コラム

 公開日: 2015-12-07 

会議などのメモはPCですか?手書きですか?

昨今、会議中のメモや議事録をPCで打ち込む人が増えてきています。作業の効率化や情報共有のためにITを駆使することが求められている中で、会議後に手書きのメモから議事内容を打ち込むくらいであれば、最初からデジタルデータとしてメモを作成した方がはるかに効率的な対応ができます。
一方で、依然として手書きでメモすることを好む方もいます。こうした人は年長者の方が比較的多いことから、中には、
「キーボードを打つ音がうるさい」
「モニターばかり見ているのはよくない」
といった、半ば感情的な反応をすることもあります。
今回は会議のメモはデジタルとアナログのどちらに優位性があるか、というテーマで確認を進めます。

PCでのメモ入力は頭に入らない?

この問題についてアメリカ行われた研究で、以下の実験が行われました。
実験1:
何人もの大学生を一室に集め、PCでも手書きでも、自分の好む方法でメモを取りながら何本かの講演映像を見てもらいました。その後、講演内容について「事実関係に関する質問」と「内容の理解度を試す質問」に回答してもらいました。
実験1の結果:
PCでメモを取った学生たちは、手書きメモの学生たちよりも書き起こしの様な長文のメモを取る傾向にありました。だからと言って「事実関係に関する質問」の得点は両グループにあまり差は見られませんでした。一方、「内容の理解度を試す質問」については、手書きメモのグループの方が高い得点でした。

実験2:
PCでメモを取る学生たちに対して、講演を一字一句記録するのではなく、自分自身の言葉でメモを取る様指示した上で、講演映像を見てもらいました。その後、実験1と同様の質問に回答してもらいました。
実験2の結果:
メモに対する指示は全く効果がなく、書き起こしの様なメモを取る傾向は変わりませんでした。そのため、質問に対する回答の結果も実験1と同様でした。

実験3:
参加者にPCと筆記用具のどちらかを与えて講演映像のメモを取ってもらった後、翌週に実験1と同様の質問を行いました。質問の前にはさらに10分の時間を与えて、参加者に自分のメモを復習させました。
実験3の結果:
メモの分量が多かったのはPCを使用した学生たちでした。一方、質問の回答は、事実関係と内容理解の両方で、手書きメモを取った学生の方が良い成績でした。

以上の結果から何が分かったのでしょうか。
実験1の結果から、PCでメモを取った場合は「逐語的な書き取り」となってしまったため、記憶力が低下してテストの成績が悪くなったのではないか、という仮説を立てました。
しかし、実験2の結果から、「逐語的な書き取り」を改善することは難しいことが解りました。そのため、「逐語的な書き取り」による情報量に着目し、メモを取った直後は情報量が多くて内容が思い出せないかもしれないが、自分のメモを復習する機会を与えれば得点が高くなるのでは、という仮説を新たに考えました。

この仮説に基づいて行った実験3の結果から、PCでメモを取ることは、何も考えないまま逐語的にメモを取る傾向が強まる結果、新しい知識を吸収することが妨げられてしまう、という結論となりました。

もちろん、手書きでメモを取る人にも、発言内容や映し出された資料の内容を何も考えずに写し取ることにばかり集中する場合もあります。逆に、PCを使っていても自分の言葉ででメモを取る人もいるので、一概に言えるものではありません。重要なのはデジタルであれ手書きであれ、自分の言葉でメモを取ることで単なる発言のコピーではなく、発言や資料の内容を咀嚼し、理解も早くなるということです。そして手書きメモの方がこのことを実現しやすいということです。

手書きメモに依存すべきか?

上記のような研究結果を経験則で感じていたり、会議中にメールチェックする参加者が多かったりする場合、加えて、冒頭のような感情的な意見がある場合、
「会議にPC持ち込み禁止」
というルールを作るケースも散見されます。また、その結果として、会議時間の短縮に成功した、という事例も見られます。
しかし、このことを額面通り受け取っていいのか、という疑問もあります。
会議の時間短縮の理由が、会議中のメールチェックが減ったから、ということならば、そもそもその会議の必要性を追求すべきです。本当に必要な会議であって、重要な報告がされたり、活発な意見交換がされたりするのであれば、メールチェックする余裕がある訳がないからです。

確かに自分が理解するためのメモであれば、手書きメモの方が有効である方が多いでしょう。しかし、会議のメモの目的はそれだけではないはずです。
会議が終了後、議事録を作成して配布することになりますが、手書きメモしかない場合、会議から数日後に送付されてくることも結構あります。しかも、その時点では議事録の必要性が薄れてくることもあります。デジタルでメモを取っていれば、会議後すぐに編集してその日のうちに送付することも可能です。また、会議が白熱した場合、いつの間にか論点がずれてしまうこともありますが、そのような場合、議論の論点を戻すため、議事メモをモニターに映して少し前の議論の内容を確認するとともに、一旦クールダウンすることも可能です。PCがあれば会議中でもオンラインで必要な資料にアクセスし、モニターに映して情報を共有することもできますし、議事録の参考情報として添付することも可能です。

つまり、PCでメモを取ることは会議の参加者、時には欠席者も含めて、情報共有の面でアドバンテージがあります。内容は前述した実験結果の通り、逐語的なものになりがちですが、見方を変えれば、会議中に発した言葉がダイレクトで伝わることを意味します。手書きのメモはあくまでも自分のためのものです。そのため、書かれている内容は自分の主観というフィルターを通したものであり、ここから議事録を作成すると、会議の中で熱を持った発言も淡々とした表現になったり、書き手の主観に基づく偏った内容になったりすることもあります。

会議でメモを取る、ということもビジネススキルの一つです。それは、話を聞き、その内容を理解し、文章にまとめる、というスキルが融合したものが「メモを取る」という行為になります。時には、会議での話の内容をフレームワークに落としたり、派生した疑問などを書き留めることもあります。これはPCでも手書きでも、手段を問わず実現可能なはずです。ただ、上記の実験結果から考えると、手書きメモの方がスキルを磨きやすいように思えます。

PCか手書きかという表面的な問題ではなく、会議の種類や目的、あるいは会議での自分の役割を理解した上で、それぞれの特徴に合わせたツールを使うことが重要であると考えます。

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