コラム

 公開日: 2017-09-05 

改善活動の成果は生産性指標で表す

生産性の指標を現場で生かしていますか?
生産現場の変化を定量的に把握する仕組みがありますか?

アウトプットとインプットの定義をはっきりさせる


「生産性」は工場の実力を評価するのに広く使われている指標です。
すでに活用している現場も多いです。

生産管理用語辞典での定義は下記です。
「投入量に対する産出量との比。生産性は次式で表される。
通常、分子には生産量、生産金額又は付加価値を用いる。
分母には労働量を用いるが、投入資本、設備、原材料などの諸量を用いることもある。
生産性 = 産出量(output) ÷ 投入量(input)」 
(出典:生産管理用語辞典(日本経営工学会編))


工場における生産活動には、さまざまな形態があります。
したがって、分子と分母へ当てはめる項目の組み合わせも、さまざまです。
その工場の生産活動を反映させた項目を選択します。

分子と分母へどのような項目を当てはめるのか、選ぶ作業は重要です。

そして、管理者と現場は、その生産性指標を使う目的を共有します。
なんのための生産性指標なのか、定義はどうなのか、事前に理解し合う必要があります。





自動車部品の生産ラインを管理していた時、こんなことがありました。
24時間稼働の生産ラインでした。

24時間稼働の現場なので、稼働時間を延長して増産する手は使えません。
したがって、生産能力は設備能力で決定されます。

ですから、管理者としての最大の責務は、次の2つです。
・設定した稼働率を維持する。
・設定した生産サイクル(タクト)を維持する。

さて、新製品の生産立ち上げは、どこの生産現場にとっても頑張りどころ。
立ち上がり時は生産性や品質が定まらずバタバタするものです。

この時もそうでした。

生産開始から2週間程度、安定量産を目指して、生産条件のチューニングや設備改造を加えました。
その結果、なんとか稼働率と生産サイクル(タクト)は計画値に至りました。

ヤレヤレと言うところで、ある数値が変化していることに気付きました。

稼働率や生産サイクルが計画値を維持しているのに、生産性が悪化していたのです。

調べてみると、実労働時間が増えていました。
現場が、製品の表面についたキズを、残業時間で手直し(キズ直し)していたのです。

キズ発生品を残業時間で手直して、後工程へ送り込んでいました。
現場リーダーは、担当シフトで発生したキズ品を、所定時間外で救済していたのです。

新製品であったこともあり、これまで事例のなかったキズの発生でした。

「自工程の不具合は、自工程で修正してから次工程へ流す」
これが工場のルールでした。
ですから、このときの現場の対応は正しいのです。


また、生産性の定義は下記のようなものでした。
前日の午前7時から当日の午前7時までの生産量 ÷ 実労働時間
ですから、生産活動とは直接関係のない工数分が、分母に含まれました。

その結果、生産量は計画通りなのに、生産性が悪化したわけです。

以後、手直し等の生産に直接関係のない実労働時間は別管理にしました。
一方でキズの方は、製造ラインに改造を加え、対策は完了できました。

予期せぬ生産性の低下が起きてしまいました。
実労働時間に何を含め、何を含めないかを、現場へ明確に指示していなかっためです。

数値を見続けていたお陰で変化に気づきました。
指標としての役割を十分に果たしていたことにはなりますが・・・・。

生産性では、アウトプットとインプットに当てはめる項目の定義をはっきりさせます。
そして、その定義を現場へ、明確に伝えておくことは大切だということです。










何に注目した生産性なのか狙いをはっきりさせる


生産性の分子となるアウトプット(output)の定義は主に2つです。
・生産量のような物量(数量、重量、長さ等)で示すケース
・生産金額又は付加価値のような金額で示すケース


ここで、1点、留意事項があります。
アウトプットを生産金額(売上金額)で示すときの話です。
その生産性が、現場の実力を示していない場合があります。

材料が高額な製品の単価は、現場の頑張りと関係なく、高くなるのが一般的です。
ここで同一サイズ、同一形状の「馬の置物」を想定します。

製造プロセスは「鋳造」。
砂型を使います。

そして、材質は2種類。
「金」の製品と「銅」の製品を考えます。

製造プロセスは両者とも砂型鋳造なので、所要工数はほぼ同じです。
しかし、材質が異なります。

当然、金の馬の置物と銅の馬の置物とでは売値の差は大きい。
したがって売上金額÷工数で評価すると生産性に差が生じます。

これは商品の付加価値額の差を評価しています。
経営判断上は有益な指標になりますが、現場の生産活動とは関係がないです。

この生産性の差を埋めるのに、現場の頑張りを求めてもしょうがない。
生産性の定義を現場と共有することが大切なのは、こうした誤解を避けるためです。

なお、儲かる工場経営で活用する「付加価値額」は材料費を差し引いています。

一方、生産性の分母となるインプット(input)は、
・労働量(人、時間)
・原材料 
・投入資本・設備 
主に3つであり、いわゆるヒト、モノ、カネ、に相当します。

労働量をインプットに持ってくる指標の事例は多いです。

原材料をインプットにすると、原単位や歩留り率/良品率の考え方につながります。

さらに、設備1台あたりという表現は、大量生産の効率を評価するには有効です。
同一設備をズラ~ッと並べて、同一製品を製造している工場を想定しています。

一方で、多種多様な設備で、多種多様な製品を生産する工場では、あまり意味はありません。
この場合、生産性よりは、工場全体の工数管理で納期を把握することの方が大事です。

また、台数ではなく設備購入金額に注目し、アウトプットを売上高にした「回転率」という表現も可能です。

要するに指標で何を知りたいのか?ということです。







生産性の定義6種類について


生産性を定義するアウトプットとインプットの組み合わせは6種類です。

アウトプットの表現として物量と金額の2通り。
インプットの表現として労働量、原材料、投入資本・設備の3通り。
2通り×3通り=6種類

生産性には厳密な定義がありません。
貴社の工場の特徴を上手くとらえた組み合わせを自由に考えます。

そして数値変動を追いかけるため、少なくとも毎週の実績が出る仕組みを構築します。
月末決算に合わせた月1回では、事後報告(死亡診断書)にしかならないからです。

現場に追随した指標とするには、実績値の集計頻度を増やす必要があります。
アウトプットとインプットの実績値を一週間に一回は集計する仕組みを維持します。

問題発生を未然に防ぐ体制を目指します。
少なくとも週一回程度、生産性指標を評価できる仕組みが必要です。

大切なことは、設定した指標を継続して見続けることです。
過去実績と比較して、変化の程度を評価できる仕組みをつくります。

変化に気付くことで異常を察知できます。
継続的に比較することで、判断基準も見えてきます。

そして、下記の2つの視点は、儲かる工場経営で絶対に欠かせません。
1)問題が発生するのは、現時点の”仕組み”が最適ではないからである。
原因は人ではなく、仕事のやり方にある。

2)問題は仕組みを通じて未然に防ぐものである。
問題は発生してから対応するものではなく、防止するものです。

このように考えると、生産性指標を活用した、先手必勝の動きをしたくなります。
また、自分の頑張りが、どの程度生産活動に貢献したかも定量的に把握できます。

現場の改善意欲にも火が付きます。
生産性指標を活用する仕組みを作りませんか?



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