コラム

 公開日: 2015-07-14 

セクハラと使用者責任

セクハラが原因の精神疾患も労災に

 記憶に新しい事ですが、今年の初め、某かつらメーカー大手企業において、店舗勤務していた元従業員の女性が、上司の男性従業員からセクハラを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり退職せざるを得なくなったとして、同社に約2700万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪地裁で和解したことが判明しました。

 このようにセクハラが原因で精神疾患を発症した場合にも、業務起因性が認められ労災認定されることがあります。厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(平成23年)では、セクハラによる被害も心理的負荷となる出来事とされています。
 
 その負荷強度は、①セクハラの内容、程度等、②その継続する状況、③会社の対応の有無及び内容、改善の状況、職場の人間関係等により総合評価されますが、身体接触を含むセクハラや人格を否定する性的な発言が継続的に行われた場合や、会社側が適切な対応を講じなかった場合には、心理的負荷の強度が「強」と判断されることがあります。心理的負荷が「強」と判断された場合には、原則的に業務起因性が認められることになります。

損害賠償責任も

 セクハラの事実が確認された場合、加害者が被害者に対して民法の「不法行為責任」を負うことになりますが、使用者も「事業の執行について」セクハラ行為が行われたのであれば、加害者の使用者として同じく民法の使用者責任を問われ、加害者と連帯して損害賠償責任を負うことになります。前述したような労災が認定された場合には、ほぼ使用者責任を問われることになります。
 また使用者は、労働者の就労環境が害されることのないようにすべき注意義務を負っており、働きやすい職場環境を維持する義務を負っていますから、それらの義務に違反した際には、民法上の不法行為責任や債務不履行責任を負うことになります。
 これらの責任は、会社が被害者からの相談など、セクハラの事実を認識していながら何も対処しなかった場合などに厳しく問われる傾向にあります。

使用者の義務と責任

 男女雇用機会均等法では、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と定めています。
 
 また、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(厚生労働省:平成18年)においては、労働者からの相談窓口を定めるとともに、相談の申し出があった場合には、事実関係を迅速かつ正確に確認し、事実が確認できた場合には行為者・被害者に対する適正な措置をとり、また、相談者・行為者のプライバシー保護のための必要な措置を講じなければならないことが定められています。
 このようにセクハラについては、会社は法律上の義務を負っており、損害賠償責任を負うことにもなるので、日頃からその発生を防ぐ努力をすることはもとより、発生した後についても迅速かつ適切な対応をとることが大切になります。


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