コラム

 公開日: 2015-04-30  最終更新日: 2016-10-28

マイナンバー制度概要(2)-マイナンバーの取得/利用

今回は前回簡単に紹介したマイナンバーの管理体系のうち、「マイナンバーの取得」「マイナンバーの利用」について確認します。
マイナンバーの管理体系(2)

マイナンバーの取得

マイナンバーの取得に関して、法制度上は以下の様に定義されています。
1.提供の要求(番号法第14条第1項)
2.個人番号の提供の求めの制限(番号法第15条)
3.収集・保管制限(番号法第20条)
4.本人確認(番号法第16条)

マイナンバーの取得 1.提供の要求

事業者がマイナンバー関連業務(制度上は「個人番号関係事務」又は「個人番号利用事務」)を行うため、本人等からマイナンバーの提供を受ける必要があります。そのため、事業者が必要とするマイナンバーの提供を要求する根拠を制度的に定めています。
提供の要求先は基本的には本人ですが、「扶養控除等申告書」に記載する従業員等の扶養親族のマイナンバーについては、従業員等を「個人番号関係事務実施者」として取り扱うことで、従業員等に対して要求することになります。
また、マイナンバーを要求する時期については。原則マイナンバー関連業務が発生した時点ですが、契約等から今後のマイナンバー関連業務の発生が予想される場合は、契約締結時点等でマイナンバーの提供を求めることが可能となります。
逆に、契約内容等からマイナンバー関連業務が明らかに発生しない場合は、マイナンバーの提供を求めることはできませんので、留意してください。
マイナンバーの提供の要求

マイナンバーの取得 2.個人番号の提供の求めの制限

法制度で定められた場合を除き、何人であれ他人に対してマイナンバーの提供を求めることはできません。
※他人:「自己と同一の世帯に属する者以外の者」
事業者がマイナンバーの提供を求めることができるのは、従業員等に対し、社会保障、税及び災害対策に関する特定の事務を目的とする場合に限られます。
例えば、部門等で所属する従業員等を管理するための識別子としてマイナンバーを収集し、使用することはできません。

マイナンバーの取得 3.収集・保管制限

法制度で定められた場合を除き、何人であれ他人のマイナンバーを含む特定個人情報を収集し、保管することはできません。
番号法における「収集」とは、集める意思を持って自己の占有に置くことを意味します。「収集」の例は以下の通りです。
・マイナンバーの記載されたメモを受領し、手元に保管する
・聞き取ったマイナンバーをメモする
・情報システム等で画面表示されたマイナンバーを書き取る
・情報システム等からマイナンバーを含む文書等をプリントアウトする
なお、マイナンバーを含む特定個人情報を提示されただけでは、「収集」に当たりません。
例えば、マイナンバーが記入された書類を部門等で取り纏めてマイナンバー関連業務担当者に渡す場合、取り纏め担当者はマイナンバーの記載有無を確認するために書類を閲覧することはできますが、コピー等を取得してはいけません。

マイナンバーの取得 4.本人確認

本人等からマイナンバーの提供を受ける際には、他人のなりすまし等を防止するため、法制度で認められた方法で厳格な本人確認を行う必要があります。本⼈確認では、正しい番号であることの確認(番号確認)と、手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの
確認(身元確認)を行います。本人確認の方法について、以下に取り纏めたのでご確認ください。
マイナンバー本人確認

なお、2回目以降の本人確認手続きについては、初回に本人確認を行って取得した記録と照合する方法でも可能となっています。また、従業員等に関しては、本人に相違ないことが明らかに判断できると事業者等が認める場合は、身元確認のための書類の提示を求めなくても良いとされています。
従業員等の扶養家族のマイナンバーについては、マイナンバーの提供義務者が従業員等なのか、扶養家族本人なのかによって異なります。税の年末調整において従業員が提出する「扶養控除等申告書」では、従業員等が個人番号関係事務実施者として、事業者に扶養家族のマイナンバーを提供することから、従業員等が扶養家族の本人確認を行う必要があります。一方で、国民年金の第3号被保険者の届出では、従業員等の配偶者(第3号被保険者)本人が事業者に対して届出を行うことから、事業者が当該配偶者の本人確認を行う必要があります。通常は従業員等が配偶者の代理人として事業者に届出をすることが想定されるので、事業者は代理人からマイナンバーの提供を受ける場合の本人確認を行います。つまり、
・「代理権確認書類」:戸籍謄本、 委任状、等
・「代理人の身元確認書類」:個人番号カード、運転免許証、等
・「本人の番号確認書類」:本人に関わる個人番号カード、等
の書類の提示が必要となります。

マイナンバーの利用

マイナンバーの利用に関して、法制度上は以下の様に定義されています。
1.個人番号の利用制限(第9条、第29条第3項、第32条)
2.特定個人情報ファイルの作成の制限(第28条)

マイナンバーの利用 1.個人番号の利用制限

マイナンバーを利用できる事務は、番号法によって限定されています。健康保険組合等を除く事業者がマイナンバーを利用するのは、主として、社会保障及び税に関する手続書類に従業員等のマイナンバーを記載し、行政機関等及び健康保険組合等に提出する、個人番号関係事務となります。
個人情報保護法と異なる点として、事業者は本人の同意を得たとしても、例外として認められる場合を除き、個人番号関係事務以外でマイナンバーを利用することはできません。例えば、マイナンバーは国民一人一人に対してユニークに採番されますが、だからと言って社員番号の様に従業員等の識別子として使用することはできません。一方、前年度取得したマイナンバーを同一目的で当年以降のマイナンバー関連事務で使用することは、利用目的の範囲内としてマイナンバーの使用が認められます。
なお、上記で述べた「例外として認められる場合」は、以下の通りです。
・金融機関が激甚災害時等に顧客に対して金銭の支払を行う場合、顧客の預金情報等の検索に利用することが可能
・人の生命、身体、財産の保護のために必要があって、本人の同意があり、または本人の同意を得ることが困難である場合、マイナンバーを利用することが可能

マイナンバーの利用 2.特定個人情報ファイルの作成の制限

事業者がマイナンバー関連事務を処理するために必要な範囲に限って、特定個人情報ファイルを作成することができます。逆に言えば、マイナンバー関連事務以外の目的で特定個人情報ファイルを作成することはできません。

マイナンバーの取得/利用におけるポイント

マイナンバー利用の大前提として、「マイナンバーは秘匿すべき情報」であり、「利用範囲が限定されている」ことです。このことを念頭に置いて、社内のプロセスや情報システムを改修していくことになります。
雑誌やネット上で「社内の帳票を洗い出したら、マイナンバーに関連する帳票が何百種類存在した」といった内容の記事を見かけたことはありますが、既存の社内プロセスにおいては、マイナンバーを追加して表示、記載する必要はほとんどないのでは、と思います。(業種によっては変わってくるかもありませんが...)もちろん、マイナンバーの取得プロセス等は新設する必要はありますが、最終的に当局に提出する書類にマイナンバーが付加されていることが求められているのであって、その前の社内プロセスの段階では、都度取得を行わない限り、マイナンバーの記入や表示は必須ではなく、従前通り社員番号等で管理されるべきだと考えます。そもそも、何百種類もの帳票にマイナンバーが記載されていたら秘匿情報とすることは困難です。
マイナンバーの取得/利用については、以下の点について留意する必要があります。

●マイナンバーの取得時に利用目的を明確に通知する
現在の個人情報保護法と同様、明確な利用目的を通知の上、マイナンバーを取得する必要があります。とはいえ、マイナンバーの利用目的は制度上決められているので、
・「源泉徴収票作成事務」のため
・「健康保険・厚生年金保険届出事務」のため
とすればよいと考えます。また、通知手段についても、
・社内LANにおける通知(電子メール、電子掲示板、等)
・利用目的を記載した書類の提示
・就業規則への明記
等の方法が考えられます。

●厳格な本人確認が必要
マイナンバー取得時の特徴として、本人確認の方法が制度的に決められています。コラム上では代表的な例のみを提示しましたが、例えば番号確認の際に個人番号カードも通知カードも住民票も無い場合、どのような手段を用いるか、詳細に定義されています。
課題としては本人確認を誰が、どの段階で行うのかを定義することです。新卒や中途入社の社員であれば、人事部門で統括して行うことができますが、アルバイトやパートの場合、採用の責任者は店舗等の各拠点になると考えます。その場合、拠点の責任者が本人確認を行うのか、本人確認書類を本部に送付して実施するのか、幾つかの案が考えられます。
また、本人確認を行う際には、どの手段で確認したか、という記録は残した方がいいでしょう。

次回はマイナンバーの保管/開示・訂正・利用停止等/廃棄について確認します。

上記内容に関連して、ご相談や質問などがございましたら、お気軽にご連絡ください。
お問い合わせフォームは、こちらです。

デルタエッジコンサルタントではマイナンバー制度への対応を支援するコンサルティングサービスを提供します。詳細はこちらをご確認ください。
-->マイナンバー制度対応サービス(弊社ホームページにリンクします)

/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_
ITを有効活用し、課題を解決します
デルタエッジコンサルタント株式会社
金子 清隆
URL  http://www.deltaedge.co.jp
/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_

この記事を書いたプロ

デルタエッジコンサルタント株式会社 [ホームページ]

経営コンサルタント 金子清隆

東京都中央区日本橋大伝馬町13-7 日本橋大富ビル3階 [地図]
TEL:03-6869-8336

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
サービスメニュー

日常業務の中で、あるいは報道や世間の動向を見ている中で、以下のように感じたことはないでしょうか。・「現状にどこか満足できない」、「どこかに課題がありそう...

お知らせ

大きな被害が発生した熊本地震の被災地では、まだ余震の続く中で復興作業が行われています。このような大地震発生等の事象に備えて、多くの企業では防災対策や業務継...

 
このプロの紹介記事
金子清隆・ITコンサルティング・デルタエッジコンサルタント株式会社

ITを中小企業のビジネスに有効活用するには?ITの運用方法やコストでお悩みの方に(1/3)

 2013年9月にデルタエッジコンサルタント株式会社を立ち上げた金子清隆さん。中小企業の業務改善をサポートするコンサルティングをベースに、特にITの最適化を通して顧客のビジネスを陰から支えています。 「ITとビジネスとの関係は年々密接に...

金子清隆プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

中小企業の実情を踏まえた、最適コストによるIT活用をご提案

会社名 : デルタエッジコンサルタント株式会社
住所 : 東京都中央区日本橋大伝馬町13-7 日本橋大富ビル3階 [地図]
TEL : 03-6869-8336

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-6869-8336

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

金子清隆(かねこきよたか)

デルタエッジコンサルタント株式会社

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
パスワードの再確認~女性芸能人のデータ盗み見事件に関連して
イメージ

先日、複数の女性芸能人のメールサービスやデータ保存サービスなどに不正に接続し、保存されたメールや写真データ...

[ セキュリティ ]

マイナンバー制度と年末調整等

今年も残すところ2ヶ月という時期となりました。給与計算関連の業務担当者にとっては、年末調整、及び法定調書等...

[ マイナンバー制度 ]

水害に対応するための簡易的なBCP策定のすすめ

ここ数年、日本各地で台風や集中豪雨による水害の発生や被害が増えています。もし、皆さんの会社や施設が水害に遭...

[ BCP・防災 ]

2016年上半期のネットバンキング不正送金被害状況
イメージ

先日、警察庁から今年上半期(2016年1月~6月)に発生したインターネットバンキング利用者の預貯金を狙った不正送...

[ セキュリティ ]

メールマガジンなどの不要なメールを安易に「配信停止」していませんか?

毎日の様に送信されてくる、勧誘や告知、広告などを目的としたメールマガジンや迷惑メールにうんざりしている方も...

[ セキュリティ ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ