コラム

 公開日: 2015-12-27 

ハードルが高い特例 「空地」=建築基準法43条第1項但し書き扱いとは

道路形態は形成されているのに規準(幅員、隅切り寸法、転回広場など)に適合しないためか位置指定道路の申請がなされず、その「道」の周囲に接道などの法令に反した状態で複数の建物が建築されてしまっている敷地があります。高度成長期に宅地化された都市部の住宅地などにみられます。
建築基準法の道路ではない「空地」の扱いを受ける、いわゆる「協定道路」について、取り上げてみたいと思います。


建築基準法42条2項道路と見分けがつきにくい不適合の道


今回のテーマの状態を説明しますと、「道」の部分(建築基準法の道路扱いでないので道と表現させてもらいます)を位置指定道路申請せずに土地分筆のみを行い、道路形態(側溝など)の整備がされ、その周囲の土地に複数(3軒以上)の建物が違法に建築されているケースです。見た目には建築基準法42条2項道路のように法令に適合した道路と見分けがつかないような事例もあります。
本来であれば土地を道路として使うためには位置指定道路の規準に合う申請手続を行い、工事の完了検査合格後に公報にて告示を受け、認定される必要があります。

このように既存建物が違反状態になった経緯を予想しますと、当該敷地での建築確認申請の際に、その「道」の部分を敷地延長部として重複利用し建築基準法に反して申請がなされたことと思われます。


道路問題は法律の認識不足が原因か



以前のコラムでもご説明しましたが、建築確認申請では敷地の所有権の審査は行われません。提出された申請が基準法に適法か否かの審査です。接道のために他人の土地を敷地として利用するならば、本来ならば借地契約を結び第三者に対し排他的に使用できる権利を整えるべきですが、安易に建築確認許可取得の為に、他者の土地や既に建築敷地として利用された土地を別の建物の敷地として重複利用されてきたことがまず原因として考えられます。

関係者は借地契約を結ぶわけでもないので、所有権などの問題は発生しないと思い込み、建築基準法上の問題をはらむ認識は無かったかもしれません。また、ただ単に建築確認許可を取得することを目的にし、不動産業者、設計者、施工会社から施主や関係者に対し利害関係を正しく認識できる適切な説明がされたか疑問も残ります。「不法行為になりますが、当社は責任をとれません。それでも良いですか」と施主から念書を取るわけにもいきません。

さらに「道」の部分の登記上の地目区分が「公衆用道路」であれば建築基準法の道路扱いになっていなくとも「だれでも利用できる公的な道路」と誤解されていたケースもありました。関係者に説明するたびに「公衆用道路」の地目名称は変えた方が良いと、いつも思っていました。

行政側も台帳整備、係員の現場審査体制が整わない時代があったことや、性善説で確認申請がなされているとの前提であることも問題発生の背景として考えられます。
以前は自己資金であれば建築する場合は可能であったかもしれません。しかし現在は住宅ローン利用の際の権利関係の審査や行政側の申請記録の整備も進み審査が厳密になされますので新たに不適合な状態が発生することは無いと思われます。


注意したい袋小路状道路! 終端部敷地のチェックを


このような事例は袋小路の道(行き止まりの道)の形態に見られます。その「道」全体がまったく位置指定道路の扱いを受けていないか、もしくは、位置指定道路の終端部がいつのまにか違法に延長された状態で道が形つくられ、本来ならばそこに2軒の専用住宅しか建築できないところ、4軒、5軒と敷地延長部を重複利用により建築されたものがありました。特に袋小路状の場合、道路終端部は注意して関係書類をチェックする必要があると思います。

上記のような状態で建築が複数なされた敷地の救済的な措置があります。接道義務に法令の但し書きを適用し、種々の条件が付く場合もありますが、建築基準法の道路に接道したものと同じような扱いをする制度です。特殊ですが、接道義務が規定されている目的を理解するにも良い例になると思います。


特例要件「建築基準法43条第1項但し書き(以下43条但し書き


建築基準法43条第1項には下記のような但し書きの記載があります
建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならない。ただし、その敷地の広い周囲に広い空地を有する建築物、その他国土交通省令定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防炎上及び衛生上支障のないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについてはこの限りではない。

特例なので但し書きの方が長い法文になってしまいます。
要約しますと、建物の周囲に公園、広場、緑地、寺社の参道など広い空地が確保される場合は、その建物が基準法の道路に接道する義務を規定しないということです。上記に挙げた空間に隣接している敷地は実質的に防災上の避難通路、採光、通風が確保されるケースが多いです。公園の売店や参道の売店も建築基準法の道路に接道しなくとも建てられることになります。






「空地」扱いの適用は高いハードル


行政側も時代背景を考慮し、専用住宅建築、従前と同じ用途の建築であれば、救済措置的に一定の条件を加え、「43条の但し書き」の適用を認めているケースがあります。ここであくまでも建築基準法上の道路ではなく「空地」としての扱いです。見た目にはアスファルト舗装された道路形態もありますので、一般の方にはその「道」が適法か否か違いを理解できないかもしれません。不動産販売図面には「建築基準法43条但し書き適用」と特記欄に記載されています。

「43条但し書き」の手続きとしては、該当する土地所有者の同意を得て「道として利用する協定」(該当土地に建築物、工作物を建築しない旨)を作成しなければなりません。これがその空地(道の部分)の所有者だけでなく、他で接道義務が果たされていても、その空地に接する土地所有者があれば、その方も協定のメンバーとして参加してもらわなくてはなりません。尚且つ実印での押印と署名が必要で、直接の利害関係者でも切迫した建築動機がない限り、必要性を感じなく協力を得られないケースもあります。

その「43条但し書き」の申請図には境界も明示しますので、登記上の境界と整合性を取っておくことが最善です。しかし、それには境界立合い、境界票の設置、地積測量図作成、登記修正など、かなりコストと時間がかかり問題解決の難易度が高くなってしまいます。実情としましては、現況での「43条但し書き」用の境界表示と、図面作成で申請がなされているケースもあると思われます。




法令遵守は不動産価値を保つポイント


この「43条但し書き」の扱いにつきましても、平成11年の法改正で「建築主事の認可」から「建築審査会の同意を得て、特定行政庁の許可」に変更されました。特定行政庁の許可ですので公報に告示されることが要件になります。より許可要件の客観性、公平性が担保されるようになりました。

以前は、一度「43条但し書きの扱い」を受けると、その協定書を添付することで確認申請に進めることが出来ました。法改正後では該当する敷地に建築行為を行う場合、その度に建築審査会の審査を受ける必要があります。時間経過と共に周辺の条件も変わる可能性がありますので、なし崩し的に特例の既得権化を防止するには良い制度かもしれません。「43条但し書き」扱い適用については、土地購入時に合法的に物事を対処することが如何に重要であるか改めて認識させられます。関係者との利害関係を後々調整するには大変な苦労がかかります。

業者は「売ったら終わり」「造ったら終わり」とそれで済まされる部分もありましたが、後々に不正や問題が発覚した場合、事業者の信用を大きく毀損する事態にもなりかねない時代です。「出来ないこと」「法令に反していること」を適切に説明し、無理強いする関係者にも迎合しない業者を選定したいものです。

皆さんが所有しています建物がありましたら、「建築確認申請の副本」の敷地図で接道の道路がどのようになっているか、一度確認してみては如何でしょうか。 

次回は意外と身近にある「がけ条例」にかかる敷地ついて取り上げたいと思います。

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