コラム

 公開日: 2013-04-05  最終更新日: 2015-08-21

労働契約法改正 今から必要な無期転換申込みに対する実務対応

無期転換申込みの発生は5年後だからと安心していませんか?

 ご存知のように、4月1日より労働契約法の改正が施行されました。
主な内容は以下のとおりです。
(1)有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(無期転換申込権の発生)
(2)「雇止め法理」の法定化
(3)期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

 このうち(1)は、有期労働契約が一定の要件を満たし、5年を超えて反復更新された場合に、当該有期労働契約の期間満了前に労働者が無期労働契約の締結の申込み(無期転換申込み)をすると、使用者はその申し込みを「承諾した」ものとみなされてしまう、使用者側にとって「採用の自由」を規制される内容となっています。

 この有期労働契約の年数の通算は、平成25年4月1日以降に新たに締結される契約からなので、1年契約・更新の有期労働契約ならば、最初の無期転換申込みが発生するのは、平成30年4月1日になります。
 まだまだ先のこと、と思われるかもしれませんが、今からの準備が後々のトラブル発生リスクを軽減することになるのです。

無期転換申込権の放棄は可能か


 通算5年を超えることになる有期労働契約締結前(締結して初めて権利が発生)に、あらかじめ労働者に将来の無期転換申込権を放棄させることは、公序良俗に反し許されません。

 しかしながら、年収を非課税控除対象配偶者の範囲内にしたいなど、労働者にもその必要性があり、合理性のある場合には、無期転換申込権を行使しないことを雇用契約書に明記し、締結することは有効だと考えられます。

 ただしこの場合でも、無期転換申込権が発生する前の「事前放棄」については、合理性が認められないとする説が多数であるため、慎重な対応が必要でしょう。

有期労働契約を最長5年間で終了するとの定めは可能か


 この問題は、(1)平成25年4月1日以降に新規で有期労働契約をする場合と、(2)平成25年4月1日現在、有期労働契約を締結中の労働者の場合とでは、その対応方法、難易度、法的リスクの大小などに大きな差があります。

 (1)の場合は、新規契約時に、労使の「合意」の上で「5年を超えて更新することはない」旨の特約を定めることは可能であると考えられます。また、その後も毎年の更新時に確認をすることが、トラブル回避の上で重要になります。

 一方、(2)の場合においても、前提は労働者本人から「合意」を得ることです。
では、労働者が合意しなかった場合にはどうするのか。対応方法として、以下の2つの方法が考えられます。

ア)契約満了日をもって雇用の終了(雇止め)とする。
 ただし、それまでの有期労働契約の更新回数、更新手続き、契約更新に関する使用者の言動などによって、労働契約法19条の雇止めの有効性についての法的リスクが高くなります。

イ)一応契約更新をして、今後5年間の間に労働者本人と協議を続け、最終更新日までに合意を得るようにする。(一時金等の支給を条件にすることも検討)

無期転換申込権を発生させないために


 前段では、個別の有期労働契約にて、無期転換申込権を発生させないため、有期労働契約が5年を超えないような定めをする際の対応方法を説明しました。

 さらに、有期雇用者に適用される「契約社員就業規則」、「嘱託者就業規則」や「パートタイマー就業規則」といったものにおいても、5年を超える更新はしない旨を定めて、無期転換申込権を発生させない制度とすることが必要になります。

 ただし、この場合でも個別契約と同じで、今後新たに採用される人(前段(1))には有効に適用されるますが(個別契約でもその旨を明示しておく必要あり)、従前から雇用している有期労働者(前段(2))については、労働者の「合意」があれば有効となりますが、合意がなければ就業規則の不利益変更の問題となりってしまいます。

 とはいえ、合意が得られなかった場合でも、国や地方公共団体等からの予算や補助金等によって経営が左右される企業や、国や地方公共団体等からの仕事を入札制度によって受託している企業等の場合には、1年毎に状況が変わるため、無期転換しても今後の雇用の保障ができるはずはありません。

 このように、使用者側の経営上の事情や労務人事管理上の必要性、業態の特殊性等といった個別の事案によって就業規則変更の合理性を考えなければならないはずです。

今から継続的に慎重な対応をすることが重要


 以上、今回は無期転換申込権を発生させないために必要な実務対応について、簡単に説明させていただきました。

 ご理解いただけたと思いますが、特に平成25年4月1日現在、すでに有期労働契約を継続中の労働者に対して、無期転換申込権を発生させないためには、かなりハードルが高いものとなっております。中央突破では法的リスクが高すぎるのです。
 そのハードルを少しずつ低いものにし、目的を達成するためには、今現在から継続的に丁寧で慎重に粘り強い対応をしていく必要があるのです。


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