コラム

 公開日: 2016-03-09  最終更新日: 2016-03-11

映画『Shall we ダンス?』考察②─ダンスにハマる!(定番ダンスやるやる)

映画では、平凡なサラリーマンだった杉山(役所広司)が、ひょんなことで習い始めた社交ダンスに魅せられ、どんどんとハマっていく過程が描かれています。(ストーリーは映画『Shall we ダンス?』考察①参照)

駅のホームでステップを踏み、
会社のトイレの鏡で上体のポジションをついつい確認。
夜中の公園でシャドウ(ひとりで踊る)練習をもくもくと行い、
青木(竹中直人)は社内の廊下をくねくねルンバウォークで闊歩…。
と、自主練習に余念無し!
でも、これって社交ダンスを習っている人なら誰もがやってしまう、「あるある」ならぬ「社交ダンスやるやる」なんですね。

社交ダンスの「熱中」「傾倒」度はほかの趣味に比べると熱烈な気がします。
一度「踊る快楽」を知ってしまうと、やめられないしとまらない(あとびきタイプのスナック菓子みたいですが)。
生徒さんを見ていて「お、ギアが1段上がったな」と思うのが1曲踊れるようになった頃。
こま切れだったステップが繋がり、1曲を通して踊りきれた喜びと楽しさは格別です。
この達成感は次の種目へのモチベーションにもなります。

さらにもう1段ギアが上がるのが「発表会」や「競技会」などへの出場が決まったとき。

これは社交ダンスに限らず、どのお稽古ごともそうだと思いますが、目指すべきものや目標が明確になると、どんなにクールな人でもおっとりさんでも、俄然はりきるのが人の性分というもの。
うちの教室でもある程度ステップが踏めるようになってきたら、その方に合った目標設定をしますが、それは「楽々クリア」できるものではなく、「ちょっと難しめ」「やや高め」に設定します。
そのほうが、がんばれるし、間違いなく成長できるんです。
ブルースやジルバといわれるパーティーダンスが楽々と踊れるようになり、本格的に10種目(ワルツやタンゴやルンバ)を習い始める頃になると、お腹周りもしまり、姿勢も整いだし、カラダも気持ちもアグレッシブに変化し始めます。

こうなると、誰もが「隙あらば自主トレ」という、姑息に見えて実にアグレッシブなモードに入ります。
トイレの鏡はもちろん、窓ガラスや店のショーウィンドウなどで、ついついポジションの確認及び上体のチェックをし、だれもいない非常口の階段の踊り場やエレベーターの中などの「ちょっとした密室」を見つけようものなら、迷うことなくステップを踏みまくる。
電車の中では、つり革を軽く握ったまま、カカトを上げ下げするちょこトレ(ちょこっとトレーニング)を欠かさず、頭の中で習ったことをおさらいしているにうちに、ついついカラダが動き、明らかに「変な動きをする変な人」として、周囲から奇異な目で見られるという大変気まずい思いも経験します。

自宅での自主練習はもちろん当たり前!
タンスの角に足の小指をぶつけたり、
よろけて襖につっ込んだり、
観葉植物をなぎ倒したり、
飼ってる猫をふんだり蹴ったり、
それはそれはもうデンジャラス…。
たいてい家族から「ちょっと危ないってば」「いい加減にしなさい」と、注意勧告を受けますが、懲りません(笑)。

映画の中で青木(竹中直人)は常に社内の廊下をくねくねした腰つきで歩きますが、あれはルンバウォークといって、ラテン種目のルンバに必要な歩き方の基礎です。
つるつると滑りのいい長い廊下を見たら、だれだってやりたくなるというもの。
脊髄反射的に歩いちゃうものなんですよね。

※ちなみに、ルンバのダンスの源流をたどっていくと、奴隷だった黒人たちの踊りに行き着きます。
当時、黒人奴隷たちは足に錘(おもり)や枷(かせ)をはめられていたので、足をひきずるように歩いていたんですね。
床から足を離さず歩くと競歩にも似た腰をくねらすような独特な歩き方になります。
それがルンバウォークの原型。
ルンバは自由を奪われた人たちの、言葉にできない悲しさや苦しさの中で生まれたダンスです。
そんな歴史的な背景を知っていると、こっけいに見える青木のルンバウォークも、ちょっとせつなく感じません?


映画の後半では杉山が競技会出場のために、猛特訓を始めます。
先生に「大会まで3ケ月。週3回、仕事終わりの8時から10時まで教室で練習してください」と、言われます。
もちろんそれ以外の日は自主練習をしているはず。
「これは映画だからスポ根風にデフォルメされてるのでは」と思われる方もいますが、実際、競技会を目指す生徒さんは、これくらいの練習をされています(教室でびっちり個人レッスンするかどうかは別として)。
「ちょっと難しい」「やや高め」の目標設定が「ちょっと抜き差しならぬ問題」「やや切羽つまった問題」にレベルアップします。
どんどん複雑になってくるステップやさらなる姿勢強化…と、「楽しいだけのダンス」に「苦しさ」が生まれ、「私(僕)は、なんでこんなことができないんだろう」「○○さんはあんなに上達しているのに」と、負とも思える感情もわきあがりますが、もどかしさも自己嫌悪も嫉妬も、みな踊る力になり、さらにギアが上がっていきます。
こーなったら、いけません。
社交ダンスのワクワクから抜けられません。
飲んべいは「酒が飲めない人は人生の楽しみを半分損してる」とかいいますが、社交ダンスにハマった人々は「踊らない人は人生の楽しみを半分損してる」なんてことを本気で言い出すようになるわけです。
いい年してハマり、いい若いもんがハマり、女のくせに男のくせにハマって、「人生まるごと得する計画!」を僕はずーっと絶賛推進中です。



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