コラム

 公開日: 2015-10-20 

敷地条件(接道方位、敷地面積・寸法)が決めるもの(2)

冬至南中時の日射し入射角度は31.6° 建物の影は1.63倍

戸建住宅の敷地条件として重要度が高いのは「道路接道面の方位」「敷地面積」「接道面の間口寸法」の順でしょうか。
皆さんも不動産物件のチラシ広告で「日当たりのよい南道路」「通風・日当たりのよい南東角地」などの接道方位のキャッチコピーを良く見かけたことがあると思います。

では、南道路と北道路での日当たり条件の違いがどのようになるか見てみましょう。

東京の場合、冬至の南中時の日射し入射角度は31.6°です。これは南側に建物があった場合、その影が約1.63倍になる角度です。

南に7mの庭が必要になる? 日影の影響を受けない住まい条件

敷地の接道面が北道路の場合、下記条件ですと計画建物と敷地南側境界との距離が7m程になった場合に南側隣地建物の日影の影響を受けず、南道路の敷地と同じような日当たり条件になります。(=敷地南側に南北方向の奥行が約7mの庭が必要になります)
・敷地南側の住宅(お隣さん)が2階建て
・敷地南側の住宅2階北側軒先高さ(敷地と隣接している軒先の高さ)が地盤面より
5.5m(一般的な2階建ての高さ)
・敷地南側の住宅2階北側軒先と敷地境界との離れ1.15m
・計画している自宅の1階床高が地盤面より0.5m
・南側隣地と計画地との敷地高低差無し

では、北道路の敷地で7mの奥行の庭を設けるには、実際どの程度の大きさの敷地が必要か試算してみます。
計画建物自身の南北方向寸法が約7.3m、北側接道面の道路から建物離れを1.7mと仮定。
その場合、敷地の南北寸法が16m程あれば、日当たり条件が南道路と同じになります。
南北方向の敷地寸法が16mの場合、敷地面積別の敷地間口目安は下記になります
60坪の敷地・・・北道路面の敷地間口約12.5m
50坪の敷地・・・北道路面の敷地間口約10.3m
40坪の敷地・・・北道路面の敷地間口約 8.3m

敷地の南北方向の長さは「日当たり」の重要なファクター

現実的には北道路で南側に奥行7mの庭をとりますと、敷地面積40坪ですと、諸条件より1階床面積が15坪弱になってしまいます。それは老齢期には欲しい1階にリビングダイニング以外の居室を設けることが難しい床面積です。
さらに第1種低層住宅専用地域で建ぺい率50%(建ぺい率=建築面積/敷地面積の割合)の場合、5坪程(10畳分)の建築面積は使いこなしにくく、また駐車場計画も軽自動車用のスペースしか取れません。
このような場合、直接採光の条件を満たすと他の条件を満たせ無くなりがちなので、残念ながら採光・入射の優先順位を下げざるをえないのが実情です。

東や西の道路に面した敷地の場合でも南側からの直接採光を考えた場合、必要離れは北道路の敷地と変わりません。しかし午前か午後に東西の道路面から直接採光が取れる計画でカバーできる部分は大いにあります。ただし西道路の敷地の場合、夏場夕方の西日は入射角が小さい為に遮光の配慮が必要です。

本来ならば図面で例示すべきですが、南道路の敷地以外は敷地の南北方向寸法が冬期の日射しの入射量についての重要なファクターになることが何となくご理解していただけたでしょうか。

開発地の総面積や形状にもよりますが、最近の宅地分譲地や建売物件を見ますと、売れ残りを防ぐ方策として道路を東西に入れるより南北方向に入れ、角地以外の画地条件を大きく変わらないようにする計画も見受けられます。
道路を東西方向に入れた分譲地の場合は北画地の面積を南画地より大きくするか、価格を2割ほど低くする販売計画が組まれます。

「住まい方・リフォーム・搬入」、3つの「しやすさ」は住宅の価

しかし実際の日当たりは価格でカバー出来ませんので、北面道路の敷地で敷地面積、寸法から日当たり確保が難しい場合、2階南面に吹き抜けを設けそこからの彩光で代替することも検討されます。その場合は
「1階居室の熱負荷が大きくなること」
「2階南面に居室が設けられなくなること」
も十分考慮が必要と思われます。

また、日当たり条件の良い2階にLDKを設ける案も多く採用されます。この場合は
「老後期の階段昇降を考慮し緩勾配の階段にする」
「収納を取り止めし、後付エレベーター設置が可能なように電源の確保と竪穴区画を
構造的に検討しておく」
などの配慮があると自身の老後対策も含め、中古物件として売り出した場合の評価も良いかもしれません。

更に2階にLDKの場合は、
(二世帯住宅の2階に子世帯という事例でも2階LDKが多く採用されています)
「冷蔵庫や大型家具、リフォーム時の材料の搬出入ルートの検討」
も必要です。度々にクレーン車の出番となってしまいます。

通常プランニングする上で北側には水回りが配置されるため、北道路の敷地の場合、道路面に大きな開口(窓)を設けることは少ないです。
さらに居室の採光を有利にするため、建物シルエットも東西方向に広げて計画しますので、大きな開口部がある南の庭側へ軽車両などの進入を想定した配置計画を取り入れた物件も残念ながら少ないです。

「 敷地条件≒日当たり 」 さらに長く使える住まいにするには

これからは中古住宅を選ぶ際も、日当たり条件の優劣がさらに注目される時代になってくると思います。断熱改修は出来ても、1階の日当たり改修は建物では出来ません。それは敷地条件が決めるのです。

住まいは長く使えた方がお得になります。自身の老後期にも不自由なく使え、次の継承者(相続人、中古購入者)への住み継ぎが可能な住まいが最善です。
それには前回からお伝えしましたように、まず敷地の選定が重要になります。

今後、東京圏の郊外は急速な高齢化で介護施設の不足は明らかで、介護政策も自宅介護が中心になってきています。
「高齢の方も住みやすい住まい=良い住まい」という考えが重要になります。

身近に高齢者の方がいらっしゃいましたら、住まいについて「これは便利」「ここが不便」を是非ヒアリングしてみて下さい。その具体例がすごく参考になります。

この記事を書いたプロ

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