コラム

 公開日: 2014-04-21  最終更新日: 2015-08-21

労災認定される可能性の高い、時間外労働時間数は何時間?

 長時間労働による心身への影響は、一般に広く認められているところですが、
では、時間外労働時間数がどの程度で「仕事が原因」と認められる(労災認定)のか、国の二つの労災認定基準から具体的な数字を追ってみましょう。

 ※実際の認定は、他の要件も含め総合的に判断されます。今回は要件の中で、特に「長時間労働」に焦点を当てたものですので、その旨ご了承ください。

脳・心臓疾患の労災認定基準

 厚生労働省の通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について(平成13年12月12日付)」による、労働時間の評価の目安は次のようになります。

 (1)おおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まると評価できる
 (2)発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間、発症前3か月間、発症前4か月間、発症前5か月間、発症前6か月間のいずれかの期間において、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症の関連性が強いと評価できる 

精神障害の労災認定基準

 次に平成23年12月に定められた、厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準」によると、次のいずれかの条件を目安として、労災認定の要件の1つである「業務による強い心理的負荷」を評価します。

 (1)発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合
 (2)発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
 (3)発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
 (4)発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
 (5)他の出来事(転勤後の新たな業務への従事など)の前後に月100時間程度の時間外労働を行った場合

まとめ

 以上の2つの認定基準から、目安として「月100時間の時間外労働」はレッドカード、「月80時間の時間外労働」はイエローカードと考えた方が良いでしょう。
 労災が認定されると、民事の損害賠償請求訴訟となった場合には、使用者側が「安全配慮義務違反」で敗訴する確率が高くなります。(労災認定=仕事に原因)
その意味でも労働時間管理は企業のリスク管理として、最重要事項としなければならないのです。

 ところが、最近の裁判において、もっと少ない時間外労働時間数でも業務起因性(仕事が原因)を認める判決が増えています。その理由については、次回お話させていただきたいと思います。


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