コラム

 公開日: 2015-10-02 

地形、土地履歴からエリアリスクを読み取る(2)

一度訪れてみる価値あり、ハザードマップ

現在居住しているエリア、検討したいエリアのリスクを読み取る便利なサイトとその特性をご紹介します。最近は「ゲリラ豪雨」「線状降雨帯」など過去にない天候が発生し、土地形状や標高の差で洪水、土砂災害などのリスクも変わってきます。是非一度皆さんも現状の確認として、訪れてみてください。

さらに国交省では「新住宅情報システム」として取引事例、各自治体ハザードマップ、法務局、上下水道部局などの分散した不動産情報の各データを一元化して利用できるプロトタイプのシステム運営を、横浜市から稼働させています。非常に便利なシステムですが、残念ながら、これは宅建業者しかアクセスできません。しかし個々の情報元は個別に取得可能なデータもあります。必要な情報を自ら調査し把握できていれば、不動産取引の際には、より内容の濃い質疑応答が可能かと思います。

ハザードマップポータルサイト(国土交通省)

国交省で作成されているエリア横断的な災害情報と、各自治体のハザードマップにリンクを張ったポータルサイトです。そのエリアの基礎的な地理条件も把握可能なサイトです。公的に出されている危険信号をキャッチできるサイトですので、まず初めに訪れてみましょう。
下記に主な内容をまとめました。

A「身の周りの防災に役立つ情報をまとめて閲覧」

各マップ中にて右クリックでポイント図示しますと標高なども表示されます)

①浸水想定区域(5段階、7段階表示)
国交省、各自治体の管理している河川が氾濫した場合、地形の特性から浸水想定区域
を段階で表示したもの(河川の氾濫に関して河川毎に想定雨量などが違います)
・0.5〜5m以上の浸水段階表示、50mメッシュ表示
・日本の家屋の平均的な寸法(1階床高さ約0.5m、2階床高さ約3m)を参考に区分
表示されています
・0.5mの浸水想定区域=床下浸水のリスク、1mの浸水想定区域=床上浸水のリスク
ととらえることが出来ます

②洪水ハザードマップ
豪雨、河川の氾濫などから洪水が発生した場合の浸水想定、アンダーパスのなどの危
険箇所、避難所の表示などをマップ化したものです。
(一覧表示されているエリアは限られていますので、表示されない場合は「各自治体
のハザードマップ閲覧」へ)

内陸部の台地なのに、意外と内水氾濫による水害ハザードエリアがあったりします。
都市部では、50ミリ/1時間以上の大雨で排水が追いつかず、台地でも少し窪んだ地域
では内水氾濫のリスクもあります。大きな河川から離れていて標高が高い台地だから
と、火災保険の水害を外してコストダウンする提案もされているようです。しかし事
前にハザードマップの確認が必要です。
今後は、あえて「洪水の可能性のあるエリアを選択しない」という災害リスク回避の
考えが強まり、洪水想定エリアでの不動産取引の流動性は下がる可能性もあります。

  ・洪水のハザードマップ化に関して過去の事例や想定雨量が例示されています。
(例:50年に1回程度の確率で降る雨で1時間当たり70ミリ以上、24時間雨量265
ミリ以上の降雨など)
  ・大雨で排水が追い付かないことで発生する内水氾濫は想定していない(検討していない)自治体もあります。


 ③土砂災害危険個所
  土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所、雪崩危険箇所の表示で
す。

  この中でも、都市部では急傾斜地崩壊危険箇所は身近に多く存在します。角度30度以
上で高さ5m以上の斜面(いわゆる崖です)で、がけ崩れなどが発生した場合に、人
家に被害の恐れがある箇所です。

  2階建ての住宅の軒先の高さ(軒樋のついている場所です)は約5〜6mですので、住
宅の高さを参考にすると崖の高さを把握しやすいと思います。

2001年に施行された「土砂災害防止法」による基礎調査は進んでいませんでした。し
かし、2014年8月の広島県の土砂災害を受け、国交省は各都道府県に対応を迫り、
2019年までに基礎調査を完了させるめどが立ちました。この調査によって、急傾斜地
崩壊危険個所、区域の指定がなされ、一定の建築制限がかけられます。指定されたエ
リアは今後、不動産取引時の評価が下がる可能性もあります。

 ④航空写真
  戦後、米軍が撮影した1945年当時の主要都市航空写真から最新のものまでリンクしていますので、戦後からの土地開発・利用の履歴はこの航空写真にて確認できます。より写真情報が欲しい場合は国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」から入手可能です。
 
 ⑤土地条件図
国土地理院が作成した、土地の地形分類、形質の変更(盛土、切土など)をマップ化
したものです。かなり有用な情報ですので、詳しくは次回コラムでご説明します。
 
 ⑥明治以前の低湿地
  国土地理院「明治期の低湿地データ」のデータリンクです。関東地区、中部地区(水
部のみ)、近畿地区の土地履歴情報を現在の地図に重ね合わせて見ることが出来ま
す。地盤が弱そうな地域が一目瞭然です。
  
  低湿地は地震時に地下水位が高いエリア、軟弱な地盤で発生しやすい「土地の液状
化」と関連が深く、事前に把握しておきたい情報です。
データから「旧河道」「池、河川、海」「水田」であった履歴などを確認できます。

一般的に東京湾に面した埋め立て地などは、地盤が弱いと言うイメージを持つことは
容易に出来きます。
しかし内陸部でも台地では雨による浸食谷は形成され、谷津田に代表される水田に利
用された地域があります。都市近郊では平坦である地の利を利用し、高度成長期にそ
の水田の宅地化が進んだエリアが多くあります。その地域は地下水位が高く、地震時
の揺れも大きくなり、液状化の心配もあります。
更に地質も腐植土で地盤の支持層が深い場合も多く、住宅では圧密沈下による不同沈
下対策費用(基礎補強)が高額になる場合もあり、要注意エリアです。

 ⑦大規模盛土造成地
  谷や斜面を大規模に盛土造成した宅地は、大地震発生時に滑動崩落被害(盛土の地す
べり)が発生しました。これを受けて各自治体では既存宅地における大規模造成地の
調査を進めています。マップに掲載された箇所が地震時に危険というわけではありま
せんが、土地の履歴情報としては重要です。

  現在のところ東京都、さいたま市、岡崎市の3つのエリアのみ掲載されていて、今後
各自治体のデータ整備が進めば、掲載範囲は順次拡大する見込みです。

意外に、多摩丘陵などの造成地には大規模盛土造成地が分布しています。こうして見
ると、自然の形態で平坦な台地は少ないことが判ります。

・谷埋め型大規模盛土造成地=盛土面積3,000㎡以上
・腹付け型大規模盛土造成地=盛土前の地盤面の角度が20°以上で盛土高さ5m以上

B「全国の地方公共団体のハザードマップを閲覧」(リンク集)

この「ハザードマップポータルサイト」の2つ目の軸になるリンク集です。各自治体でのハザードマップをリンクしています。
掲載されている内容は洪水、内水、高潮、津波、土砂災害、火山、地震防災・危険度などです。

自治体によって用意されているハザードマップはまちまちで、尚且つ表示方法に特徴がありますので、自治体を跨いだエリアを比較する場合、凡例を良く読み込む必要があります。

次回は国土地理院土地条件図、民間便利サイトのご紹介を予定しています。

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