コラム

 公開日: 2015-08-07  最終更新日: 2015-08-27

ストレスチェック制度における産業医の役割

実施者=責任者のイメージ

 ストレスチェック制度の施行まで4か月を切りましたが、企業の担当者の方から、「産業医がストレスチェック実施者となることに抵抗を感じている」とご相談を受けることが多いです。この抵抗感の背景として、「ストレスチェック制度に関する責任の所在は、実施者にある」、というイメージが広く定着していることにあるのではないでしょうか。

 今回のストレスチェック制度において、実施者に求められている責任とはどのようなものなのでしょうか。

産業医の役割

 「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導の結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(H27.4.15)において、ストレスチェック制度における産業医の具体的な役割を、次のように示しています。
1)ストレスチェックの実施
 ストレスチェックは事業場の産業医等が実施することが望ましい。ストレスチェックの実施の全部を外部に委託する場合にも、事業場の産業医等が共同実施者となり、中心的役割を果たすことが望ましい。

2)面接指導の実施
 面接指導は当該事業場の産業医等が実施することが望ましい。

3)事業者による医師の意見聴収
 事業者は、労働安全衛生法第66条の10第5項の規定に基づき、医師から必要な措置についての意見を聴くに当たって、面接指導を実施した医師が、事業場外の精神科医又は心療内科医等である場合等、事業場の産業医等以外の者であるときは、事業者の事業場の産業医等からも面接指導を実施した医師の意見を踏まえた意見を聴くことが望ましい。

 表現上は「望ましい」となっていますが、実質的には、産業医は事業場における労働者の健康管理等の取組の中心的役割を果たすことが法令上想定されており、そのため、産業医がストレスチェック及び面接指導を実施する等、ストレスチェック制度における中心的役割(=実施者)を担うことが求められているといえます。

 このように、産業医がストレスチェック制度の実施者となることが現実的であるとした場合、何をしなければならないのか、何に責任を持たなければならないのでしょうか。

実施者の役割

 ストレスチェック制度において、実施者が直接行わなければならないとされているのは、次の3点のみなのです。

(1)事業者がストレスチェックの調査票を決めるに当たって、事業者に対して専門的な見地から意見を述べること。
(2)事業者が高ストレス者を選定する基準や評価方法を決めるに当たって、事業者に対して専門的な見地から意見を述べること。
(3)個人のストレスの程度の評価に基づき、医師による面接指導を受けさせる必要があるかどうかを判断すること。

 例えば次のような事項は、実施者が他の実施事務従事者に指示すれば、自ら行わなくても良いとされています。
 ・個人のストレスチェック結果について記録を作成すること。
 ・個人のストレスチェック結果を本人に通知すること。
 ・個人のストレスチェック結果を集団的に分析し、その結果を事業者に提供すること。
 ・面接指導が必要と評価された労働者に対して、医師による面接指導の申出を行うように勧奨すること。
 ・個人のストレスチェック結果の保存(事業者から実施事務従事者へ指示)

役割分担の明確化により、制度に対する理解を求める

 ストレスチェック制度の実施責任を負うのは事業者であり、実施者は専門的な立場として事業者に意見を述べたり、医学的判断を行います。これは産業医として求められている役割の範疇であり、それ以上の責任を負わされることではありません。
 「実施者」という言葉だけが独り歩きしないように、お互いの役割分担を明確にし、ストレスチェック制度に対する理解と協力を求めていきましょう。

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