コラム

 公開日: 2014-02-25  最終更新日: 2016-02-04

ソチオリンピックに見たアスリートらしさとは

ソチオリンピックが終わり、今回もたくさんのドラマがありましたが、オリンピックを指導者という立場で見ていると、競技本番に至るまでの過程に目が行ってします。

●工夫
ノルディック複合ノーマルヒルで渡部暁斗選手が銀メダルを獲得しましたが、日本人の苦手としているクロスカントリーで世界と勝負するためにスラックラインという綱渡りのようなスポーツで重心の感覚を鍛えていました。
スキージャンプの葛西紀明選手は7度目のオリンピックでしたが、時代の流れにも柔軟に対応していたことも強さの要因だと思います。
スキージャンプ
風洞実験を行い何度もフォームを変え、現在の風を掴むモモンガのようなフォームを生み出し度重なるルール変更にも対応していました。
ソチが終わっても先を見据え貪欲に突き進む姿勢はジャンプをこよなく愛し感謝しているから出来ることなのではないでしょうか。

●ストイック
葛西選手といえばウエイトコントロールのために3日間断食することもあるようですが、断食することで精神面にもプラスに働いているらしいです。
フィギュアスケートのユリアリプニツカヤ選手は食事制限をしているため常に空腹のようです。
基本的にトップアスリートは誰でもウエイトコントロールするものですが、リプニツカヤ選手は成長期でありながら厳しい練習も積み、その中で常に空腹と戦っているというのは怪我の危険性もあるので本当に大変だと思います。
今回は残念な結果でしたが、今後の活躍がとても楽しみですね。

●誰のため?
フィギュアといえば、羽生結弦選手が今回日本選手の中で唯一の金メダリストですが、東日本大震災で被災された方々へのメッセージが多かったですね。
羽生選手本人も被災者の一人ということで、被災地へ勇気を届けたいとか、金メダルを獲得したことで被災地に再度目を向けてもらえるとか、背負っているものが大きいもののそのプレッシャーに潰されることなく、逆にその思いがパワーになっていたのではないでしょうか。

フィギュアでは羽生選手と同じように金メダルを期待されていた浅田真央選手もフリーの直後に恩返しという言葉を何度か口にしていた。
ショートとは見違えるほどの演技が出来たのは、フリーで全てを出し切りお世話になった方々へ恩返しをしたいという強い思いがあったからではないでしょうか。

同じようにスキージャンプの高梨沙羅選手も今まで支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えるためにこの場所に来たと言っていましたね。
金メダル最有力だった高梨選手が結果を残せなかったことに対し、もっと自分のために競技をやって欲しいと言う人もいるでしょう。
しかし、まだ若い高梨選手だからこそみんなのパワーが必要だと思うし、感謝の気持ちを持って挑まなければもっと精神的に弱くなっていたと思います。
高梨選手のような選手は最近少ないので今後もみんなで支えてあげたいですね。

感謝する人の数が多ければ多いほど、きっとそれが精神的な支えになり、大きなパワーになると私は信じています。
最近はスポーツの世界にもルールを無視した自分主義者が多いように思います。
個人主義と利己主義が違います。
自分の感情ばかりを優先し、周囲との調和も考えずにルールを無視して押し通そうとしているのは利己主義であり、そのような選手は周囲の支えがなくなり結果は出せなくなるでしょう。
逆に自分が競技を行えていることに感謝し、関わっている全ての人に対する感謝の気持ちを大切にし、最低限のルールを守るという調和さえ取れていれば、個人の結果に拘った行動をとっていてもそれは利己主義ではない高い意識の個人主義になるのではないでしょうか。

自分のやりたいことや結果はとても大切です。
しかしそれを達成するためには必ずたくさんの人が関わってきます。
新種目のスキーハーフパイプに出場し銅メダルを獲得した小野塚選手も自分で資料を作りスポンサー探しをしたそうです。
そのような選手は自然と感謝の気持ちを抱くでしょう。
結果を残すためには環境が大切ですが、環境が整っていることが当たり前と思ってしまい利己主義な選手が多くなるのはマイナスです。
私のようにジュニア期の指導に関わる者は、環境を整える責任がある一方で、子どもたちに競技を行える環境や周囲の人に感謝する気持ちを教える役割もあるのではないかと思っています。
そんなことを改めて感じさせられたソチオリンピックでした。

東京都調布市 / KMC陸上クラブ
陸上競技指導の専門家 川口博正
http://pro.mbp-tokyo.com/kmc-kawaguchi/
http://www.kmc-athlete.com/

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スポーツインストラクター 川口博正

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