コラム

 公開日: 2017-07-16 

擦り合わせ力を現場で生かして知恵の統合を図る

貴社の現場では擦り合わせ力が発揮されていますか?

電機業界不振についての解説


国内の自動車メーカーが、
トヨタを筆頭にして世界を舞台に戦い、
一定の存在感を示している一方で、
国内の電機業界が不振であるのは対照的です。

白物家電といえば、
三洋電機(パナソニックに買収)、
松下電器(今のパナソニック)、
日立、東芝、シャープ(鴻海に買収)・・・、
多くの企業が思い浮かびますが、
今や白物家電を事業の柱としている電機メーカーは少ないです。

こうした家電・エレクトロニクス企業の低迷の原因は何か?
一橋大学教授の青島矢一氏が、日本経済新聞で解説しています。

技術が進歩した結果、日本企業が得意としていた、
摺り合わせによる価値が、生まれにくくなっているとの指摘をしています。

「第1の原因は、半導体の微細化に起因する
技術進歩により、「より良いモノ」を生み出す、
日本企業の強みが生かされにくくなったことである。

ラジオ、オーディオ、
テレビ、ビデオ、デジタルカメラなど、
日本企業が強みを発揮したのは単品としての製品だ。

製品という枠内で顧客の要望を極限まで満たすように、
部材から組み立てまでの流れを同期化することに強みがあった。

しかしデジタル化が進み、製品機能の大部分が
半導体チップに統合されると、個別の製品の性能や品質で差別化することは難しくなった。」
(出典:日本経済新聞2016年3月15日)

・固定的な製品の枠内では、製品の機能自体が強みになる。
・顧客から求められる製品の機能が、摺り合わせ力によって実現できる。
このような経営環境のもとでは、
国内電機業界の各社が持っていた技術開発力や摺り合わせ力が強みでした。



それが、半導体技術の進歩で、状況が変わりました。
製品機能が、半導体チップ上で実現できるようになったのです。
こうなると、市販のチップセットで、十分な機能を有する製品ができあがります。

機能を実現させる技術開発力や摺り合わせ力は、もはや強みになりません。
いわゆるモジュール化の流れです。

さらに、半導体技術の進歩で、
製品が持っている機能的、物理的な境界線が、
取り払われることになった、と青島教授は指摘しています。

固定的な製品の枠に縛られずに、
ハードウェアとソフトウェアの技術で、
多様な機能を自由に組み合わせることが可能になりました。

つまり、モノのみではなく、コトに着目した発想で、
付加価値を高めることが可能になったのです。
アップルはそうした事業展開で、ブランドを構築し、成果を上げました。



日本のエレクトロニクス企業の多くは、固定的な製品の枠から脱却できませんでした。
これが、今日の電機業界低迷の原因のひとつです。
製品のモジュール化は、ますます、進むと考えられます。

自動車業界でも、動力の電気化によって、同様のことが起きると予想されています。
電気自動車は、必要な部材を購入すれば、組み立ては、難しくないと言われています。
自動車部品のモジュール化も進むというわけです。



電機業界は、
自動車業界よりも一足早く
モジュール化の波にもまれました。
この製品のモジュール化は、電機業界のみの流れではないでしょう。

今後、自動車業界を始め、製造業全般が、直面する外部環境変化とも考えられます。



モジュール化の波は、摺り合わせ力を無力にしてしまう破壊力があります。
それまでの業界を、大きく変えるほどの影響力があることに注意をしたいです。

つまり、モジュール化の影響を受けそうな分野は避けます。
そうした分野を技術開発のテーマとして取り上げないことです。

・機能競争では、圧倒的な差別化技術を狙うか
・コトに注目するか
どちらかのスタンスで、技術開発を進めることが欠かせないです。

電機業界不振の原因解説を読んで、ますます、その思いが強くなりました。





現場では摺り合わせ力でモノづくり力を高める


モジュール化の影響で、製品開発での擦り合わせ力の強みが発揮されにくくなりました。
しかし、擦り合わせ力自体は、現場で、今後も重要な役割を果たします。
今後も、モノづくり力を強化・維持するために、必要な現場力のひとつが擦り合わせ力なのです。





インダストリー4.0でドイツが目指しているスマート工場の姿は、
「人とロボットの協業」
「生産設備のモジュール化」
の2つです。
(工場運営のIOTでは段取り作業にも注目する)
マスカスタマイゼーションに対応した、スマート工場では、生産設備のモジュール化の進展が予想されます。


だからと言って短絡的に、摺り合わせ力が、今後は不要になると考えるのは誤りです。
逆に、ますます、モノづくり力を強化するのに、摺り合わせ力が重要となります。

例えば、生産設備のモジュール化を実現させるには、摺り合わせの知識が必要です。
現状を知り尽くした摺り合わせ力を生かさねば、生産設備のIOT化は、絶対に無理だからです。

モジュール化された後なら、摺り合わせ力は、必要とされません。
しかし、モジュール化するための検討には、摺り合わせ力への理解が必要なのです。

既存設備のモジュール化を考えるには、
現場の摺り合わせ力がどのようなものであるか知らなければなりません。

これから、摺り合わせ力を発揮させるのは、モノづくり現場です。
新たな設備を稼働させ、
モノの流れを滞りなく流し、
付加価値を生み出すアイデアを考える・・・・・・。
付加価値を創出/拡大する生産活動の領域でこそ、発揮させる必要があるのです。


技術開発や製品開発で狙うべきターゲットは、顧客も気が付いていない潜在的なニーズです。
まだ誰も気が付いていないコトに焦点を当てます。
新たな市場を開拓するモノづくりを展開したいのです。

多くの知恵が絶対に必要になります。
知恵を生み出し、アイデアを創出するため、摺り合わせ力が、今後も必要です。

これからは、
職人的な専門知識を軸にする力に加え、
多くの人から出された知恵を
上手く統合する属人的な力、つまり摺り合わせ力も、モノづくり現場で欠かせません。

貴社の現場の擦り合わせ力に着目して下さい。
長年蓄積して獲得された貴社独自の強みです。

現場で摺り合わせ力を生かしてモノづくり力をアップさせる仕組みを作りませんか?


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