社員はいませんか?

 ・顧客が話しているのを遮って、関係に無い話を一方的に始める。
 ・机の整理整頓が出来ず、よく書類を紛失する。
 ・仕事の納期を守れない。(何度言っても)
 ・冗談を真に受けて怒り出し、その場の雰囲気を悪くする。
 ・何度言っても同じミスを繰り返す。仕事を覚えられない。

 これはその人の性格や個性ではなく、大人の発達障害に原因があるかもしれません。

発達障害とは

 発達障害とは、脳機能の発達に偏りがある脳機能障害です。
ですから上で例示した周りからは問題と感じる行動も、本人は決して故意にしている訳ではなりません。あくまでも脳の障害である、ということを理解してあげなければなりません。

 発達障害の特徴を簡単に分類すると、次のようになります。
これらの特徴は人や障害の程度によって、強弱も含めて多様な現れ方をします。たとえ特徴に当てはまるからといって、必ずしも全ての人が発達障害という訳ではありません。

(1)注意欠陥・多動性障害(ADHD)
 ・人の話を最後まで聞けず、話に割り込んで自分の話したいことを一方的に話す。
 ・忘れ物やイージーミスが多い。
 ・整理整頓が出来ない。
 ・信号や標識の見落としなどで事故を起こしやすい。
 ・仕事が計画的にできない。
 ・いわゆるKYな発言が多い。
 
(2)自閉症スペクトラム障害(自閉症、アスペルガー症候群など)
 ・暗黙のルールがわからない。
 ・こだわりが強い。頑固である。
 ・冗談やユーモアが通じない。
 ・急な予定変更など、変更や変化などの予想できないことを嫌う。
 ・完璧主義の思考になりやすい。
 ・音に非常に敏感になる。

大人の発達障害と注意すべき対応

 従来、発達障害は子どもに特有のものであると思われがちですが、障害が軽く、個性や性格の問題と誤解していたり、専門医が少ないなど、適切な診断・治療が行われず、症状が改善されないまま大人になったり、大人になってから気づくケースも多くなっています。
 そのため、就職等でいざ社会に出てみると、社会生活に支障をきたすことになり、もはや個性や性格で理由づけることが出来なくなります。

 例示したような問題行動は脳の機能障害が理由なので、いくら注意しても、何度教えても同じことを繰り返します。その結果、職場の雰囲気は悪くなり、顧客との信頼関係が崩壊し、会社の利益を害することにもなりかねません。上司の方も段々強い口調で指導してしまうことでしょう。

 しかし何度も繰り返しますが、これは本人の性格や心の問題ではなく、脳機能の障害なのです。いくら言ってもそのままでは改善しません。

 この場合注意しなければならないのは、発達障害の人は一般にストレスに対する抵抗力が弱く、さらに仕事でミスや失敗を繰り返すことが多いので劣等感や疎外感を抱きやすくなり、その結果、うつ病などの精神疾患を併発しやすくなります。
上司から繰り返し強い口調で怒鳴られたと、パワハラ問題に発展することも十分考えられます。

 そこでまずこの段階で重要な事は、本人や職場など周囲の人が出来るだけ早く発達障害であることに気づき、それを理解することです。
 いつまでも本人の性格の問題として、問題の原因がどこにあるのかを気づかずにいると、本人や会社にとって大きなリスクを抱えることになり、うつ病の併発など、状況の悪化を招きます。

 本人にとっては自分を病気と受け入れ難く、社会のハードルは低くなったとはいえ、まだまだ「発達障害」という病名に抵抗を感じることも多いでしょう。会社が強制的に診察させることも当然出来ません。

 まずは本人と上司、人事担当者、産業医などが、現状で何が問題となっているか、本人はどう思っているのかなどについて話し合うことから始めるべきでしょう。カウンセラーによるカウンセリングも効果的でしょう。

 本人は疎外感・劣等感を抱えていますから、大切なのは本人の気持ちを理解し、受け入れて、その中で「発達障害」という原因も考えられる事、そのために専門医で診断を受けることが今は重要であることを親身になって説明しましょう。

 その結果によって、次の段階として、本人が従事可能な職種、労働環境など、以後の労務管理をどうすべきかの検討が必要となります。



***************************************************************
 やなぎだ労務管理オフィスは、メンタルヘルスを重点業務としています。
 ホームページ: http://www.office87.com
 (一社)産業保健法学研究会 正会員
 社会保険労務士/産業カウンセラー/心理相談員  代表:柳田 真
***************************************************************

【最新セミナー情報】 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 「ストレスチェック制度・集団分析からの職場改善の進め方」(2016年3月15日開催)

   詳細はこちら => http://mbp-tokyo.com/m-yanagida/seminar/3000/

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

この記事を書いたプロ

やなぎだ労務管理オフィス [ホームページ]

社会保険労務士 栁田真

東京都港区赤坂4-7-6 赤坂ビジネスコート4F [地図]
TEL:03-5575-2001

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
人事労務Q&A

A.この場合、基本給に残業代が含まれる旨を就業規則等に明記するとともに、基本給のうちどの部分が残業代に相当する部分なのかを明確に区分する必要があります。 ま...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
社会保険労務士 栁田真さん

企業のよき相談相手を目指す社会保険労務士として(1/3)

 188cmの身長と物腰柔らかな雰囲気が印象的な栁田さんは、20年間システムエンジニアとして活躍してきた経歴の持ち主です。2000年に、当時勤めていた会社で成果主義が導入されると、それまでの和気あいあいとしていた社内が一変、殺伐とした空気の...

栁田真プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

メンタルヘルス問題に強いカウンセラー資格を持った社労士です。

会社名 : やなぎだ労務管理オフィス
住所 : 東京都港区赤坂4-7-6 赤坂ビジネスコート4F [地図]
TEL : 03-5575-2001

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-5575-2001

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

栁田真(やなぎだまこと)

やなぎだ労務管理オフィス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

一度諦めていた弟の障害年金が、先生の熱意と誠意のおかげで1級を受給することができました。

 弟が脳内出血で倒れたのが8年前のことで、さらに当時は年金...

K・F
  • 60代以上/女性 
  • 参考になった数(2

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
社員の様子がいつもと違うと感じたら~「職場不適応症」とは

 昔は五月病。今は職場不適応症。  少し前までよく耳にしていた「五月病」。そもそも五月病という病気は存在...

[ メンタルヘルス ]

ストレスチェックに正直に回答してもらうためには

 昨年12月よりストレスチェック制度がスタートしましたが、当初より受診者がストレスチェックの調査票に正直に回...

[ ストレスチェック制度 ]

ストレスチェック集団分析を職場環境改善にどう活用するか
イメージ

 ストレスチェック検査の結果を集団ごとに集計・分析することは、今回の制度では事業者の努力義務となっています...

[ ストレスチェック制度 ]

どこまで行えば企業は安全配慮義務を果たしたといえるのか?
イメージ

 安全配慮義務とは  労働者に対する安全配慮義務は、労働契約法第5条に「使用者は、労働契約に伴い、労働者が...

[ メンタルヘルス ]

ストレスチェック制度義務化がスタート!制度実施のポイントを確認

 12月1日から労働者50人以上の事業所を対象にストレスチェック制度の義務化が始まりました。実施に向けての準備...

[ ストレスチェック制度 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ