コラム

 公開日: 2015-07-29 

メンタルヘルス裁判で問われる使用者責任

労災で使用者の補償負担軽減

 労働者が就業中に業務が原因となって怪我や病気になった、障害が残った、死亡した場合等には、労災保険(労働者災害補償保険)より必要な保険が給付されます。これらの業務上の災害については、労働基準法に、使用者が療養補償その他の補償をしなければならないと定められています。
 
 そこで、労働者が確実に補償を受けられるようにするため、及び使用者の補償負担の軽減のために労災保険制度が設けられ、労働者を一人でも使用すれば強制的に適用事業となり労災保険料の納付が義務付けられることになります。それにより、労働者が労災保険による補償給付を受けた場合は、使用者は労働基準法の補償義務を免除されることとされています。

労災認定は終わりではなく、始まり

 前述したように、労災保険制度による給付は、あくまでも使用者の「労働基準法上の補償義務」が免除になるだけなのです。
そして労災保険による給付が受けられるということは、言い換えれば業務による災害であることが認められたということになり、その原因が使用者側にあると労働者側から損害賠償請求の訴訟を起こされた場合、かなりの確率で責任を問われる結果となります。
 具体的には次のような事例があります。
・労働者が長時間労働を行っていること知っていたのに、業務量の調整、人員配置の見直し等、何も改善策を取らず、労働者が精神疾患に罹患し自殺した。
・上司のパワハラが原因で労働者が自殺したが、会社はパワハラ防止などの管理者教育を行っていなかった。
 使用者が損害賠償責任を問われた場合には数千万円、不幸にも労働者が自殺した案件では、億単位の賠償金支払いが命じられることになります。

将来のリスクのために

 最近はセクハラ・パワハラによる精神疾患、自殺に伴い、使用者の安全配慮義務違反を問われる事例が多く見受けられます。大切な事は、管理者研修等を積極的に実施し、ハラスメントが起きない、起こさない職場環境を整備することです。また一方でハラスメントが発生した場合には、相談窓口設置による支援体制の構築、再発防止策の検討など、社内全体としての取り組みが必要です。
 
 何か起こってからでは遅いのです。今、社内で何が問題となっているか、何が出来て何が出来ていないのか、そのリスクの大きさを考慮し、優先順位を付けた計画的なリスク管理が求められます。



***************************************************************
 やなぎだ労務管理オフィスは、メンタルヘルスを重点業務としています。
 ホームページ: http://www.office87.com
 (一社)産業保健法学研究会 正会員
 社会保険労務士/産業カウンセラー/心理相談員  代表:柳田 真
***************************************************************

【最新セミナー情報】 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 「ストレスチェック制度・集団分析からの職場改善の進め方」(2016年3月15日開催)

   詳細はこちら => http://mbp-tokyo.com/m-yanagida/seminar/3000/

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

この記事を書いたプロ

やなぎだ労務管理オフィス [ホームページ]

社会保険労務士 栁田真

東京都港区赤坂4-7-6 赤坂ビジネスコート4F [地図]
TEL:03-5575-2001

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
人事労務Q&A

A.この場合、基本給に残業代が含まれる旨を就業規則等に明記するとともに、基本給のうちどの部分が残業代に相当する部分なのかを明確に区分する必要があります。 ま...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
社会保険労務士 栁田真さん

企業のよき相談相手を目指す社会保険労務士として(1/3)

 188cmの身長と物腰柔らかな雰囲気が印象的な栁田さんは、20年間システムエンジニアとして活躍してきた経歴の持ち主です。2000年に、当時勤めていた会社で成果主義が導入されると、それまでの和気あいあいとしていた社内が一変、殺伐とした空気の...

栁田真プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

メンタルヘルス問題に強いカウンセラー資格を持った社労士です。

会社名 : やなぎだ労務管理オフィス
住所 : 東京都港区赤坂4-7-6 赤坂ビジネスコート4F [地図]
TEL : 03-5575-2001

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-5575-2001

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

栁田真(やなぎだまこと)

やなぎだ労務管理オフィス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

一度諦めていた弟の障害年金が、先生の熱意と誠意のおかげで1級を受給することができました。

 弟が脳内出血で倒れたのが8年前のことで、さらに当時は年金...

K・F
  • 60代以上/女性 
  • 参考になった数(2

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
社員の様子がいつもと違うと感じたら~「職場不適応症」とは

 昔は五月病。今は職場不適応症。  少し前までよく耳にしていた「五月病」。そもそも五月病という病気は存在...

[ メンタルヘルス ]

ストレスチェックに正直に回答してもらうためには

 昨年12月よりストレスチェック制度がスタートしましたが、当初より受診者がストレスチェックの調査票に正直に回...

[ ストレスチェック制度 ]

ストレスチェック集団分析を職場環境改善にどう活用するか
イメージ

 ストレスチェック検査の結果を集団ごとに集計・分析することは、今回の制度では事業者の努力義務となっています...

[ ストレスチェック制度 ]

どこまで行えば企業は安全配慮義務を果たしたといえるのか?
イメージ

 安全配慮義務とは  労働者に対する安全配慮義務は、労働契約法第5条に「使用者は、労働契約に伴い、労働者が...

[ メンタルヘルス ]

ストレスチェック制度義務化がスタート!制度実施のポイントを確認

 12月1日から労働者50人以上の事業所を対象にストレスチェック制度の義務化が始まりました。実施に向けての準備...

[ ストレスチェック制度 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ