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コラム
公開日: 2015-12-29
不動産購入の予算の決め方
マンションや一戸建てといった不動産を購入する際に、いくらお金がかかるか心配ですよね。
無理な住宅ローンを利用して、毎月住宅ローンの返済で、生活にかかる費用が足りなくなっては大変です。
不動産を購入する際に重要なのが、まず、生活にかかる費用などを考え、無理なく不動産を買える価格をつかむことです。
まず、自己資金や住宅ローン借入額を考え、予算をしっかり決めましょう。ここでは、不動産購入の予算の決め方を紹介します。
不動産購入における自己資金の予算の使い道について
不動産を購入するために、自己資金として貯蓄を使おうと考える人は多いと思います。
ただ、長い人生、不動産の購入以外にも、さまざまなライフイベントがあり、思いがけない出費が必要になることもあるため、貯蓄のすべてを不動産購入のために使わずに、家の購入後の生活に備えるお金を残しておきましょう。
家の購入後に備えるお金として挙げられるのは、まず引っ越し費用や家具やカーテン、照明器具などの購入費用、不動産取得税といった購入時にかかる費用です。さらに、万一の病気やケガなどの備えとなる資金、教育費や予備費として月生活費の半年~1年分などです。地域によっては車の購入資金も必要かもしれません。
不動産を購入するための自己資金は、貯蓄から上記のような家の購入後に備えるお金などを差し引いた額となります。
不動産購入における住宅ローン借入額について
年間返済額が年収に占める割合を、返済負担率と呼びます。
返済負担率=住宅ローン返済年額/年収
で計算します。
良く、返済負担率を25%以内に設定し住宅ローン返済額を決めると安心だといわれています。本当でしょうか。
これは貸す側の銀行などが審査の時の計算に使っている数字で、実際には各金融機関によって、また年収によって違っています。
例えば、年収 400万円だと、400万円(年収)×25%(返済負担率)= 100万円です。
金利1.5%、35年返済とすると、借入可能額は2,721万円になります。(借入限度額シミュレーション「知るぽると」 https://www.shiruporuto.jp/tool/sikin/menu/s_gendo.html )
年収 400万円の手取りは、人によって違いますがおおざっぱに300万円位です。
住宅ローンを差し引くと手取りは200万円、ボーナスなしの月額16.7万円です。
ここから固定費の固定資産税や管理費、水道光熱費や通信費、教育費、その他生活費を賄えますか?
借りられる額は銀行の貸したい額であり、なるべく高額な物件を売りたい業者の額であることが良く分かると思います。
もう少し計算してみましょう。2,721万円を借り入れるとすると、2割の頭金を用意したとして、購入価格は約3,400万円になります。
不動産購入における無理なく返せる金額について(1)
一方、月々の収支だけを見ると、(今の家賃+住宅購入のための積み立て金)が無理なく返せる金額です。
この金額から今までなかった(固定資産税の月額+管理費等)を引いた額が返済可能なローンの月額になります。
このほかの、教育資金、老後資金、娯楽資金の積み立てはそのまま続けます。
この金額から借りられる金額が算出できますので、不足分を預貯金や親からの融資などでどのくらい積み増せるかで購入可能な物件価格が決まります。
例えば、年収400万円で、手取り300万円、ボーナスなしで月額25万円の収入があるとします。家賃7万円の家に住み、住宅積立を2万円していたとすると、ローンの支払いに回せるのが7+2=9万円です。ここから管理費と固定資産税分1.5万+1万=2.5万円を差し引いた6.5万円、年額78万円が今の生活でローンに回せる額です。住居費は11.5万円、手残りは9.5万円です。
同様に金利1.5%、35年返済とすると、借入可能額は2,122万円になります。
2割の頭金を用意したとして、購入価格は約2,652万円になります
下記資料による年収400万円の家庭の生活費はおよそ18万円です。手残りの9.5万円は約半分ですね。これでは生活が成り立たないでしょう。教育資金の積み立てや老後のための確定居室年金、家族旅行積立、何もできません。
不動産購入における無理なく返せる金額について(2)
年収400万円で、ギリギリの頭金を入れて、教育費や老後の備えをするのは、なかなか厳しいことが分かりました。まず月間の収支が回らないのですから、収入と支出を見直します。
収入の見直しでは、働き手を増やすことが出来ればいいですね。もし片働きであれば両働きに出来ないか検討してみましょう。あるいは親からの暦年贈与を受けられないかも考えてみましょう。例えば夫婦そろって100万円ずつの贈与を受けられれば、一挙に年収600万円のクラスです。
支出の見直しで大きいのがローンですから、これを減らすには頭金をたくさん入れるしかありません。貯蓄を増やしましょう。場合によっては1-2年待って頭金を貯めましょう。あるいは親の援助を期待できるかどうか聞いてみましょう。また、住宅価格も安くできないか、希望条件を精査してみてください。
そして、ほかの無駄な支出も見直します。大きなところでは保険料があります。その保険必要ですか?あるいは通信費に節約の余地があることが多いので検討してください。
この様にして、キャッシュフローがどうしたら回るようになるかを細かく検証してください。買える方法が見つかるでしょう。
専門家に相談するのが良いと思います。
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ファイナンシャルプランナーとして、やさしいお金相談室を主宰する桑野恵子さん。不動産取得、相続、年金、教育資金プランなど、お金にまつわる幅広いジャンルの相談にのっています。「お金のことで困っているけど、誰に相談していいかわからないと悩む人の...
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