コラム

 公開日: 2016-09-18 

既存住宅選択基準は新築にも共通する。劣化診断結果は最終の判断?

日本では空き家が820万戸(不明を含めれば850万戸)となり「空家対策特別措置法」の成立や、昨年度の住生活基本計画の新全国計画における既存住宅の活用方針なども受け、「40歳未満の既存住宅購入者への補助」「住宅セーフティネットとしての空き家活用」「仲介時の劣化診断斡旋、報告義務」など既存住宅流通促進策が進められようとしています。

今回のコラムでは、個別性の高い戸建既存住宅の選択基準を考えてみたいと思います。
その基準は将来の既存住宅になる新築住宅を求める方にも参考になると思います。(「中古住宅」という言葉のイメージが普及になじまないせいか、2002年既存住宅性能表示制度の開始より「既存住宅」が政策上の文言として使われています)

検討項目の順番は優先順位につながる

戸建既存住宅を検討するにあたり、多少前後するかもしれませんが、一般の方が考えられる検討項目、順番は下記の順番ではないでしょうか。
1、立地(希望エリア、交通アクセス、災害リスク、周辺環境など)
2、価格
3、建物条件(面積、配置、性能、プラン、変更難しい箇所、メンテ履歴、劣化状況など)
4、敷地条件(接道要件、面積、寸法、高低差、用途地域など)

最近、「建物劣化診断」を取り上げる記事が多くなっていますが、建物を長期に継続して利用することを考えた場合、選択基準として劣化診断は、上記検討項目の中でも最後の方にくる検討項目(最終判断材料)になると思われます。むしろ建物条件のなかでは、建物の性能がどの状態になっているかが重要です。

難しいことですが、まずは建物条件以外の条件を満たし、将来、売却や賃貸化しにくい負動産にならないような「見極め」が重要です。価格、劣化診断結果が購入者の条件を満たしているとしても、それだけでは必要十分条件ではありません。

適正価格は自身のライフプランキャッシュフローをチェック

販売価格は最終検討項目?
あえて負動産にならないように、戸建の既存住宅の検討項目順を考えると①立地、②敷地条件、③建物条件、④価格になるのではないでしょうか?

まず、物件情報の中で最初にエリアと価格が目に入ってしまいますが、①、②、③を満たさず、価格に注目しすぎてしまうのも危険です。むしろ適正購入価格は購入者個々のライフプランによるキャッシュフローからも判断する必要があります。

さらに、「とりあえず、購入後にリフォーム工事をし、気に入らなければ数年後に建替えすればいい」という考えは、いざ「建替え」と思いたっても追加融資が受けられず、資金的に厳しくなる可能性もあります。その場合、残債が残ったままでも、建替え費用を踏まえた資金計画、借入計画の可否検討を事前にしなければなりません。

①、②の項目の一部について以前のコラムでも取りあげていますので、参考にご覧ください。

劣化診断の前に既存住宅の初期性能に着目

①、②の条件を満たしたとし、次の検討項目である建物条件の内、建物性能に着目してみましょう。

既存住宅購入する場合でも、10年未満の短期的な利用ではなく、リフォーム工事を実施し、数十年利用することを想定されている方が大半と思います。数十年の使用期間であれば、「住まいは家族を守るシェルター」としての性能チェックも必要です。
どうしても既存住宅の場合、設備、内外装のリフレッシュ工事が中心となり、性能向上の改修工事コストに重点を置き、検討される方は逆に少ないと思われます。

住宅コストは購入時の初期コストだけではなく、ライフプラン・相続・売却も考え、使用期間も念頭に入れたライフサイクルコストでの検討も必要です。
また、その考え方は将来確実に既存住宅となる新築住宅を購入(新築)する際にも参考になると思われます。

建物性能から見て、少ない次世代に継承可能な既存住宅

国交省で推計された「建物性能別ストック数」をみてみますと、戸建持ち家の内、3つの性能を満たし、次世代に継承可能な住宅とされるストック数は3%台とまだ少数です。既存住宅を探す場合、エリアを限定して探すことが一般的ですから、ある程度性能を満たした既存住宅に出会う確率はさらに低くなります。

しかも、その3つの性能は新耐震基準(1981年基準)、平成4年省エネ基準(断熱等性能等級3)、室内段差無し、トイレ、浴室手すり付のバリアフリー基準(高齢者等配慮対策等級2)と現在の新築住宅の水準と比べ、劣る内容になっています。

住宅性能を決める建築基準法は最低守るべき基準を定めています。大災害が発生するたび、また時代の趨勢から、その基準が見直しされ強化されてきました。既存住宅を検討される場合、リフレッシュ工事コストだけではなく、性能向上の可否、コストも加味し物件検討する「見極め」が必要と思います。




さらに利活用可能な「空き家」は意外と少ない




活用問題や相続、実家問題のテーマとして、取り上げられることが多くなっています「空き家」の現状を性能別にとらえてみます。

「賃貸空き家」「売却用の空き家」を除いた、「その他空き家」の内、利便性の高い空き家は全国で推計48万戸と国交省で推計されました。空き家全体の6%弱、その他空き家の15%しかありません。

地方において、立地の優劣判断が駅からの徒歩圏であることは、少し無理があるかもしれません。しかし、今後の少子高齢化に向け、コンパクトシティ化を進めざるを得ないことも考慮しますと、物件の立地が最寄りの交通機関からの徒歩圏エリアであることは、重要な要素であると思います。

性能、立地の面から、「その他空き家」の大半は除却を前提で検討された方が良さようです。

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