コラム

 公開日: 2013-01-15  最終更新日: 2015-08-21

高次脳機能障害の障害年金請求手続き

 今回のご依頼者はAさん(仮称)、男性57歳。

 平成15年12月に脳出血のため自宅で倒れているところを外出から戻った配偶者が発見し、緊急搬送後、開頭手術。しかし、高次脳機能障害として記憶障害及び運動障害が残ってしまいました。

 運が悪いことに、その配偶者が平成17年にお亡くなりになり、以後、ご兄弟が引き取り同居されています。

 その後、てんかん発作で何度も緊急搬送されたり、歩行困難など症状が進みパーキンソン病の疑いがあると診断されました。ご兄弟も障害年金の請求を考えたらしいのですが、脳出血で倒れた当時、会社を辞めた後で年金保険料も2年間ほど納めておらず、受給は困難だと思って申請をしていなかったそうです。

◎◎ 第一のポイント、保険料納付状況 ◎◎

 まず最初に、保険料納付状況の確認をする必要があります。
Aさんの年金手帳と委任状を持参し、年金事務所にて記録照会を行いました。事前に伺っていたとおり初診時は未納期間でしたが、幸いなことに会社勤務期間が長く、いわゆる3分の2要件(簡単に言いますと、初診日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計月数が3分の2以上ある)を満たすことが判明しました。
 これで、保険料納付の問題はクリアです。

◎◎ 第二のポイント、受給開始はいつから ◎◎

 次は最初の緊急搬送が9年前のことなので、カルテが残っているかどうかです。カルテが存在し、障害の程度が認められれば、最長5年間遡って受給できるからです。
 しかし、予測はしていましたが結局カルテは残ってなく、現在の障害の程度による申請とすることにしました。

◎◎ 最大のポイント、受給決定に最大の影響を持つ診断書の作成 ◎◎

 Aさんの主治医は、週1回の診察で、さらに緊急手術があれば診察そのものがキャンセルとなるため、なかなか診察を受けることが出来ない状態が続きました。
 7月下旬にAさんご兄弟より、現在診察中で外来診療時間終了後、17時以降に再度ヒアリングを行いながら診断書を作成するとのご連絡をいただきました。
 
 診断書の内容は、それ自体で年金受給決定の結果が左右されてしまう非常に重要なもののため、私の場合は、主治医の承諾を得て診察に同席させていただき、診断書の項目を一つずつ確認しながら作成していくやり方をしています。
 これが当然のやり方だと認識していたのですが、主治医の先生から「こんな社労士は初めて。Aさんラッキーだったね。普通は医者に書いてもらってと渡すだけだから。こちらとしても何をどこまで記入するかわからない時があるので、専門家に同席してもらうのは助かる。」といった、意外(?)なお言葉を頂戴しました。
 年金用の診断書は記入項目も多く、作成するのは非常に労力を使います。ご多忙な医師の方々に時間を割いてもらう訳ですから、時間を効率的に内容も正確に作成していただくために我々社会保険労務士も積極的に協力するべきだと思います。

◎◎ 申請、そして ◎◎

 その後申請書類一式を準備し、8月上旬に区役所国民年金係に申請書類を提出しました。窓口担当者には「今は決定まで3ヶ月掛からない」と言われましたが、実際には決定通知は12月中旬に。
 障害基礎年金1級に認定され、Aさんのご兄弟に感謝していただける結果となり、改めて社会保険労務士としての存在意義を感じることとなりました。

◎◎ 大切なこと ◎◎

 今回の事例は、当時の障害の程度にもよりますが、もっと早く障害年金の請求を行っていれば、カルテが残っており、遡っての受給が可能であったかもしれません。また、例えカルテが残っていなくても、年金受給はずっと前から始められたかもしれません。
 
 このように障害年金の受給資格などの仕組みは複雑なので、あきらめないで専門家である我々社会保険労務士にご相談されることを強くおすすめいたします。



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