コラム

 公開日: 2016-08-09 

治療例の紹介 腰痛

腰痛を訴える患者さんの多くは、腰部と骨盤の境目の深部が硬く、その硬さを鍼によって緩めていくことで、腰痛に改善がみられ、快方に向かいます。

この患者さんの場合は、腰部と骨盤の境目を緩めるだけでなく、太ももの裏のハムストリングを緩める必要がありました。ハムストリングが緩むに従い、腰痛にも改善がみられた症例となります。

性別

女性

年齢

30歳代

最もお困りの症状

腰痛

その他の症状

胃もたれ、便秘、眼精疲労、冷え性、生理痛

初診時の症状、体質

左下半身、左腰が重く、左足の裏がしびれる感じがある。左腰は季節の変わり目や寒い時期に痛むことがある。今日も痛みはある。腰は右が痛むことはない。

左の太ももの裏を肉離れすることが2年前から度々、繰り返している。

疲れが溜まると胃がもたれることがある。睡眠状態は、朝起きた時にスッキリしない。やや便秘傾向で、2~3日に1回。眼精疲労。膝から下は夕方にむくみがある。以前は偏頭痛があって右肩が張り過ぎの状態になると首まで痛むことがあった。冷え性で、手足が冷え、夏場は冷房がつらい。生理時は腹痛がある。

今月、仕事が忙しいこともあり、体がだるく、疲れがとれず、ボーっとすることが多い。

診察

首、肩、腹部には、ほぼ硬さ、張り等なく、良い状態です。肩甲骨内側に少しだけ張りがありました。

腰部は、第1腰椎付近に三焦兪(さんしょうゆ)というツボがあり、このツボに反応があり、鍼をしました。

腰部で最も気になるのは、第3~5腰椎の左側の深部に硬さが連なることです。また、臀部も左のみ、硬さがあり、右にはないことからも、腰部は左側に大きく負担がかかった状態で、左側の深部を硬く固めることでバランスを取っている状態に思えます。

治療内容

体がだるく、疲れが取れないことからも、第1腰椎付近のツボである三焦兪を緩めていくことが必要です。三焦兪は副腎という腎臓の上に位置する臓器と関係が深く、副腎は様々な副腎ホルモンを分泌し、体全体を整える作用があります。三焦兪の硬さを緩めていくと、副腎の機能が高まることで副腎ホルモンの分泌が高まり、全身の各臓器に作用して体調が整います。

腰部はご本人の訴え通り、左側の深部に硬さがみられ、その硬さを鍼によって緩めていくことで、左右のバランスが整い、左側に出ていた痛み、しびれ、といった症状もなくなっていくと思います。

また、冷え性、便秘傾向、むくみといった症状は、体全体の循環が悪いことが根本的な原因に思えます。

三焦兪、腰部~仙骨部の左側の硬さに加え、全身の細かな硬さを鍼によって緩めていくことは、腰の症状の改善、消失ばかりでなく、全身の血液、神経、気といった循環が滞りなく流れることになりますので、疲れが取れない、冷え性、便秘、むくみといった症状の改善、消失にもつながると考えます。

腰痛の治療ポイント

ハムストリング

経過

初診~第4回までは、三焦兪、腰部~仙骨部を重視した治療となりました。その間、腰の痛みや臀部から太ももにかけての神経痛が現れたり、消えたり、といった激しい波がありました。

それと伴に、太ももの裏(ハムストリング)に痛みがはっきりと現れてきたこともあり、三焦兪、腰部~仙骨部に加え、左の臀部とハムストリングも重視する治療となりました。

その結果、第7回には、痛み止めの薬を服用しなくても過ごせるようになり、その後は徐々に腰や太ももの裏の痛みが和らいできました。

治療期間: 2ヶ月

治療間隔: 週に1回

患者さんご自身が感じられた変化

治療を始めた当初は、治療当日~3日ほどは腰が楽になりましたが、その後は神経痛が出てきたり、体がだるかったり、波が激しいというか、良い状態が1週間、続かないといった時期がありました。

その内、以前に肉離れを起こしていた太ももの裏が痛くなってくることもあり、太ももや膝の下にも鍼をしてもらうことになりました。

その後、初診から2ヶ月経ち、腰のほうは痛み止めの薬を服用する必要もなくなりましたし、だいぶ楽になってきました。

胃もたれ、冷え性、生理痛といった症状はまだ完全には良くなっていないので、今後も鍼治療を続けて、良くなることを期待しています。

考察

腰痛で悩まれている患者さんの治療ポイントとして、まず最初に考えなくてはならないのは、第5腰椎と仙骨部とのつなぎ目の個所を中心に、腰部、臀部、仙骨部といった個所の深部の硬さをいかにして鍼によって緩められるか、ということだと思います。

この個所は、人間が二本足で立つことにより、最も負担がかかる部位であり、負担がかかる個所は筋肉を固めて耐えるという作用があります。その固めた硬さが一定の強さに達すると、腰痛はもちろんのこと、臀部や足につながる神経を圧迫することからも、臀部や足の方向に神経痛が出たりします。

この患者さんの場合、初診~第4回までは、腰部、臀部、仙骨部の硬さを徹底的に緩めることを最も重視していました。その結果、深部の硬さが緩むことで、今までの悪いなりのバランスが崩れ、不安定な時期がありました。このようなことは、良くなる前の段階としてよくあることです。

第5回には、太ももの裏(ハムストリング)の痛みを訴えるようになりました。これは2年前から繰り返している痛みということでした。このハムストリングの筋肉は、骨盤、臀部や腰部の筋肉と連動していることからも、ハムストリングの痛みと、今回患者さんが訴えている腰や臀部の痛みに関連が深いと判断し、その後は、左のハムストリングの筋肉の硬さも緩めていく治療となりました。

その結果、ハムストリングの痛みだけでなく、腰部と臀部の痛みに改善がみられるようになりました。

腰痛を抱える患者さんの多くは、腰部、臀部、仙骨部の深部の硬さを緩めることができれば、快方に向かいますが、この患者さんの場合は、ハムストリングの筋肉の状態が腰部にも影響するケースでした。

便秘、冷え性、胃もたれ、生理痛といった症状は初診から2ヶ月の時点では、はっきりと良い結果は現れていません。このような症状は、体質を改善させていかなくてはならないということもあり、時間が必要とされます。今後、鍼治療を継続されることで、良い変化が現れてくると思います。

この記事を書いたプロ

鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお) [ホームページ]

はり師 神尾理

東京都豊島区高田1-40-10 グランヴァン目白ヒルズ801 [地図]
TEL:03-6907-3250

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
治療案内・ご予約方法

治療についての詳細は、当院HP「治療について」をご覧下さい。「鍼はなぜ効くのか」ページ「実際にはどのように治療するのか」ページ「鍼は何病に効くのか」ペ...

Q&A

私が使う鍼は、鍼作りの職人の方に、私の師匠から受け継いだ鍼の仕様で特別注文で製作していただいています。素材は、伝統的な鍼の場合、一般的には銀製が多いようです...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお)の神尾理さん

はりで体の深いところをほぐすと、その人自身が持つ力が発揮できる(1/3)

 地下鉄東京メトロ副都心線、雑司が谷駅から徒歩4分。落ち着いた街並みの中にあるマンションの一角に、鍼 神尾(はり かんお)はあります。院長の神尾理さんは若い頃、腰痛をきっかけに寝たきり状態になったこと、また、母がすい臓がんを患ったことから、...

神尾理プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

伝統的なはり技法で体の滞りを解消して病の根治を目指す

屋号 : 鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお)
住所 : 東京都豊島区高田1-40-10 グランヴァン目白ヒルズ801 [地図]
TEL : 03-6907-3250

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-6907-3250

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

神尾理(かんおおさむ)

鍼灸院 鍼 神尾(はり かんお)

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
このプロへのみんなの声

睡眠導入剤には頼りたくない!

≪治療や治療院に関するご感想、治療効果、来院までの経緯、今...

A.S
  • 女性 
  • 参考になった数(0

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
マイベストプロサイトでの掲載の終了のお知らせ

今月で、マイベストプロサイトへの掲載を終了することになりました。今まで、コラム記事などを御覧いただいた...

[ お知らせ ]

ツボの紹介 第5回 「脾兪」「胃兪」
イメージ

今回のコラムがツボの紹介としては、第5回となります。ツボについては以下のコラムをご覧いただけたらと思います。...

[ ツボの紹介 ]

治療例の紹介 通風
イメージ

通風の痛みは、足の指の付け根などに嫌な神経痛が最初にあり、場合によってはかなり痛みも強いようです。そんな通...

[ 通風 ]

ツボの紹介 第4回 「心兪」
イメージ

今回のコラムがツボの紹介としては、第4回となります。ツボについては以下のコラムをご覧いただけたらと思います。...

[ ツボの紹介 ]

背部兪穴とは ~腰背部に並ぶ臓器を癒すツボ~
イメージ

背中や腰には、「~兪(ゆ)」といったツボがあります。このようなツボのことを「背部兪穴(はいぶゆけつ)」とい...

[ ツボの紹介 ]

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ