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[相続税申告のポイント]

Q1 相続税の申告義務者と納付方法

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「相続税の申告義務者は、いくら以上の財産がある人でしょうか?
また、申告書の提出の仕方と税金の納付方法についても教えて下さい。」



① 申告書の提出義務者
 イ.被相続人から相続または遺贈により財産を取得した場合に、その取得したすべての者
   の相続税の課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超え、かつ、相続税法第15
   条から第19条まで、第19条の3から第20条の2まで及び第21条の14から第21条の18ま
   での規定を適用して相続税額を計算したときに、納付すべき税額がある者。

 ロ.なお、相続税法第19条の2の配偶者の税額軽減の適用を受けようとするときは、申告
   が要件となっているので、特例を適用して納付税額が算出されなくても、申告書を提
   出しなければなりません。

② 遺産がいくらまでなら相続税はかからないか
 イ.純遺産総額が基礎控除額以下ならば相続税は0。
 ロ.基礎控除額 5,000万円+( 1,000万円 × 法定相続人の数 )
 ハ.法定相続人の数には、相続を放棄した人も含まれる。

③ 相続税の申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は死亡の日)の
 翌日から10か月以内
 イ.失踪宣告 - 審判のあったことを知った日
 ロ.胎 児 - 出生した日
 ハ.相続人の裁判 - 裁判が確定した日

④ 申告書の提出先については、被相続人が死亡した時の住所地の所轄 税務署長に提出する
 こととされている

⑤ 申告書の共同提出
 イ.相続税の申告書は、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者等で、
   申告書を提出しなければならない者が2人以上ある場合には、その申告書の提出先の
   税務署長が同一であれば、共同して申告書を提出することができます。
 
 ロ.この場合は、同一の申告書に連署して申告することとされています。

⑥ 相続税額の納付方法
 原則:期限内の金銭納付
 特例:①金銭で納付することが困難 ⇒ 延納
    ②延納によっても金銭で納付することが困難 ⇒ 物納

⑦ 物納とは
 イ.物納は、現金による即納はもちろんのこと、延納によっても金銭で納付することを
   困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の限度において認められ
   る納付方法です。

 ロ.従って、最初から物納を決めてかかるのには注意が必要で、まず「金銭納付を困難
   とする理由書」の記入方法を知っておくことが大切です。

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Q2 申告に必要な書類と業務の手順

「相続税の申告をするにつき、どのような書類が必要なのでしょうか?
 必要書類の集め方や申告業務について教えて下さい。」


① まず最初に相続人の確定を
 イ. 相続人の確定を間違えたら、すべてがパーになります。
 ロ. 相続人を戸籍謄本・抄本・住民票等で確認します。

② 財産評価に必要な書類の収集
 イ. 土地建物等の評価、その他の財産の評価、預貯金の残高の確認をします。
 ロ. マイナス財産としての借入金や未払税金等の債務、葬式費用を把握します。

③ 金融機関の数だけ余分に必要な書類あり
 イ. 不動産の相続登記と金融機関の預貯金の名義変更に必要なものがあります。
 ロ. その分別途に(A)分割協議書、(B)印鑑証明書、(C)戸籍謄本・抄本を用意します。

④ 戸籍の関係書類は司法書士等の専門家に依頼した方がよい
 イ. 養子縁組している場合や相続人が多い場合には相続人が洩れる場合があります。
 ロ. 被相続人が長生きし、その前に実子が亡くなっている場合には代襲相続人が相続人
   の地位を引き継ぎます。

⑤ 不動産の登記簿謄本、公図、建物図面も同じ
 固定資産税評価証明書と謄本との所有者、地目、面積等の照合や抹消されていない権利
 関係の有無を確認します。

⑥ 遺言書の有無の確認
 自筆証書遺言が発見されれば、その保管者は民法第1004条の規定により、遅滞なくこれ
 を裁判所に提出してその検認を受けなければなりません。

⑦ 相続税の税務調査の実態を知っておく
 無事に申告が終ったと安心していても、後日税務調査で多額の申告漏れを指摘されない
 様に税務調査の実態を知っておく必要があります。

⑧ 申告に必要な書類の収集
 1. ①被相続人の除籍謄本 ②原戸籍謄本 ③戸籍の附票
   ⇒区役所または市町村  各4通以上

 2. 死亡診断書
   ⇒病院  1通

 3. 相続人の戸籍謄本、婚姻により除籍した人は戸籍抄本
   ⇒区役所または市町村  各4通以上

 4. 被相続人の除票・相続人の住民票
   ⇒出張所または市区町村  各2通
 
 5. 被相続人の略歴書(出身地、最終学歴、職業・役職等、住所の移転状況、病歴、入
   退院の経過)

 6. 相続人の現況経歴書(住所、氏名、勤務先、生年月日、電話番号)

 7. 土地建物の死亡年度分の固定資産税評価証明書(道路の非課税も含む)
   ⇒納付書持参の上、都県税事務所または市町村  各2通
 
 8. 土地建物の登記簿謄本
   ⇒評価証明書の地番と家屋番号で申請、登記所  各1通

 9. 土地(借地等についても)の公図
   ⇒登記所  

 10.土地の測量図、特定事業用宅地または特定居住用宅地に該当の有無とその地積
  (不整形地、建物が複数建っている土地、売却予定地は正式な測量図)    

 11.建物の配置図(全体の土地の利用状況の説明可能なもの)
   
 12.建物の建築確認書(あるものだけでも)、建物図面(権利証にセットしてあり)
   ⇒登記所

 13.貸地、貸家の賃貸借契約書(ない場合は賃借人の住所、氏名、契約期間の一覧表)
 
 14.生産緑地の指定を受けた農地の明細書
   ⇒農業委員会・都市計画課
 
 15.死亡年度分の固定資産税納付書、課税明細書又は名寄帳(納税証明書でもよい)
   ⇒都県税事務所または市役所
 
 16.個人の確定申告書の過去2年間分、当年の準確定申告書(死亡後4ヶ月以内提出)

 17.同族会社の株主は、株式評価に必要な決算書および所有資産の評価計算明細書
  (取引相場のない株式の評価方法の改正に注意)    
 
 18.金銭信託、貸付信託、公社債、株式、その他の有価証券がある場合は、その証券、
   預かり証、銘柄の明細書 証券会社  

 19.被相続人の過去3年間の預金通帳(ない場合はマイクロフィルムより作成)    

 20.死亡日現在の預金の残高証明書、出資金の残高証明書、定期証書の写し
   (残高のある金融機関はすべて必要)
   ⇒金融機関  

 21.被相続人のものでありながら借名預金や相続人名義になっている預貯金の確認
   (贈与税の申告をしていない分)    

 22.親類、子供に対する事業資金等の貸付金の有無、贈与税の立替負担の有無
  (預金の大口支払先・他の相続人より確認)    

 23.親類、知人の会社の株主である場合は株主名簿(株主でない場合は必要なし)
   ⇒株主になっている会社
 
 24.車両、機械、器具、家庭用財産のうち10万円を超えるものの明細書
  (購入年月日、価額、名称等)    

 25.積立火災保険を死亡日現在解約したと仮定した場合の解約返戻金明細書
  (前納の火災保険の解約返戻金に注意)
   ⇒保険会社
 
 26.生命保険金の支払明細書、退職金の支払明細書と受取人の確認
  (確定申告で控除済のものはまずあるものとして)
   ⇒保険会社・勤務先
 
 27.相続開始前3年以内に相続人等が贈与を受けている場合はその内容
  (預金証書又は通帳からの引出し記録の確認)    

 28.葬式費用(お通夜と告別式当日の費用)の領収証
  (初7日から先の法事の支払は該当しない)    

 29.公祖公課の未払いの有無(所得税、住民税、固定資産税等)    

 30.債務(借入金)がある場合は、その明細と使途・預り敷金及び保証金の明細書
  (残高証明書・賃貸借契約書)
   ⇒金融機関  

 31.相続人全員の印鑑証明書(分割協議書・抵当権設定承諾書に使用する)
   ⇒市区町村役場  各4通以上

 ※ 納税猶予の適用を受ける農地相続の場合は、別途書類あり。

⑨ 申告業務の進め方
 イ. 民法上の相続人と相続税法上の法定相続人の数の確定
 ロ. 土地建物の利用状況と建物の未登記物件の現状確認
 ハ. 土地の測量図または地積図と現況との比較検討
 ニ. 四角い整形地の簡易測量と測量図の作成、混合地は測量士に依頼
 ホ. 同一の利用目的の土地一区画ごとの評価計算明細書の作成
 ヘ. 構築物その他の財産の確認と評価計算明細書の作成
 ト. 預金の過去3年間の移動状況の確認と定期預金の利息計算
 チ. 借入金、未払金、預り敷金、保証金および葬式費用の内訳書作成
 リ. 相続財産の明細書の作成と相続税額の計算
 ヌ. 全相続財産を相続人へ提示し、分割協議の開始(遺言の有無の確認)
 ル. 遺産分割協議書に各人が自署し実印押印、印鑑証明書添付
 ヲ. 相続財産の相続登記と預貯金の名義変更手続き
 ワ. 相続税申告書および附属明細書に各人が実印押印(認印でも可)
 カ. 延納の場合は延納申請書、抵当権設定承諾書、担保提供書に押印
 ヨ. 物納の場合は物納物件の測量図、案内図、申請書等の提出
 タ. 担保財産の財務省職権による抵当権設定登記の完了
 レ. 物納の収納許可
 ※ 納税猶予の適用を受ける農地相続の場合は、別途手続きあり。


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Q3 土地の評価減のために必要な資料を収集

「土地の評価減をするために必要な資料を教えて下さい。」


土地の評価減をするために必要な書類は下記の通りです。

 1. 登記簿謄本
 2. 固定資産税評価証明書
 3. 1㎡当り近傍宅地評価証明書
 4. 公図及び地積測量図
 5. 建物図面
 6. 住宅地図又は航空地図
 7. ブルーマップ地図
 8. 路線価図及び評価倍率表
 9. 都市計画施設図
 10. 都市計画道路証明書
 11. 地役権図面
 12. 道路位置指定図
 13. 道路確定図
 14. 借地権や地役権等の賃貸借契約書
 15. 特別高圧送電線線下土地証明書
 16. 宅地開発指導要綱
 17. 広大地評価のための参考資料
 18. 容積率の格差の計算用図面
 19. 個別評価申出書
 20. 特定路線価設定申出書
 21. 仮換地証明書及び仮換地図
 22. 農業振興用地区域証明書
 23. 特例農地等該当証明書

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Q4 相続財産の中身

「相続税が“かかる財産”と“かからない財産”の中身と相続財産から“控除できるもの”と
 “できないもの”の区分について、又、かかる財産の評価方法の概要について教えて下
 さい。」



① 相続税がかかる財産
 相続や遺贈でもらった財産に、相続税法上もらったと見なされる財産(生命保険金など)
 を加え、その中から非課税財産を除いたもの全てです。著作権のような「権利」も課税対
 象となります。

② 相続税がかからない財産
 ・仏壇・仏具・墓地・墓石・霊廟
 ・国や地方公共団体へ寄付した財産
 ・心身障害者共済制度に基づく年金受給権
 ・公益事業用財産
 ・一定額の死亡保険金(500万円×法定相続人数)
 ・一定額の死亡退職金(500万円×法定相続人数)


③ 課税遺産を算出する場合に、相続財産から控除できるものとできないものの区分
 ・相続財産から「控除できるもの」
   ア.相続開始時に現存する借入金・買掛金など
   イ. 被相続人の未払い所得税・住民税・固定資産税など
   ウ.未払い入院費・治療費
   エ.葬式費用・お通夜費用

 ・相続財産から「控除できないもの」
   ア.墓地などの取得に対する債務
   イ.法事、香典返しの費用
   ウ.公益事業用財産の取得に対する債務

④ 相続税がかかる財産
 イ.土地
   * 田・畑(耕作権・永小作権を含む)
   * 宅地(借地権を含む)
   * 山林
   * その他の土地
 
 ロ.家屋
   * 家屋
   * 構築物
 
 ハ.事業(農業)用財産
   * 機械・機器・農機具
   * 什器・備品
   * 商品・製品・半製品・原材料・農産物など
   * 売掛金
   * 受取手形
   * 電話加入権
 
 ニ.有価証券
   * 株式・出資
   * 公債・社債
   * 投資・貸付信託受益証券

 ホ.現金・預貯金
   * 現金・小切手など
   * 預貯金・無尽・金銭信託
 
 ヘ.家庭用財産
   * 家具・什器・備品など
   * 書画・骨董
 
 ト.その他の財産
   * 生命保険金など
   * 生命(損害)保険契約に関する権利
   * 退職金・功労金など
   * 定期金(年金)に関する権利
   * 立木
   * 3年以内の生前贈与財産
   * 船舶・自動車
   * 貸付金・未収入金・その他

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Q5 地主で不動産貸付業の税務調査

「先日、父の相続税の申告をしましたが、ここ3年間で父の預貯金が増えていません。
 わが家は代々の地主で、賃貸収入が年間1億2千万円あります。
 相続税の調査のポイントを教えて下さい。」


① 賃貸料の入金は振込みなのか現金入金なのか
 イ.一括借上や家賃保証方式、法人への貸付は振込入金が多い。
 ロ.不動産業者への集金依頼や、貸宅地、自宅周囲の駐車場の貸付は現金入金が多い。

② 使途不明金は、手許現金ありとして課税される場合がある
 イ.課税庁側は年間の「収入支出の対照一覧表」を作成します。
 ロ.1ヶ月の不動産収入が1,000万円あるのに月平均700万円だけが通帳へ入金されていれ
   ば、その差額300万円を問題にします。

③ 現金で受け取っても、一旦普通預金へ預け入れよ
 イ.法人で事業を経営している場合は、1円たりとも記帳洩れは許されません。
 ロ.個人の不動産賃貸業の、お金の収支を預金通帳を通せば、立派な帳面になります。

④ 毎月必要な生活費関連費用は通帳から引出す
 イ.月々の生活費や子供の学費、病院の入院費等は、月に1~2回まとめて預金から引出し
   て通帳にペンで使途を記入しておきます。
 ロ.お寺の寄付、冠婚葬祭、お見舞い等の領収書、案内状等を保管しておきます。

⑤ 家計簿の記帳があればよりベタ-
 イ.地主であれば近所や親戚の付き合いの出費も多いはず、家計簿の記帳が大切。
 ロ.「お金は使ったので残ってない」と主張するには、支出の証拠が必要です。

⑥ 不明な分だけ家族の預貯金等が増えていないか
 イ.手許現金から同居家族の普通預金・定期積金・定期預金へ入金になっていないか。
 ロ.家族が支払うべき保険料を親が負担していなかったか。

⑦ 恩給や年金があれば郵便局には口座あり
 イ.簡保に加入していれば、通常貯金・定額貯金・ニュー定期貯金があるかも。
 ロ.恩給や年金を受取っていれば、通帳がないとの主張は難しい。

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