コラム

 公開日: 2016-09-26  最終更新日: 2016-09-27

治療例の紹介 めまい

めまいを訴える患者さんは、首から耳の後方にかけて、肩から肩甲骨の内側にかけてに硬さがみられることが多く、その根本は腰部であったりもします。

性別

女性

年齢

30歳代

最もお困りの症状

めまい

その他の症状

食事中や食後の胃の不快感、食欲不振、頭痛、首痛、眠りが浅い、冷え性、生理痛

初診時の症状、体質

初診時は産後1年半。産後から、めまいが続いている。耳鼻科で受診したが異常なしと言われた。

めまいは、フワフワした感覚で、料理をしている時にかなり感じる。朝、晩に屋内である。

めまいと似た感覚として、出産後から乗り物酔いするようになった。自転車を自分で乗っていても酔ってしまう。

食事中、食後の胃の不快感、食欲不振がある。時々、頭痛があり後頭部と首も痛むことがある。

眠りが浅く、熟睡できない。季節に関係なく手足の冷えを感じる。

生理時は、出産前は生理痛があったが、出産後は胃もたれがある。

腰痛としては、椎間板ヘルニアと診断されたことがあるが、現在は気にならない。

診察

出産をきっかけに、様々な症状が表に現れ、睡眠状態の低下なども重なり、お体全体としても低調な状態が続いているといった印象です。

首は左右とも第1頸椎付近に外側に向かって硬さが連なっています。肩部は左右ともかなりはっきりとした硬さがあります。

肩甲骨の内側は第6~7胸椎付近に硬さがあり、ここが硬いと睡眠に問題がでてくる傾向があります。

第12胸椎付近には胃や膵臓(すいぞう)と関連が深いツボがあります。この第12胸椎付近を圧すだけで、患者さんご本人として嫌な感覚があると仰っていたことからも、第12胸椎付近に異常がみられ、私が触れても硬さがありました。

治療内容

めまいに関してですが、以下の主に3つの原因が考えられます。
①耳の三半規管の障害
②脳への血流量不足
③精神的なストレスなどによる自律神経の乱れ

①に関しては、第1頸椎から耳にかけてに異常がみられることが多いです。この患者さんの場合、左右第1頸椎の外方向の耳に向かうライン上にみられる硬さが明らかで、この硬さを鍼によって緩めます。

②は、第1~4頸椎の際に硬さがみられます。これは頭痛の原因にもなりえます。この患者さんの場合は第1頸椎付近に硬さがみられます。この硬さを解消できれば、頭痛にも効果がみられるはずです。

③は全身の問題になりますので、首から骨盤までの背骨を中心に治療が必要になります。この患者さんの場合は、胃もたれや胃の不快感、吐き気、睡眠の質の低下といった症状も含めて、お体全体を診ながらの治療が必要です。

第12胸椎付近にみられる硬さを鍼で緩めていくことで、胃や膵臓の機能が高まり、胃の不快感や食欲不振といった症状に改善がみられてくるはずです。

また、睡眠の質を上げるためにも、第6~7胸椎付近の硬さを緩めることも大切です。ご本人は、はっきりとした腰痛といった自覚症状はないようですが、第5腰椎と仙骨部の周辺は体の土台を整える意味でも、柔軟性の高い状態を実現できるよう鍼ができたらと思います。

治療のポイント めまい

経過

初診後から眠気やめまいが強くあったりすることが数日間続くことがありましたが、その後は体がスッキリしてきて、初診から5週間後には、めまいの頻度が少なくなってきました。

その後は、朝にだけめまいがあるが、日中や晩にはめまいが起きることはなくなりました。

初診から2ヵ月後には、めまいはほとんど気にならなくなり、乗り物酔いをすることもなくなりました。

食事中や食後の胃の不快感や吐き気も初診後は、一時的に強くある時がありましたが、その後は不快な症状は続かずに治まるといったことがありました。

治療期間: 6ヶ月
(めまいがほとんど気にならなくなった…初診から2ヶ月)

治療間隔: 週に1回

患者さんご自身が感じられた変化

鍼治療を始めた当初は、一時的に強い眠気に襲われたり、頭痛が起きたり、胃がつらく感じたり、今思えばいろいろな変化がありました。

少しつらく感じる時期もありましたが、体が快方に向かうには、いろいろな変化が必要だということで、神尾先生には励まされました。

そのつらい時期を乗り越えたころに、徐々に体調が上向き始めました。私は、いろいろと症状があり、特にめまいと胃の症状が強かったですが、徐々に気にならないものになってきました。

めまいに関しては、初診時には朝に晩に、よくめまいがありましたが、徐々に朝だけになり、今では特に気にならなくなってきました。

めまいとも関係がありそうなことですが、私は乗り物酔いがかなりあって、自分で自転車に乗っていても酔ってしまうほどでしたが、その乗り物酔いは全くなくなりました。

考察

治療の欄に示したように、めまいには主に3つの原因が考えられますので、その3つを注意深く診ていくことが必要です。

この患者さんの治療のポイントは、第1頸椎から耳に向かって硬さが連なり、私が指で圧すだけで、ご本人は痛みを感じるほど硬さが強かったです。

また、バランスを欠いた首を支えるために肩部のコリも強く、その影響もあり、肩甲骨の内側の第6~7胸椎付近にまで硬さが連なっている状態でした。

第12胸椎付近にも異常がみられ、胃の症状が強く現れているのも当然に思えました。

上記のポイントを踏まえて、全身のバランスを整えることを念頭に置き、治療を進めていくことで、初診から2ヶ月ほどで徐々にめまいをはじめとする各症状が改善されてきました。

この患者さんのように、鍼治療を始めた当初に、眠気が強い、胃の症状がつらく、頭痛がある、といったように、一時的に様々な症状が強く現れる場合があります。

これを東洋医学では、好転反応と呼びます。この好転反応は患者さんそれぞれによって様々な形で現れ、それが強めに出る方もいれば、緩やかに出る方もいますし、特にはっきりとは出ずに快方に向かわれる方もいます。

私の印象としては、好転反応はある程度、はっきりと出る方のほうが、早く症状が改善され、快方に向かわれると思います。

患者さんが抱えていた毒素というか邪気というか、そういったネガティブなものが表に出てきて、それを出し切れれば、体は本来の健全な状態に戻れるのではないでしょうか。

一般の医療では、あまり考えられない現象ですが、鍼灸だけでなく漢方薬の世界でも当たり前のこととして、好転反応はあります。

何事も改革を求められる際は、負担や不具合といったことがあるのは当然のことですし、そのような困難を乗り越えてはじめて、改革が進むのと、体も同じことがいえるのではないでしょうか。

この記事を書いたプロ

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はり師 神尾理

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