コラム

 公開日: 2015-02-04  最終更新日: 2016-06-28

治療例の紹介 不眠症

不眠症は精神的なことも深く関連がありますが、鍼治療としては、不眠症の患者さんの特徴として、首~肩、肩甲骨内側部、胸椎5番付近に異常(主に硬さや張り)が診られることが挙げられます。その異常を鍼によって解消することで、不眠症が改善・解消がみられます。

不眠症の症例として以下をご紹介させていただきます。

性別

女性

年齢

30歳代

主訴症状(最もつらい症状)

不眠症
睡眠導入剤は3年前から服用。寝つきが悪く、眠りが浅い。

随伴症状(主訴以外の症状・体質)

腰痛、頭痛、肩こり、耳閉感、耳鳴り、便秘、冷え性、疲れやすい
腰痛は4ヶ月前からあり、股関節にも痛みがある。肩こりがあり、頭痛が時々ある。耳閉感があり、特に右が強い。

2年前にうつ病で休職したが、8ヶ月前に復職。体質的に、手足の冷えがあり、疲れやすく、身体がだるい。

診察(初診時)

肩部から肩甲骨内側にかけて、第5胸椎付近の張りが非常に強い。これが不眠症の患者さんの特徴といえ、また頭痛、耳閉感、耳鳴りの原因にもなっているといえる。身体の上部に硬さがあり、気血の循環が悪く、上半身に気血が停滞し、下半身に気血が不足することになっており、それが冷え性や便秘の原因に思える。

治療内容

睡眠の改善を第一の目標とする。特に頸部、肩甲骨周り、第5胸椎周りを鍼で緩めていくことで、睡眠状態に良い変化が期待できる。

腰痛、肩こり、頭痛は連動性があり、特に腰部が緩んでくれば、背中、肩、首も連動して緩み、頭痛も消失するように思える。

上半身の滞りを解消して、全身の気血の循環が高めることができれば、疲れやすい、冷え性といった体質も改善が期待できる。

経過

初診 12月12日
肩甲骨周辺は非常に硬く、背部に張りが連なる。腰部も硬さに触れ、鍼の感触はしっかりとしたコツコツとしたものから徐々に緩む。患者さんは施術中は半分、寝てしまう感じで、施術後は湯上りのような状態。

第2回目 12月18日
前回の治療当日の夜は良く眠れたが、その翌日は寝つきが悪く、以前と変わらない。ご本人は、肩は少し楽になったが腰はあまり変化がないように思える。耳閉感は頻度が少なくなっている。

治療は左右肩部から肩甲骨内縁の鍼がメイン。鍼が吸い寄せられるような感触があった。

第3回目 12月22日
ご本人は、前回の治療後に大きな変化はないが、背中が楽に感じられる。睡眠状態も変化がなく、眠れないことが多い。

肩や肩甲骨内側の上部の張りや硬さがとれてきている。胸椎5番付近は硬さが強く、腰部は特に右に硬さが残る。施術中はお腹が鳴ることが多く、鍼によって自律神経に良い作用が働いているように思える。

第4回目 12月28日
ご本人は、睡眠状態にあまり変化はな感じないが、腰は軽く感じる。眠りが浅く、起床時に疲労感を引きずっている。

頸部、肩部は左のほうが張りが強い。前回よりも肩部や肩甲骨周りは鍼を打った本数は少ない。

第5回目 1月8日
ご本人は、腰痛、肩こりが楽になる。睡眠状態は、睡眠導入剤を服用すれば寝れるが、寝つきが悪く、夜中に起きたりして、スッキリ感はない。

頚椎の鍼はしっかりとした当たりで手応えがある。肩甲骨周りは鍼の感触が重く、ゴムのような感触。触って硬く、治療後は緩む。

第6回目 1月19日
睡眠導入剤を服用しているが、睡眠状態は悪くなく、寝れていない感がなくなってきた。ご本人は、腰痛はあまり気にならなくなってきた。肩こり、頭痛は気にならなくなってきていて、耳鳴りも改善されてきている。

頸部はしっかりとした鍼ができた。肩部、肩甲骨周りの鍼は本数がとても少なくなってきていて、より細い鍼のほうが適している。

第7回目 2月16日
ご本人は良く眠れるようになってきていて、睡眠導入剤なしでも寝れている。疲れが溜まると腰痛が少しあって、また鍼に行きたいと思っていたがなかなか来れず前回から間が空いた。耳の閉塞感はなくなってきているが、耳鳴りは時々ある。

肩甲骨周りは、細かな硬さがちりばめられているような状態。初診ようころのような肩部の強い張りはない。

第8回目 2月23日
ご本人は、腰痛、肩こりが少し気になる。睡眠状態は良い状態を維持できている。

右の肩甲骨周りに硬さが目立つ。腰部は鍼への反応がよく、効きやすい。

第9回目~21回目 月1回のペースで受診。現在も継続中。
不眠症はその後は解消された状態を継続できている。夢を見やすかったり、悪夢を見たりといったことが一時期あったが、現在は特になし。疲労が溜まると腰痛は出やすい傾向はあるが、眠れるようになったことで、月に一度程度の治療で問題ない状態になっている。

治療間隔(頻度)

最初の3ヶ月間は週1回、その後は月1回。

考察

この患者さんは、鍼治療を始めるまでは、3年間、睡眠導入剤を服用し続けていましたが、週一回の治療を約3ヶ月継続した結果、睡眠導入剤の服用なしでも良く眠れるようになり、その後も以前の不眠症の状態に戻ることはなく、良い睡眠状態を維持できるようになりました。

ご本人も治療開始前は寝れない状態が当たり前のようになっていたようでしたが、薬剤に頼りたくないというご本人の強い意思もあって、良い結果に結びついたようでした。

ご本人は、不眠症に対する鍼治療の効果は初診時は半信半疑だったようでしたが、ご自身の体調を通して、効果に対してご自身が驚かれていました。

治療は頸部、肩部、肩甲骨周り、第5胸椎周辺の鍼治療がメインで、治療を継続していくに従って、私のほうもそのメインとしていた部位が緩んできたことを感じましたし、鍼の本数が減り、鍼の太さもより細いもので対応できるようになりました。鍼によって体の中の滞りが解消されるに従って、体全体の循環が高まることが不眠症の解消につながったと考えられます。

不眠症の患者さんは頸部や肩甲骨周りに硬さが現われ、気血といった本来、体中に淀みなく巡っていなければならないものが、体の上部で停滞し、頭に血が上った状態になっている方が多いです。

この患者さんの場合、施術回数6~7回目から睡眠状態に改善が現われ、その後も不眠症に戻ることはなく、良い睡眠状態が維持できています。一時的な改善ではないことから、体の根本に変化がもたらされたことによるかと思われます。

不眠症の症例①

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