コラム

 公開日: 2015-02-08  最終更新日: 2016-06-28

治療例の紹介 腰痛

腰痛症は来院される患者さんの最も多い症状の一つです。

治療は、体全体のバランスを意識しながらも、特に腰椎5番付近と骨盤の凝り固まった深部を鍼によって緩めていくことを重視します。

その患者さんの長年の腰への負担や体の使い方の癖などが原因になっていることも多いですが、腰部が緩めば必ず症状に変化があります。

「腰」は体の要でありますから、「腰」を治すことは体全体に対する効果に波及します。

腰痛症の症例として以下をご紹介させていただきます。

性別

女性

年齢

60歳代

主訴症状(最もつらい症状)

腰痛症

随伴症状(主訴以外の症状・体質)

右肩周辺の痛み、中性脂肪と肝機能の数値が悪い、下痢

診察(初診時)

1ヶ月前に腰が痛み始めた。歩行中に腰の筋肉が硬直するような感覚があった。3年前にも腰痛があったが、その時は左腰のみで、今回は左右ともにある。今は特に左臀部に痛みがある。

肩部は右鎖骨外側下端に硬さがはっきりとある。腰部は、左右の腰椎1番~4番まで硬さが板状にある。骨盤の仙骨上よりも腰部で体の負担を受けているような印象。

2ヵ月後に海外旅行の予定があり、トレッキングなどを含むツアーなので、そのツアーに無理なく参加できるようになることが短期的な目標。

治療内容

腰部を中心に長年かけて悪化させてきているような印象。なかなか短時間でスッキリとした結果を示すことは難しいが、ご本人の希望である2ヵ月後の海外旅行を無理なく楽しめるよう、週1回の治療で結果を出せるような治療をしたい。

治療は、頸部、肩部を緩ませつつ、とにかく、板状に凝り固まった腰部、特に胸椎12番~腰椎5番までを徹底的に緩められるよう腰部に時間をかけたい。坐骨神経痛があるようであれば、仙骨や腸骨上の深部への鍼で骨盤周りを緩めたい。旅行出発日直前まで週1回、通院していただいて、腰痛の緩和、消失、体の動きに変化が出てくるかなど、様子をみながら治療したい。

経過

初診 5月12日
腰部は左右とも板状の硬さで、鍼も入りづらく、当たりも重い。左の腎兪(腰椎2~3番)付近は、ご本人、響きが強く、しっかりとした手応えは鍼から伝わってくるものの、緩みきるところまではいかない。鍼を抜く時も、体が鍼を離してくれないほど緩みきらないとも言えるし、体が鍼を要求しているようにも思えた。

第2回目 5月19日
ご本人、腰の痛みがこの数日間はあるが、前回の治療後は体をかがめたり、足を組んだりしても以前よりも痛みは出ない。左右とも臀部の痛みが気になる。

胸椎12番~腰椎5番までの硬さはかなり強い。前回よりも臀部の治療を積極的に行なった。

第3回目 5月25日
前回の治療後、腰痛が緩和されてきたが、うつ伏せになると、腰椎5番付近がつらい。

腰部は右が少し緩んできたように感じる。左は依然として硬さが根深い。背部は少し右の腰部が緩んできたせいか、左肩甲骨内側に張りが浮かんできたように数箇所、硬さが連なる。治療は、肩部、肩甲骨内側、腰部、臀部を中心とした。

第4回目 6月1日
ご本人1日に一度ぐらい腰痛を感じる。歩行時によくあり、止まって休むよう。腰椎5番付近と臀部のやや下方がつらい。でも、以前の腰の痛みとは異なり、日常的につらいということはなくなってきた。

前回同様、左肩甲骨内側に張りが目立つ。腰部は鍼の本数が減って、打つべきツボに集中できてきている。鍼の感触としては、腰部の硬さは非常に強いままだが、鍼をすると緩む感じは、はっきりとある。

第5回目 6月8日
今日は、腰痛がはっきりとあり、右臀部が特につらく、重く感じる。歩行時には左足の前面に痛みがでる。

左の肩甲骨内側の張りが取れてきている。腰部は鍼の入りやすさが少しでてきているが、深部の硬さは依然として強い。

第6回目 6月15日
今日は左臀部、昨日は左右臀部に痛みがあったが、歩行が困難だったりすることはない。

背部の張りは緩んできており、腰部に集中する。腰部は鍼が少し入りやすくなってきている。今回が海外旅行前の最後の治療となり、ご本人としても腰の症状としても自信を持って出発できそうとのこと。

第7回目 9月29日
3ヶ月半中断。6月の海外旅行は無事に楽しむことができた。ご本人は、来年2月の今度は南米ツアーに参加できるよう準備していきたいとのこと。日常的に腰が痛むことはないが、先日お墓参りで掃除をかなりやってから、翌日から腰が痛み、左足の裏の筋肉が硬直している。治療は3ヶ月半ぶり。

肩~肩甲骨内側にかけて特に左側に硬さが連なる。腰部は第2~第5腰椎、臀部にかけて硬さが板状につながっている。特に第5腰椎は脊柱に近いところから外側に向かって硬さが伸びている。

第8回目 10月4日
腰は楽になってきている。歩行時に左足の小指に痛みを感じた。

頸部、肩部の硬さが気になったが、腰部に重点を置く。腰部は鍼の入りずらさがあったが、はっきりとした当たりが多い。第5腰椎の左は硬さが外側に伸びる。

第9回目 10月12日
ご本人、腰痛が良くなってきている実感がある。病院で検査を受けたら、肝機能と中性脂肪の数値が悪いと言われた。

第5腰椎は数週間前に比べ緩んできているが、第1~第3腰椎の特に左は硬さが連なり、鉄板が入っているような感触。この付近は腎臓と関連がある。

第10回目 10月18日
腰にうずくような感覚があって以前とは違うように本人は思える。左大腿の裏に坐骨神経痛があった。

腰部は第2腰椎の左側を中心に治療をする。腰部の鍼は全体的に深く、当たって硬く、その後、ネバリがでてきて重い感触。仙骨上は鍼が負けているぐらい硬かった。

第11回目 11月2日
昨日は腰がうずいたが、続かず直ぐに治まった。腰は左のほうがうずく感じは強い。

腰部は第1~第2腰椎にかけて板状の硬さがある。第5腰椎の左は外側に向って硬さが伸びる。左腰部が緩んでくるまで時間をかけた。

第12回目 11月16日
腰は朝、起床時に少し痛むが直ぐに痛みは治まる。坐骨神経痛は左の臀部~大腿の裏にかけて、週に1回ぐらいある。

腰部に治療時間の7割をあて、徹底的に左腰部を緩めることに努めた。

第13回目 11月30日
今週、高尾山に2回、登った。登山後に体がつったが翌日は楽になる。腰痛はなかった。

今日も腰部に時間をかけたが、前回までよりも右腰のほうが硬さがある印象。鍼が浅い所でつまり、突破して一気に深く入っていくことが多かった。

第14回目 12月14日
2月のパタゴニア旅行に向けてウォーキングを続けている。特に腰が痛むことはない。骨密度の検査を受けて30代の数値だった。

以前のような左腰部の硬さがだいぶ和らぎ、その分、右腰部の硬さが気になり、右腰部に重点を置いた。

第15回目 12月28日
町内会の手伝いで8時間、立ちっぱなしで、左右の臀部が重だるくつらかった。坐骨神経痛も左臀部にあったが、今日はあまり感じない。

肩部がはっきりとした鍼の当たりで最近としては肩部、肩甲骨内側に張りと硬さがあった。腰部は、深いところで、しっかりとした鍼の感触を得る。先週より左腰が硬く、なにか無理をすると左腰に負担がかかる体の使い方をしているように思える。

治療期間

5月12日~6月15日
9月29日~1月現在も継続中

治療間隔(頻度)

5月12日~6月15日 週1回
9月29日~10月18日 週1回
10月18日~1月現在 2週間に1回

考察

長年の腰への負担が蓄積していて、特に腰部左側の連なる硬さは根深いものがありますが、徐々に緩む方向にあり、ご本人も日常生活で問題なく過ごせ、海外旅行にも無事に参加されました。

海外旅行に行きたいというご本人の強い希望が体を治そうという良い動機付けになっていると思います。こういった体を治して自分は何をしたいのか、という目標が明確な方ほど快方に向える気がします。

この方は、最初の目標である海外トレッキングツアーに無事に参加されました。帰国後も治療を続けられていて、翌年の別の海外ツアーに参加される予定で、益々治療に積極的に取り組まれ、普段の生活でもご自分で気をつけるべきことを考えながら次の目標に向っておられます。

今後の治療は腰部の硬さをとることが最優先ですが、それに伴って、肝機能や消化器系の症状にも効果があるよう、治療を継続しています。元々、活動的な方なので、腰痛などがなくなると、直ぐにかなり腰に負担になるようなことをしてしまう傾向があります。もう少し目標に向って徐々に負荷を上げていくような気持ちで取り組んでいただけるとさらに良いと思います。

腰痛症の症例①

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鍼灸院 鍼神尾
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