コラム

 公開日: 2018-07-11  最終更新日: 2018-07-17

国内プロフェッショナルのためのインバウンド需要開拓 その1

意外に忘れがちな「日本にいる価値」


普段、私たちは日本国内に在住し、国内市場を相手に仕事をしていると、「日本に居住する価値」の大きさについて思いいたることはほぼ無いと思います。しかし、世界第3位の経済圏であり、非常に洗練された消費者市場である日本に進出したいと考えている海外企業にとっては、「日本在住」は大きな価値を持ちます。

たとえば、皆さんが米国に進出したいと思い立ったとき、まず思いつくのは何でしょうか。
もちろん、はじめは情報収集ですね。情報には、大きく分けて直接情報としての1次情報、間接情報としての2次情報の2種類がありますが、まずはインターネットや文献などで米国の関連2次情報を入手しようとすると思います。

次に行うことは、現地の関連する企業や組織、人との直接コンタクトです。この場合は、メールでのやり取りから始まり、実際に米国に行ってみるという順番になります。そして、これが1次情報の収集になります。こうして1次情報に触れることにより、2次情報で得た情報を検証し、同時に米国市場へのコンタクトの足掛かりを得ます。

(コラム・北米進出ケース参照 

日本市場に進出したいと考えている海外企業もやはり同じように考え、同じように行動します。その時、このような海外企業にとっては、日本市場の接点となる「現地コンタクト」は非常に貴重な存在となります。

日本市場の価値


なぜ日本に進出しようとするのか。もちろん、十分な市場規模のある新市場を求めてです。さきほども書きましたが、日本はさまざまな分野(市場)で飽和状態にあるといっても、何といっても世界第3位の経済圏です。そして、日本の市場は非常に洗練されており、自社の商品やサービスに大きな自信を持っているブランド(企業)であれば、その力量を試してみたい市場でもあります。

その進出が、同じ地域で競合状態にある他社に先駆けてであれば、そのような海外企業にとってみれば、日本市場はブルーオーシャンに写ります。ただ、日本市場にまだない製品やサービスであればその通りかもしれませんが、そのものではなくても代替の製品・サービスはすでに国内にあるケースは多いでしょう。

しかしながら、それでも自社品に大いに自信を持っていれば、少なくとも市場調査は行うでしょう。そして、市場調査にお金をかけるということは、少なくとも進出することに経営者の意思は傾いています。

さらに、いかに進出したいという意思を株主や社内外関係者に納得させるか、という方向性で市場調査レポート(含、進出戦略)はまとめられます。戦略とはいつもこうした、説明(説得や納得)のためのあとづけのロジックという側面があります。(これはこれで面白いテーマなので別の機会に書きます)

日本市場参入の難しさ


考えてみれば、日本に対するあこがれは戦国期に日本に到来したポルトガルやスペイン艦隊と、5世紀後の現在も同じ動機なところが面白いですね。(参照:「戦国日本と大航海時代-秀吉・家康・政宗の外交戦略」平川新著、中公新書、2018/4/18)

さて、一見ブルーオーシャンに見えても、当時も今も日本という国は、特に欧米の人たちにはとてもハードルの高い市場です。その理由は、たとえば、

- 日本語で完結している市場
- 他のアジアの国(特に中華系)とも異なる独特な社会、ルール、ビジネス慣習
- 海外の多くの人々にとってオーバークオリティーとも思える細やかさを、当然のごとく受け入れ
る国民意識など

そこで、海外企業がまっさきに求めるのは、このような市場での水先案内人役としての日本での現地コンタクトです。ところが、この役割を担う企業や人は、日本企業の海外進出を支援するそれと比べると、それほど多くはありません。なぜなら、国内在住の普通の日本人にとって経験する機会が少ないからです。

これは、日本という国の成り立ちを考えてみれば分かります。伝統的に資源の少ない日本は海外に資源を求める必要があったこと、そして、豊かになった多くの日本企業にとって日本市場だけでは成長の原資が得られなくなり海外進出する必要があったからです。つまり、かなり端折って言うと、日本企業は常に外に出ていくことに注力せざるを得なかったからです。

(次回につづく)

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