コラム

 公開日: 2013-04-10  最終更新日: 2015-08-21

労働契約法改正 無期転換申込権を行使された際の実務対応

 前回に引き続き、4月1日に施行された改正労働契約法の実務対応についてお話させていただきます。
今回は、実際に該当する従業員から、無期転換申込権を行使された際の注意事項等を説明いたします。

無期転換申込み=正社員化ではない


 まず誤解しないでいただきたいのは、無期転換申込権を得た従業員から無期転換の申込みを受けた場合、それは単に「無期労働契約」への雇用形態の転換であり、自動的に「正社員」への移行を意味するものではないということです。要は「正社員」と「非正規・有期労働契約者」の間に準社員的な「無期転換者」を創設するということです。ということは、待遇、労働条件など、「正社員」、「非正規・有期雇用者」どちらにも該当しないということになり、人事労務管理上、宙に浮いた層が存在することになります。

 これ問題を解決するには、「無期転換者用の就業規則」や「準社員就業規則」などを作成し、人事労務管理上対応することが必要となります。また、正社員登用制度により、労働者の能力に応じた人材活用を検討する必要もあります。

無期転換申込み手続きのルールづくりはどこまで可能?


 法律上、無期転換の申込みは5年超の有期労働契約満了日前までに行えば良いことになっています。しかし間際の申込みでは、代替要員の準備や受け入れ体制等、使用者側にとってはあまりにも不都合なことが多すぎます。
 そこで、運用ルールとして「契約期間満了前1ヵ月までに申込み」のような、合理的な申込期間の設定であるならば、転換権の申込期間に制限を設けることは可能と考えられます。また、意思表示を明確にするために、書面による申し込みとすることもよいでしょう。

 さらに申込み後の注意点としては、申込みをした従業員からの撤回を認めたり、転換後無期雇用契約の開始日前に、従業員としての不適格、不都合事由や懲戒解雇などの解雇事由が生じた場合には、無期転換による新規契約を取り消す場合もあることを明示しておくことも重要です。

 そして、無期転換雇用は、使用者と労働者との間の新規労働契約となります。そのため使用者は、労働基準法第15条に基づき、労働条件の明示が求められます。

無期転換時に労働条件を変更できるか?


 労働契約法第18条第1項の規定及び厚生労働省の通達によると、就業規則や労働協約等により、「別段の定め」をすれば、期間の定め以外の労働条件を変更することは可能と解せられます。

 この条文の解釈については、法律の専門家の間でも、「そもそも無期転換雇用は、契約の「更新」ではなく、新たな契約の成立であるから、就業規則の不利益変更の適用はない。」というものと、「就業規則で「別段の定め」をした場合、その労働条件が従前より不利益なものとなったときには、就業規則の不利益変更となる。」という異なる考え方に分かれています。

 この問題に関しては、厚生労働省から「明確な」判断も示されておらず、裁判例も無いことから、どちらの考え方が正しいとは言えません。現時点では、無期転換時の労働条件変更、特に不利益となるような事項については、慎重な取り扱いをせざるを得ないということになります。


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