労務管理の強い味方となる社会保険労務士
コラム
2011-07-25
痴漢で懲戒解雇はアリなのか?
簡単に、チカンだ!チカンだ!と言いますが、痴漢って、2種類あります。
いわゆる「迷惑防止条例違反」と、刑法上の「強制わいせつ罪」。
どんなことが条例違反で、どんなことが強制・・・かと言うのは、アレですが。
痴漢で懲戒解雇!なんていうのも、聞きそうな話ですよね。
しかし、実際は痴漢容疑をかけられたから即刻懲戒解雇というのも、なかなか難しいのです。
懲戒解雇は、職務の適正に欠けるという理由で、従業員さんに会社からグッバイしてもらうためのものなので、
経理のヒトが横領した
とか、職務と犯してしまった罪がイコールになるような、そういうたぐいのものになってしまうのが一般的です。
じゃあどうするのかというと・・・。
ひとまずここで、株式会社ニッポンの逮捕プランを確認してみます。
1.従業員さんが逮捕されました!(当日)
2.従業員さんは、48時間以内に検察官へ送致されます(2日間)
3.検察は、送致後24時間以内(1日間)に裁判所へ、いわゆる「カギこうりゅう」と言われる
「勾留」請求をします。
「このヒト痴漢したっぽいから、吐かせるための時間をちょうだい」
というのです。
で、裁判所が「閉じ込めちゃってもいいよ!」と言ったら、
請求した日も含めて10日間、検察は自分の縄張りへ痴漢したっぽいヒトを招いて
「で、本当のところはどうなのよ?」
と聞くことができます。
2時間ドラマでは、カツ丼食べたりしている期間ですね。
あのカツ丼は、被疑者の実費なんですって。
そして更に、検察が裁判所に
「10日じゃ吐いてくれないよ~ (ノД`)・゜・。エーン」
と言って哀願すると、裁判所は「やむを得ない場合」にプラス10日間の勾留延長を認めてくれます。
そして、ここで起訴にならなければ従業員さんは晴れて釈放。
と、いうことは・・・。
2日+1日+10日+10日=23日間の身柄拘束(暦日)
月曜に逮捕されて、祝日なしのカレンダーだったとしても、
痴漢したっぽいヒトの会社が週休2日の土日休みだったりすると、
この23日の間に6日のお休みがあります。
とすると、その間の労働日は「17日」。
起訴されなかった場合は、有給休暇で処理できちゃう場合が多そうですね。
反対に、起訴された場合には初公判までの「待ち」が長いのです。
こうなってくると、就業規則に自己都合の休職規定などがない場合、まともな休暇で対処できなくなりますね。
実際は、それよりももっと長い長期休暇が必要な「実刑判決」となったところで、
やっと「長期欠勤」を理由として解雇できるというのが一般的なのですね。
痴漢ともなると、「俺やってねーよー」と争うことも多いワケですよ。
もちろん、大々的な報道があったり、会社内の重要な人物だったり、
「強制わいせつ罪」となれば、話は少し違ってきますけどね。
「まあ、こんな状況だしさ、会社、辞めといたほうがいいんじゃないの?」
なんて会社から従業員さんを諭して辞めてもらったりする諭旨(ゆし)解雇くらいで、
そう易々と「会社の社会的評価に傷を付けた」と懲戒解雇できないのが現状なのですね。
だってホラ、むかーしにいた、「手鏡」元教授も、「痴漢で解雇」ではなくて、
「長期欠勤で解雇」
だったんですものね。
オイラたちも映ってる!手鏡じゃないけど。
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