コラム

 公開日: 2015-11-11 

ネット炎上にどう対処するか?(2)ネット炎上への対処

前回コラム
ネット炎上にどう対処するか?(1)ネット炎上の原因

前回に申しあげた通り、ネット炎上に対処するには以下の段階ごとに検討します。
(1)事前予防
(2)早期検知
(3)炎上時の対応
(4)沈静化に向けた対応
一般のリスクマネジメントやセキュリティと同様、予防対応に重点を置きがちですが、炎上の原因でも述べたように、自分たちは問題ないと考えていても、ネットユーザーからは不適切だと思われたり、中には悪意をもってねつ造された情報が原因となったりすることがあるため、ネット炎上を100%防ぐことは不可能です。もちろん、予防措置によってネット炎上が発生する確率を低減させることも重要ですが、一方で、ネット炎上が発生しそうな際にはすぐに検知し、適切な対処が可能な体制を作ることが重要です。状況次第では、より一層の信頼を集めることもありえます。
ネット炎上と対応の過程

(1)事前予防

少なくとも自組織からの発信については予防措置を行うことで、炎上につながるような「火種」を起こさないようにすることは可能です。まず、従業員等の立場や役割に対応したSNSの発信や対応等のルールを明文化することが必要です。ルール化の際には、就業規程や人事規程、セキュリティ規程等の社内規程と整合性を保つように注意する必要があります。明文化したルールは、ポリシーやガイドラインとして社内の電子掲示板やイントラネットで公開することで、従業員の誰もがアクセス可能な状態とします。さらに、こうしたルールを定着化させるための集合研修やe-ラーニングを実施することも必要です。
SNS利用のルールは従業員等の立場や役割に対応して作成すると述べましたが、おおよそ以下の様な分類になると考えます。
・共通ルールとしてのポリシー
・一般社員向けガイドライン
・公式アカウントの運用担当者向けガイドライン
・エグゼクティブ(社長、役員等)向けガイドライン
・パートやアルバイト向けガイドライン

ポリシーについては、全従業者が認識すべき内容であり、対外的に公開することもあります。内容としては、事業者がSNSを使用する目的や、SNSを利用するにあたっての心構え等、SNSを利用する際の原則を簡潔にまとめたものとなります。このポリシーに基づいて、従業員等の立場や役割に対応する内容を取り纏めたものがガイドラインとなります。

一般社員向けのガイドラインは、社内での活動だけでなく、プライベートでの注意点についても盛り込むことが必要です。定着化のための研修は、必ず全員が受講させるようにすべきです。可能であれば定期的なアンケート等で実施状況を確認することも重要です。また、入社時や年度ごとに誓約書に記入して取集することも考えられます。

公式アカウントの運用担当者向けのガイドラインは、一般社員向けのものに追加して、発信する情報が企業や組織を代表するものであるため、影響力が大きいことを理解させるような内容を含む必要があります。発信や投稿する内容が自社や第三者に悪影響をもたらすかどうかを確認することはもちろん、感情的な言動は慎み、外部に対して誠実な姿勢を保つことが重要です。
リスクを低減するため、SNSアカウントを設けないと考える事業者もありますが、ネット炎上に対処するための重要なチャネルの一つがSNSなので、SNSアカウントは作成した方が得策だと考えます。

エグゼクティブ向けのガイドラインについては、発言内容の影響力が大きく、かつ広報等のチェックを行わずに発信されることを想定し、一般社員向けのものに追加して「やってはいけないこと」を明確にすべきでしょう。

パートやアルバイト向けのガイドラインについては、一般社員向けのガイドラインと同じでも構いません。ただし、社員のみが知るべき情報が含まれる場合は、必要な箇所を抜粋することも必要になります。

(2)早期検知

ネット炎上もあらゆるリスク要因と同様、可能な限り素早く検知することが重要です。素早く検知することができれば、情報が拡散される前に対処することで、被害を最小化することができるからです。
最も簡単な検知方法は、事業者アカウントに対する投稿や検索サイトでの検索結果を定期的にチェックする方法です。Googleのアラート機能を活用する方法もあります。コスト面で余裕があれば、様々な会社が提供するモニタリングサービスを利用する方法もあります。
検知はまとめサイト等が作成され、ネット上の拡散が本格的になる前にできるのが理想的です。

(3)炎上時の対応

ネット炎上の兆候を検知したら、直ちに対応を始めなければなりません。その際には慌てずに、冷静な姿勢を保つことが重要です。慌てて否定のコメントを投稿したり、感情的な投稿を行なったり、問題となっている投稿をいきなり削除するようなことは、ネット炎上を加速させることにもなりかねません。

まず行うことは、短時間で可能な限りの情報を収集し、反応する必要があるかどうかを見極めることです。批判めいた投稿が単発で、後に続く投稿が見当たらない場合は、当面静観すると同時に、引き続きウォッチするという対応でもいいと思います。

事業者側に明らかに何らかの非がある場合は、速やかに謝罪のコメントを投稿し、問題に沿った対応を行うべきです。では、事実確認が十分に進まず、事業者に非があるかどうか不明確な場合はどうでしょうか。まず一番やってはいけないのが、沈黙を守ることです。沈黙することは外部のネットユーザーから見れば、肯定とも受け取られかねません。やはり謝罪文から始まる投稿がいいと思います。ただし、事実関係が不明確なので、「お騒がせし申し訳ありません」といった内容になります。その後に、現在調査中といった文言が続けばよいと思います。間違っても、言い訳じみた文言は慎まなければいけません。

事実関係と同時に確認すべきことは、ネットユーザーや一般社会は、何に対して怒りを感じているのか、ということです。ほとんどの場合は不適切な投稿や言動が直接の原因ですが、時には異なる場合もあります。例えば、炎上に至らないレベルの不適切な投稿が過去続いており、直近の不適切投稿で炎上した場合は、過去を遡った一連の投稿に対する謝罪や対応を行う必要があります。この認識を誤ると、拡散スピードが加速し、大炎上につながる可能性があります。

また、ありがちなのが組織内の責任問題の議論から、玉虫色のコメントを行うことです。そういったコメントからは責任の所在が不明確であり、謝罪の意思を感じることはありません。責任問題の議論は後でもできるので、まずは事態の収拾を進める担当者を明確にした上で、個人情報等の例外を除いて何事も包み隠さず、迅速かつ誠実にすべての情報を開示することが重要です。間違っても、原因となった投稿や発言を削除する、何日も発表や報告が無い、といったことの無いよう、対応しなければなりません。

いずれにしろ、ネット炎上につながりそうな批判に対して真摯に受け止め、誠意をもって対応することが重要です。また、この時の一連の対処法は事前にマニュアル化し、いざという場合でもマニュアルに沿って適切な対応を行うようにすべきです。

(4)沈静化に向けた対応

一連の謝罪や対応を終えた後は、沈静化に向けた諸施策を行う必要があります。ここで一段落したと思って安心してはいけません。対処する活動の中で誤った行動や言動を行えば、再炎上の可能性もあります。事態が収まった場合でもしばらくはモニタリングを行い、再炎上の可能性があれば積極的に対応していきながら、信頼を回復させる必要があります。
当初は様々な批判を受けることもありますが、消費者や社会の意見に耳を傾け、真摯に対応することができれば逆にその姿勢が評価される可能性もあります。

ネット社会では事業者側の発信だけでなく、様々な考えを持った消費者や一般の人々が自由に発言することができ、その発言をコントロールすることはできません。しかも発言やその後に続くやり取りは公開され、後々まで残ってしまいます。こうしたネット社会の特徴を理解せず、これまでのリアル社会の対応と同じように収めようという意識があると、ネット炎上につながることもあり得ます。その意味では、これまで以上に事業者はネットユーザーや消費者などに正面から向かい合い、普段からオープンな対応を行うことを求められる時代だと思います。

上記内容に関する相談や問い合わせについては、問合せフォームにてご連絡ください。
お問い合わせフォームは、こちらです。

デルタエッジコンサルタントでは、ネット炎上を含むリスクに対応するための、
・リスク評価と施策の検討
・規程、ガイドライン等の作成や見直し
・リスク対応マニュアルの策定や見直し
・従業員等に対する研修やトレーニング
等のコンサルティングサービスを提供しております。
興味や関心がございましたら、ぜひご連絡ください。
その他のリスク管理に関するコンサルティングは、弊社ホームページをご覧ください。
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