コラム

 公開日: 2016-07-07  最終更新日: 2016-07-12

「触れる」ことの壁 2/2

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異性との接触の懸念というのは、年配の方なら男の沽券や日本男児たるもの的なプライドもあるのでしょうが、はっきり言えば恥ずかしい、もっと言えば人様や相手にどう思われるか?という恐怖でしょう。「スケベなやつ、キモいやつだと思われたくない」という恐怖。
企業に勤める友人に聞いた話ですが「男性上司から女性部下への“握手しよう”は、セクハラになることもあるので注意するように言われた」そうです。
両手でぎゅうっと3秒以上?握ったり、片手で握手しながらもう一方の手で相手の手の甲をさわさわと触ったりしたら即刻アウトだとか。「だから握手しなきゃいけないときは握らないようにしてるのよ、俺」(おいおーい、握る手と書いて握手じゃないの?)そんなご時世ですので、そこにトラブルの恐怖も加わり、「男子、危うきに近寄らず」と、ますます腰は引けていくばかり。
しかし、ダンスを始められたのなら、えいっと少しばかり勇気を振り絞って「相手に爽やかに触れる」ことに慣れてください。
社交ダンスにおける「触れる」は、犬や猫をよしよしと慰撫し愛でることではなく、「話す」「聞く」「サポートする」という行為の源にあるものだと僕は思っています。
感覚をフルに使って相手に伝える。
相手が伝えようとするものを汲み取る行為のこと。
最初は機械的で結構です。
「えー、①左手で相手の右手を取り、②右手は相手の鎖骨のあたりを手の平で…。③肘は常に張って…」と、自分も相手も無機質なモノになって、形を決めてはめ込んでいく作業で大丈夫。
しょせん生身の人間同士ですから、どんなにメタリックに接していても相手の体温や筋肉の動き、息、表情、汗…みな伝わってきます。「嬉しい」「楽しい」「しんどい」「つまらない」「疲れた」「気持ちいい」「緊張してる」…体が発するその人の本音が聞こえてきます。これって「なんとなく空気を読む」どころの騒ぎじゃありません。
「体で相手を読む」んですから。
頭(思考や言葉)ではなく、自分の体(感性、感覚)を信じて、人と繋がってみてください。
きっと相手の気持ちも自分の気持ちも痛いほどにわかるようになります。頭(思考)がジャッジして出した答えは偽者で、体が出す「応え」が本物です。


まだ多くの知識や体験を持たない幼い子どもたちなら、社交ダンスは単純に踊る喜びのほかにも、相手を体で読み聞くという強力なツールを手に入れ、人の気持ちに寄り添うことができる真のコミュニケーションを学ぶでしょう。
知識も見聞も十分に蓄えたシニア世代には、社交ダンスはその蓄えたものが通用しない場になるでしょう。
しかし、「わからない」という、とまどいやドキドキはときめきに転化するものです。社交ダンスをされているシニアの方がみなさん若々しいのは、常にときめいているから。
「わからないものをわかろうと努力」しているからです。
わからないステップにわくわくし、わからない相手に触れて踊るためには、枯れたおじさんやおばさんではいられません。
身だしなみに気を配り、体をいたわり、相手を思いやる。
レディであろう、ジェントルマンであろう、素敵な人であろうと具体的なアクションを起こすようになります。

僕は「触れることは壁」といいましたが、でもそれがペアダンスの艶っぽいところでもあり、その艶を爽やかに踊ることが社交ダンスのエレガンスです。
他のダンスにはない快楽という色と艶と洗練された優美さ。
だからこそ年齢に応じた味わいも出るというもの。
「あなたを知りたい」と、潔く、謙虚に、屈託なく「相手に触れる」ことは、「相手の“心”に触れる」ことだと思うのです。

この記事を書いたプロ

加藤周介ダンスアカデミー [ホームページ]

ダンスインストラクター 加藤周介

東京都足立区千住3-1 柏光ビル6F [地図]
TEL:03-5284-1452

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