コラム

 公開日: 2015-08-30  最終更新日: 2016-06-28

治療例の紹介 五十肩

下記リンク先の前々回、前回のコラムに続きまして、五十肩の症例を紹介させていただきます。
五十肩はどうしたらいい?
五十肩の体操療法

性別

女性

年齢

50歳代

主訴症状(最もお困りなこと)

五十肩。

先月から左肩、左腕を挙上しずらく、服の脱ぎ着が困難。左肩前面や後面に痛みがあり、うつ伏せでも左肩がつらくなってくる。右肩も以前は五十肩の症状があった。

随伴症状(主訴以外の症状・体質)

不眠症、尾骨痛、肩こり、冷え性、眼精疲労、便秘。

診察(初診時)

首~肩~肩甲骨内側にかけての硬さが非常に強いです。鍼が目的の硬結(硬さ)に当たると、鍼が食いつかれる感触が強く、当たりは重く、その状態から硬結が緩み出すまで時間がかかります。

左肩甲骨の周りや上腕前面、後面が非常に硬く、動きも悪いです。

治療内容

左肩甲骨の周り、左上腕前面と後面の硬さを鍼によって緩めていくことが必要です。

五十肩はある期間、肩が痛み、肩の動きが悪くなり、つらい時期が続きますが、そのつらい期間が過ぎると突然、完治してしまうことがほとんどです。このつらい期間は患者さんによって半年~1年、それ以上長引く場合もあります。

肩や上腕の痛む箇所が硬く萎縮しています。この硬さを鍼によって少しずつ無理せずに緩めていくことで、この肩がつらく痛む期間を短縮することができます。完治するまでに本来は半年かかるところを3ヶ月、2ヶ月とできるよう治療を継続していきます。残念ながら、五十肩を1回の鍼治療で全快させるといったことは考えにくいです。なぜなら、五十肩は40歳代、50歳代の方に多くみられますが、40年、50年といった期間による体の歪(ひずみ)が原因ともいわれていて、長期間かけて発生した症状は、快方に向かうにもある程度の時間が必要となりからです。

五十肩によるつらい期間をできるだけ短縮できるよう努め、早期の完治を目指します。

経過

以下の経過は全記録ではなく、患者さんの変化が顕著なものです。

初診 3月29日
左肩、左腕が挙げずらく、服の脱ぎ着が困難。何もしなくても肩が重力に引っ張られる感じがして痛む。

首~肩~肩甲骨内側にかけての硬さが尋常ではない。左だけでなく右の硬さも明らか。

第2回目 4月6日
前回の初診後は体が軽く感じた。肩前面と後面に痛みがある。

上腕の三角筋の縁に沿って硬さが連なる。

第3回目 4月12日
左肩と左腕のつらさは先週ほどではない。

胸鎖関節、鎖骨下縁の肩さに対しても鍼をする。左肩甲骨外側はまだ硬さがあり、指で圧すると痛む。

第5回目 4月26日
肩の痛みは日常的に常に痛いということがなくなってきたが、突然痛むことがある。

左肩は肩甲骨の肩甲棘の先端付近に重点を置いて鍼をする。

第6回目 5月3日
左肩の痛みは普段はなくなってきたが、動かすと痛み、手を後ろで組んだり、完全に左腕を真っ直ぐに挙げることができない。

胸鎖関節、鎖骨下縁の肩さはまだはっきりとしている。鍼の当りとしては、ガリガリと繊維っぽさが感触としてある。

第7回目 5月10日
上腕の痛みが強くなり、手がしびれることがあった。

第8回目 5月17日
前回、言っていた手のしびれはその後はない。首をまわすと首すじがつらい。

鍼は肩関節部分を中心に、上腕の前面、左首~左肩部も重視した。

第9回目 5月24日
手を頭の後ろで組んで、上下に動かすことができるようになった。普段も、普通の動きの中で痛むことがない。

左肩部、肩甲骨内縁が緩んできたように思える。ご本人も効果をはっきりと感じていて、気持ち的にも積極的になれている。

第13回目 6月21日
肩はほとんど痛むことがない。ご本人、これまで週一回の治療を隔週に一回にしたい。

第17回目 7月20日
肩に関しては、ほぼ問題はないが、首を回すと首が痛む。

肩に関しては、硬さがとれていて、鍼の数もかなり減った。左首~肩にかけての硬さを丁寧に取り除きたい。

治療期間

3月29日~7月20日 計17回
(五十肩に関してほぼ完治するまでの期間であり、この患者さんの場合は不眠症や尾骨痛といった症状に対する治療はその後も続きました。)

治療間隔(頻度)

最初の3ヶ月間…週1回
3ヵ月後…隔週に1回

考察

この患者さんの場合は、初診時に主な症状として、五十肩、不眠症、尾骨痛と3つの症状をお持ちでしたが、初診時に最も深刻なものは五十肩で、肩を動かさなくても痛みで、顔が歪むほどで、ご本人もまずは五十肩をどうにかしてほしいとのことでした。

治療を進めていく内に、五十肩に関してはほとんど問題がなくなり、不眠症や腰痛を含めた尾骨痛に重きを移行していきました。この症例では、五十肩に関することに絞った内容といたします。

五十肩の症状の変化は以下のようでした。

肩を動かさず、安静にしていても、重力で下方向に引っ張られるだけでも痛み、動かすこともままならない。
   ↓
安静にしている状態であれば痛みが軽くなったが、腕を挙げたり、両手を頭の後ろで組んで手を上下に動かそうとすると痛む。
   ↓
一度、上腕の痛みが強くなり、手がしびれ、ご本人、心配になる。
   ↓
手のしびれはその後はない。首をまわすと首すじが痛む。
   ↓
日常生活で肩が痛むことがなく、手を頭の後ろで組んで手を上下に動かしても痛みがなくなった。
   ↓
肩に関して、問題がなくなった。

上記のような経過があったわけですが、小さな波というか、良くなって悪くなって、また良くなる、といったことは治療において当たり前にあることです。この患者さんの場合もそのような波はありましたが、約4ヶ月間で五十肩はほぼ完治しました。

注目すべきは、第7回目の2014年5月10日にあるように、上腕の痛みが強まり、手がしびれる、ということが一時的にありました。一見、悪化しように見え、心配される方がいらっしゃるかもしれませんが、そういうことではありません。

これは、凝り固まった首~肩~肩甲骨内縁、上腕前面、後面が鍼によって緩みだし、今まで圧迫されていた神経や血管が開放されて、今まで機能していなかった神経や組織が目を覚まし、このような痛みやしびれが現れたのだと考えます。

このような反応が出てそれが治まると、一気に症状に改善がみられることが多々あります。一見、痛みが強くなったり、それまでなかった症状がでると患者さんは不安になるようですが、この患者さんとも上記のように、良くなる過程で、色々な反応が出ることがありますよ、といった話はよくしていたので、ご理解いただけていたように思えます。これは、五十肩に限らず、鍼治療において、あらゆる疾患に対していえることです。

また、初診から4ヶ月後に突然完治したのではなく、上記のような経過の中で、安静時の痛みがとれ、動きが良くなるといった変化があり、そのような徐々に良くなっている実感を患者さんご自身に感じていただいていたので、患者さんも鍼治療に対して意欲的に取り組んでいただけたかと思います。
五十肩の症例01

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