コラム

 公開日: 2018-02-14 

[日本のもの、こと、ひと]香道 

◎今までの仕事の中で出会った「日本のいいもの、いいこと、いいひと」を徒然に綴りました。

二月:香道


 初めての香道体験は京都だった。順に巡ってくる三つの香炉に炷かれた香を聞き分ける「三種香」という組香。香炉は一度しか回っ て来ず、香りの違いも微妙で、違えず聞き当てることは予想以上に難しい。それがまた面白くもあり、当たれば嬉しく、外せば口惜しく、また挑んでみたくなる高度な大人のゲームだ。

 飛鳥時代、祈りの場と人を浄めるための宗教品として日本に伝来 した香はやがて、平安貴族の雅びな文化として開花し、室町時代に入ると、茶道、華道に並ぶ三芸道のひとつ、香道としての礎が築かれる。そして香道は、公家風の御家流、武家風の志野流の二大流派 が継承発展させて来た。香りの文化は世界中にあるが、芸道という芸術にまで昇華させたのは日本だけだ。

 作法に従い香木の香りそのものを鑑賞する「聞香」と、文学や季節をテーマに異なる香木を組み合わせ、ルールに則ってその違いを 聞き当てる「組香」が香道の要素となる。

 組香の代表的なものに「源氏香」がある。五種類の香木片の包み各五、計二十五包から香元(香の点前をする人)が任意の五包を選 び、順番に炷く。客は五つの香炉が回って来たら香りを聞き、全部が終了したのち、手記録紙に香りの異同を記す。まず五本の縦線を 引き、次に右から同じ香りと思うものを横線でつなぐ。この形は五 十二通りあり、源氏物語五十四帖の内、最初の「桐壺」と最後の「 夢浮橋」を除いた五十二の巻名がそれぞれにあてられている。この対応関係を記したものが「源氏香之図」で、客はこの図を見て照合 し、該当する巻名を書いて答とする。香元に答が集るとそこで初めて香の包みがあらためられ、正解を知ることとなり、最高点を得た客には、その席の記録となる唯一無二の香記が授与される。香元の 「香、満ちました。」の声で終了、という次第。

 組香は数百種類あるといわれ、紀貫之の「桜花さきにけらしなあしひきの山のかひより見ゆる白雲」をテーマにした春の「桜香」、 「星合香」は七夕に、秋には村上天皇の「月ごとに見る月なれどこの月のこよいの月に似る月ぞなき」で「月見香」など、折々に楽しい。

 身近には香専門店の主宰する体験香席もある。世界に誇る日本の文化、 香道に親しむ人がもっと増えてほしい、といつも思っている。



聞香炉
聞香炉

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