コラム

 公開日: 2016-10-06 

演劇ビジネスの可能性と現状

演劇というメジャーとは言えない分野で筆者は起業しました。
最初はひとりで資本金も起業経験もないまさにゼロの状態からのスタートでしたが、「どうしても演劇ビジネスにテコ入れがしたかった」のが起業を決意する決め手でした。

「俳優目指してます!」と言うと、大変そう・貧乏なイメージがどうしてもついてまわります。
そのイメージは大正解。



演劇ビジネスのリアルな現状

世の中の大多数の俳優志望はアルバイトをしながら演技を学び、オーディションを受け、受かった舞台に出ることができます。
演技を学ぶことにはお金も時間も必要で、寝る間を惜しんで俳優活動の傍らアルバイトで稼ぐのです。
時間の融通が利く、なおかつ自給の良いアルバイトを探すことだけでも苦心するところ、というのが俳優の卵の本音。

ここまでだけでも大変そうですが、実は真の苦労はここから。
舞台に出演できる権利を勝ち取っても小劇場系の舞台の多くにはノルマがあって、所定の枚数分チケットを買い取りする形でノルマの達成ができない場合にはマイナス分を最終的に負担することになるのです。
舞台が終わると俳優の卵はまたアルバイトの生活に戻るのですが、出演期間はアルバイトを休んでいるうえ先に書きました通りノルマの支払いに追われて貧困に悩む方もいます。
舞台に出て、アルバイトに勤しみ、貯めたお金で舞台に出て、またアルバイト、その繰り返し・・・。

先の見えない毎日に疲れてしまい、不安が募り、
20代半ばで辞める方(特に、結婚や出産を考えている女性が多い)が続出します。

このノルマシステムは
【仕事をしながらお金を支払う】もので、他業種からは驚かれるシステムです。
「働かせてあげたんだからお金支払ってくださいね!」って、とんだブラック企業でしょう。

あくまで一部分に過ぎませんが、演劇ビジネスの現状はこうなのです。



演劇ビジネスの可能性

内側にいる立場からはっきり申し上げて、演劇業界は未成熟な業界です。

★教育の仕組みが脆弱です。
演技には様々な方法論がありますが、それを教えられる教育者は驚くほど少ない。
自身が何の方法論で仕事をしているのかすら把握していない教育者がいるのです。何のためのトレーニングなのかをわかっていないのに教えているふりをして受講者からお金を取る。悲しい現実です。
教わる側は教育者の教える内容を信じますから、「なんとなくやっている風」の上っ面ともいえる演技を真の演技と思い込んでしまいます。


★ビジネス意識のない【プロもどき】が多いのです。
ビジネスの基本は、自分が価値を提供することによって「ありがとう」料金が返ってくることです。
それなのに、舞台に出たい!という気持ちだけで舞台に出てしまうからお金を稼ぐことができないのです。
演劇に限らず、自分がこれをやってて楽しいからという自分本位な考えではビジネスでの成功はあり得ません。
あなたは誰の役に立てるのですか?(ターゲットの決定)
マーケティングプランもなしに、仕事として成立することはあり得ません。


★プロとアマの境界線が曖昧です。
小劇場の公演は当たり外れが多いです。率直に、おもしろくない・クオリティが発表会。
飲食店でもそれなりに当たり外れ(美味しくない)はありますが、演劇舞台でのそれは腹が立つレベル。
しかもここ数年の間で小劇場公演もチケット相場がぐんぐん上がっている印象です。(現在は当日券4000円が相場かと思われます)
小劇場のイスはお尻が痛くなります。チケット代以外に交通費・移動時間含めると非常に長い時間・場合によっては差し入れを頂くのです。受付スタッフの案内がいまいちな小劇場系公演って正直多いです。
せめて、アマチュアならなら「わたしたちアマチュア劇団です」と名乗っておいてほしいですしチケット代4000円は高すぎます。
プロ公演はチケット代が高額であってもクオリティやその他の工夫、お出迎えの姿勢で顧客を満足させてくれている。
それだけに【中身はアマチュア、値段はプロフェッショナル】ではあまりに消費者をばかにしています。


と、ここまで演劇のアンチかのように苦言ばかり書いてしまいましたが、
これは逆に、他業界に学んで演劇業界が成長できる可能性を秘めている証拠。
(現に、筆者は演劇業界の変革を望んで起業の道を選びました)



ダメなところが多いことをマイナスに取るのではチャンスを逃します。
ダメなところが多いということは「自分が変えていけるかもしれない」ということ。

上に書いた苦言(に見えるもの)はすべて無限の可能性を秘めた宝なのです。



今回は、いつもと切り口の違う「演劇」について書いてみました。

この記事を書いたプロ

ENTRYACT(エントリーアクト) [ホームページ]

俳優・演劇 大江千雪

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