コラム

 公開日: 2015-04-21  最終更新日: 2016-10-28

マイナンバー制度概要(1)-制度の再確認と企業の対応範囲

「社会保障・税番号制度」(以下、「マイナンバー制度」)が2016年1月より開始されますが、企業の対応状況があまり進んでいないようです。
例えば、先日発表された日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とITR社による「企業IT 利活用動向調査2015」の速報結果によると、情報システムへの対応が完了、または作業実施中と回答した企業は全体の4割弱である一方、全体の約1/4が未着手でした(「わからない」を含めると全体の約45%)。その中には、「対応の必要はない」と考えている企業が1割弱含まれていました。
マイナンバー制度に対するシステム対応状況

また、この調査対象はシステム対応にフォーカスしており、またSIベンダー各社が様々なサービスを提供していることから、システム対応の問題だと思われる方も多いようですが、「マイナンバー制度」への対応は必然的に社内規程の改訂等も求められるため、全社的な取り組みが必要です。
まず、「マイナンバー制度」についておさらいをした上で、企業の取り組み内容について確認していきます。

マイナンバー制度の概要と企業の対応の必要性

「マイナンバー制度」については、様々な文書や報道で目にされている方も多いので、簡単な説明にとどめます。
「マイナンバー制度」は現状、様々な行政機関に存在する個人の情報を同一人であることを確認することによって、行政事務の効率化を高めるとともに、利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤と位置付けられています。国民の一人一人に12桁のユニークな個人番号であるマイナンバーが割り当てられ、社会保障・税・災害対策の行政手続きで使用を開始します。
これに伴って、企業等の民間事業者も、税や社会保険の手続きで、従業員等のマイナンバーを取り扱うことになります。
民間事業者は、従業員等の健康保険や厚生年金等の加入手続や、給与の源泉徴収票の作成を行っています。2016年1月以降、源泉徴収票や健康保険・厚生年金・雇用保険などの書類にパートやアルバイトを含めた、すべての従業員に関連するマイナンバーを取得し、番号を記載した上で行政機関に提出することが求められます。また、マイナンバーをその内容に含む個人情報は特定個人情報としては適切に管理することも求められます。

企業におけるマイナンバーの管理体系の構築

企業は「マイナンバー制度」運用が開始されるまでに、まず対象業務を洗い出す必要があります。内閣府の資料によるマイナンバーの記載が要求される文書の例は、以下の通りです。
民間企業における個人番号の利用場面(例)

その上で、以下の準備が必要となります。
・マイナンバーを適正に取扱うための規程類の整備
・マイナンバーに対応するための情報システムの開発や改修
・特定個人情報の安全管理措置の検討
・従業員に周知させるための社内研修や教育の実施
こうした準備を経た結果、従業員個人に通知されるマイナンバーを収集し、適切に管理する体系が構築されることになります。そのイメージは以下の通りです。
マイナンバーの管理体系イメージ

それぞれのプロセスでの主な要件は、以下の通りです。
1.マイナンバーの取得
・個人番号関係事務を処理するために必要がある場合に限って、本人などに対してマイナンバーの提供を求めることができる
※個人番号関係事務:社会保障及び税に関する手続書類に従業員等の個人番号を記載して行政機関等及び健康保険組合等に提出する作業
・本人からマイナンバーの提供を受ける際に、本人確認の必要がある

2.マイナンバーの利用
・事業者が個人番号を利用するのは、主として、個人番号関係事務である
・個人番号関係事務を処理するために必要な範囲で、特定個人情報ファイルを作成できる

3.マイナンバーの保管
・法制度で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を保管できない

4.マイナンバーの開示・訂正・利用停止等
・個人情報取扱事業者は、特定個人情報の適正な取扱いについて、開示・訂正・利用停止等の規定の適用を受ける
・特定個人情報が違法に第三者に提供されているという理由で、本人から第三者への特定個人情報の提供の停止を求められた場合、遅滞なく、第三者提供を停止しなければならない

5.マイナンバーの廃棄
・マイナンバーに関係する事務を処理する必要がなくなった場合、かつ所管法令で定められている保存期間を経過した場合、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならない

6.マイナンバーの安全管理措置
・マイナンバー、及び特定個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければならない
・従業者に対する必要かつ適切な監督も行わなければならない
・マイナンバーの関係する事務の全部、または一部の委託者は、委託先において、自社が果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければならない
・マイナンバーの関係する事務の全部、または一部の委託先は、最初の委託者の許諾を得た場合に限り、再委託をすることが可能

マイナンバーの対象業務に関連する部署は多岐にわたることが想定されるので、こうした体系を構築するには、全社的な体制で取り組む必要があります。
想定される分野をざっと考えても、従業員の人事労務、福利厚生、経理、法務コンプライアンス、個人情報のリスク管理部門、健保組合や厚生年金、労災、雇用保険など広範囲になります。さらに、マイナンバーと同時に提供される法人番号についても対応しなければなりません。
マイナンバーは今年の10月以降、順次通知が開始され、来年1月から利用が開始されます。残り数か月のうちに、マイナンバーの管理体系を構築し、マイナンバーの収集を始めなければならないことになります。

マイナンバー制度の罰則

昨年のベネッセコーポレーションの顧客情報漏えい事件を始めとして、個人情報の漏えいが後を絶たない状態です。現行の個人情報保護法では、情報漏えいの影響に比べて罰則内容がそれほど重くないことが問題視されています。それでは、マイナンバーを含む特定個人情報についてはどうでしょうか。
特定個人情報に関する罰則内容を簡単に取り纏めたのが以下になります。全体的に、個人情報保護法よりも罰則となる対象が増え、かつ罰則自体も重くなっています。
番号法における罰則内容

注意しなければならないのは、個人情報保護法では、法制度の対象となる個人情報取扱事業者は、企業が所有する個人情報が5000件以上の事業者とされていましたが、マイナンバー制度では特定個人情報が1件でも対象になります。つまり、ほぼすべての事業者が対象となります。
よって、制度施行までに管理体系が整備されていなければ、マイナンバーの漏えいリスクが高まり、リスクが顕在化した場合は罰則が適用されることにも成りかねません。

次回以降は、マイナンバーの管理プロセスや安全管理措置について、より詳しく確認していきます。

上記内容に関連して、ご相談や質問などがございましたら、お気軽にご連絡ください。
お問い合わせフォームは、こちらです。

デルタエッジコンサルタントではマイナンバー制度への対応を支援するコンサルティングサービスを提供します。詳細はこちらをご確認ください。
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