コラム

 公開日: 2011-09-21  最終更新日: 2012-04-19

日本弁護士連合会の社会科見学

現在、日弁連では小学生から大学生までの、社会科見学に対応しております。
今回は、私が広報担当として小さなお客様の前でお話をする時のテーマについて。

『弁護士の仕事ってどうなの?』

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 たとえば「学校で廊下を走ったら、30万円以下の罰金に処する」という法律があるとします。この法律の是非についてはまあ、フィクションなのでお赦しいただいて。
 ここで、A子さんがこの法律に違反したということで、逮捕されてしまいました。
 
 逮捕されたからといって、A子さんが実際に廊下を走ったということが本当かどうかははっきり決まったわけじゃありません。本当に廊下を走ったのかどうかについて事実を定め、走った場合にどの程度の罰金がよいかなと考えるのは警察ではなく、裁判所です。

 警察はA子さんが本当に廊下を走ったのかについて捜査をします。本人から話を聞いたり、目撃した人から話を聞いたりするわけです。 そして、検察官という人が警察が集めてきた証拠を元にして、裁判所に「A子さんが◯月◯日◯時頃に~学校の廊下を走ったことについて、判断をしてください」と判断を求めます。これを起訴といいます。

裁判所では、検察官が警察官の集めてきた証拠を元に

 「その人が」
 「いつ、どこの」
 「廊下を」
 「走ったよ」
 「その人は走ったことについてもちゃんと認識してるよ」
 というようなことを裁判所に主張し、証拠で立証するのです。

 じゃあ、弁護士は何をするかというと…

 私がもしもA子さんの弁護人になったとすると、私はまずA子さんに会いに行きます。
 そして、検察官からはいついつにあなたがどこどこの廊下を走ったというように言われているけど、それは本当なの?ということを聞くわけなんです。

 で、この先はご本人の話によりますが、
 「人違いだよ!」とか
 「走ったのは広場であって、廊下じゃない」とか
 「走ってないよ、スキップだよ」とか
 「廊下を走ったのは認めるけど人命がかかってたんだよ」
 
 などというようにケースバイケースの事情を聞きます。

 そして話の中でご本人に有利な事情があれば、主張したり立証したりします。
また、場合によっては目撃者などにお会いして証拠を収集したりもします。
 また「法律の趣旨からスキップなら『走る』にあたらない」というような法律の解釈についても主張することがあります。
 時には、ご本人やその周囲の人と一緒にどうしたら二度と廊下を走らなくてもすむかなぁということを一緒に考えていきます。

 裁判所は検察官と弁護人の双方の主張立証を吟味して、時にはどちらが信用できるものかな?と考えて、有罪か無罪か、有罪として罰金をいくらにするかを決めるのです。
 
 もしも、人違いだったのに、そのことを伝えてくれる弁護人がいなかったらどうでしょう?
 もしも、人命がかかってるのにそのことを言わなければ、罰金は高いものになってしまうかもしれません。 そのことを伝えたら、無罪になるかもしれないのに。

 その人のしたことが正当に裁判所に判断されるためには、どちらの立場も必要というわけです。

 どうして有罪の人の弁護をしなくちゃいけないの? 皆さんは疑問に思われるかもしれません。

 「誰から見ても」っていう言葉には実は罠があります。 だって、犯罪そのものを目撃している人はほとんどおらず、大半の人はマスコミを通じて、その犯罪行為の経緯を知っているからです。
 しかし、マスコミで犯人だと報道された人が人違いだったということは過去にもあります。つまり、マスコミの報道が事実を正確に知らせているかどうかは、わからない。
  ですので、弁護士が誰の口を介することもなく、直接ご本人の話や客観的事実をきちんと吟味する必要があるというわけです。
 
 また、裁判所は有罪か無罪かだけを決めるところではなく、有罪だとして、どの刑に処するか、どの程度の刑に処するかも決めなければなりません。
 その判断の材料として、再び犯罪を繰り返さないか、周囲のサポートはあるか、どうしてこの人はこれをしたのか?などの事情があります。 これらの事情は弁護人の方から積極的に主張立証しなければ、裁判所は適正な判断ができなくなり、その人が事実よりも重い責任を負わなければならないはめになってしまいます。
 適正な判断は一方だけの主張や立証ではできないということです。
  
 それにね、これは実はとっても大事なことですが、その人の立場で、どうしたらこの人は二度とこんなことをしないですむようになるかなと真剣に考える人がやっぱり必要です。 その人自身が諦めていたり、その人の周りが諦めてしまっていることは多いけれど、でも、弁護士が真剣に考えることをきっかけに、その人や周囲が気づいてくれることもあるんです。

そんなわけで、私はそれほど頻繁ではありませんが、刑事弁護や少年事件の付添人の仕事をしています。

日弁連への社会科見学について
http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/fieldtrip.html

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