コラム

 公開日: 2016-08-29 

治療例の紹介 自律神経失調症

自律神経失調症は、症状として複数あったり、曖昧だったりし、また西洋医学では検査結果にはっきり現れないといったこともあり、治療の手立てがなかなかないといったことが現状ではないでしょうか。

自律神経失調症は、意思とは関係なく、体の様々な調節を自動的に行なってくれる機能が失調している状態ですので、侮ることはできません。

また、体の一部分が原因というより、体全体のバランスの欠如といったことが原因で、自律神経の働きが低下していることが多いという点でも、鍼治療の得意とする疾患の一つではないでしょうか。

性別

男性

年齢

50歳代

最もお困りの症状

自律神経失調症

その他の症状

子供の頃は喘息があったが、この数年はない。

初診時の症状、体質

高校生の頃から自律神経失調症が原因で、だるさ、不眠、頭重感、のぼせ、肩こりなどがある。

睡眠に関しては、寝つきや寝起きが悪く、眠りが浅く、夜中に目が覚めることもあり、子供の頃から熟睡できることがない。

症状としては、頭痛、耳鳴り、眼精疲労、めまい、立ちくらみ、動悸、足部のむくみ、下肢がピリピリする痺れ、手足の冷えがある。

精神的には、神経質で、イライラすることが多く、憂うつ感、不安感がある。

診察

自律神経失調症とは、特に原因がはっきりとしないが、様々な症状が現れ、精神的にも不安定な状態となります。

自律神経とは、体の様々な調節を自動的に行なう機能を司る神経です。代表的なものは、心拍、血圧、血液量、体温、血液のペーハー、発汗、消化、排泄などの調節となります。

自律神経は交感神経と副交感神経という緊張とリラックスをもたらす信号によって、意思とは無関係に体の様々な調節を自動的に行っています。

多くの患者さんは過緊張状態にあり、鍼の刺激には心地良さというリラックスできる感覚があり、そのような鍼の刺激が自律神経を整えていく作用があるとされます。

自律神経について詳しくは、免疫のことを含めて説明しているコラム記事がありますので、ご興味ある方はご覧下さい。
鍼神尾 マイベストプロコラム
免疫力ってどういうこと?~免疫力と自律神経の関係と腸内環境について~


この患者さんのお体の全体的な印象としては、頸部、肩部、肩甲骨内側、腰椎1~5番、仙骨部(骨盤)の硬さが顕著でした。

特に、不眠症の方の特徴である頸部、肩部、肩甲骨内側の硬さは連なっているような印象があり、睡眠状態の改善が最初の目標とすべきだと思いました。

腰部は深い所が硬く、体の土台でもありますので、硬さを緩めて、バランスの良い土台を作る必要があります。また、腰部は消化器系、腎臓、副腎などと関連が深いこともあるので、全身への影響は大きいです。

治療内容

自律神経失調症の症状には様々なものがありますが、鍼の刺激によって、自律神経が整うことで、多岐にわたる症状も徐々に改善されます。

この患者さんの場合は、頸部、肩部、肩甲骨内側、腰椎1~5番、仙骨部の硬さを鍼によって緩めていくことで、滞りのないバランスのとれた状態を目標としました。また、ツボの名前としては、陶道(とうどう)、神道(しんどう)といった背骨の中心を走る線上のツボも重視しました。

まず最優先されることは、睡眠の質を上げるためにも、頸部、肩部、肩甲骨内側の硬さと張りをとることとなります。睡眠の質が上がれば、体を回復させる力が増強するからです。

その後は、体の土台部分である腰部、仙骨部を中心に整えていけたらと思います。

治療のポイント 自律神経失調症

経過

治療を開始した当初は、治療を受けてからの3日間は眠気が非常に強く、昼も夜も寝てしまうことがあり、便通が多かったり、便秘になったり、動悸を強く感じたり、息苦しいことがあったりと様々な変化がありました。

これは、鍼治療によって、体が動き出し、特に眠気が強く、寝続けてしまうというのは、体の欲求であり、体が治る方向を向き始めたといえると思います。このような変化は多くの患者さんが経験することです。

初診から2ヶ月が経ったころには、動悸、息苦しさ、便秘、下肢の痺れ、頭痛といった諸症状が改善されてきました。

その頃、ご本人は、鍼治療を続けていく内に、ご自身の体の不調の根本は腰にあるのではないか、ということを仰っていました。

治療も初診当初は、頸部、肩部、肩甲骨内側といった体の上部を最も重視するものでしたが、徐々に体の上部が緩みだすにつれ、重視する個所も腰部や仙骨部に移行していきました。ご本人も腰が緩むと、呼吸が楽になったり、睡眠にも良い影響があると仰っていました。

その後は一時期、腰の痛みが浮かび上がってきた、とご本人は仰っていましたが、その時期を過ぎると、今までで最も体調が良いと仰っていました。

治療期間: 4ヶ月

治療間隔: 週に1回

患者さんご自身が感じられた変化

子供の頃から喘息があり、若い頃も精神科に通ったりした時期もあり、その後も様々な症状に悩まされ、今までも色々な治療を受けてきました。

鍼灸治療も以前に他の鍼灸院で受けたこともありましたが、自律神経失調症に関する説明にしっくりくることがありませんでした。

こちらの鍼灸院では、鍼の刺激が、自律神経の交感神経と副交感神経に対して働きかけ、自律神経が整っていく、という説明がありました。また、体の負担がかかっている個所に硬さが現れ、その硬さを一つずつ緩めていくことで、体内の滞りが解消され、循環の良い体作りが根本治療であるという説明に私も納得することができました。

体調としては、様々な症状があったにも関わらず、特に最初は体の上部に現れる頭痛、息苦しさ、動悸、耳鳴り、眼精疲労、めまいといった症状がつらかったですが、そのような症状に改善がみられてからは、それまで自覚症状としてはほとんどなかった腰が自分にとって最も治療が必要だった個所だということに、鍼治療を受ける度に気がつかされました。

腰は体の中心であり土台であるわけですから、枝葉末節ばかりでなく、中心部を治さないかぎり、私のような、どこの治療院でも良くならなかった患者は、なかなか良くならないといえそうです。

考察

この患者さんは治療開始当初は、体の上部に現れる症状を最優先する治療から始め、体の上部が緩むにつれ、治療のポイントとしては腰部に重点が移っていきました。

ご本人としても腰部は自覚症状があまりなく、意識が薄かったようでしたが、治療が進むにつれ、腰部の重要性に気がつかれ、驚いていました。

腰部は体の土台であり、全身に影響を与えます。土台が狂えば、体はバランスを失い、土台が整えば、体は快方に向かえるといえます。

自律神経失調症は、どこか体の部分的なことではなく、体全体の疾患だと思います。体の滞りを解消し、体のバランスが整うことで、様々な症状は快方に向かいます。それができるのが、鍼治療の優れた点だと思います。

この記事を書いたプロ

鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお) [ホームページ]

はり師 神尾理

東京都豊島区高田1-40-10 グランヴァン目白ヒルズ801 [地図]
TEL:03-6907-3250

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
治療案内・ご予約方法

治療についての詳細は、当院HP「治療について」をご覧下さい。「鍼はなぜ効くのか」ページ「実際にはどのように治療するのか」ページ「鍼は何病に効くのか」ペ...

Q&A

私が使う鍼は、鍼作りの職人の方に、私の師匠から受け継いだ鍼の仕様で特別注文で製作していただいています。素材は、伝統的な鍼の場合、一般的には銀製が多いようです...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお)の神尾理さん

はりで体の深いところをほぐすと、その人自身が持つ力が発揮できる(1/3)

 地下鉄東京メトロ副都心線、雑司が谷駅から徒歩4分。落ち着いた街並みの中にあるマンションの一角に、鍼 神尾(はり かんお)はあります。院長の神尾理さんは若い頃、腰痛をきっかけに寝たきり状態になったこと、また、母がすい臓がんを患ったことから、...

神尾理プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

伝統的なはり技法で体の滞りを解消して病の根治を目指す

屋号 : 鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお)
住所 : 東京都豊島区高田1-40-10 グランヴァン目白ヒルズ801 [地図]
TEL : 03-6907-3250

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-6907-3250

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

神尾理(かんおおさむ)

鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお)

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

睡眠導入剤には頼りたくない!

≪治療や治療院に関するご感想、治療効果、来院までの経緯、今...

A.S
  • 女性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
マイベストプロサイトでの掲載の終了のお知らせ

今月で、マイベストプロサイトへの掲載を終了することになりました。今まで、コラム記事などを御覧いただいた...

[ お知らせ ]

ツボの紹介 第5回 「脾兪」「胃兪」
イメージ

今回のコラムがツボの紹介としては、第5回となります。ツボについては以下のコラムをご覧いただけたらと思います。...

[ ツボの紹介 ]

治療例の紹介 通風
イメージ

通風の痛みは、足の指の付け根などに嫌な神経痛が最初にあり、場合によってはかなり痛みも強いようです。そんな通...

[ 通風 ]

ツボの紹介 第4回 「心兪」
イメージ

今回のコラムがツボの紹介としては、第4回となります。ツボについては以下のコラムをご覧いただけたらと思います。...

[ ツボの紹介 ]

背部兪穴とは ~腰背部に並ぶ臓器を癒すツボ~
イメージ

背中や腰には、「~兪(ゆ)」といったツボがあります。このようなツボのことを「背部兪穴(はいぶゆけつ)」とい...

[ ツボの紹介 ]

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ