コラム

 公開日: 2015-02-02  最終更新日: 2015-04-09

営業秘密管理指針の改訂(2)-自社の秘密情報を法的に守るためには

前回は営業秘密の概要と漏えい状況について説明しました。それでは、もし自社内の秘密情報が漏えいした場合、営業秘密として法的保護を受けるための要件について説明した後、改訂された営業秘密管理指針に沿って各要件について確認していきます。

営業秘密の要件

不正競争防止法では以下の3つの要件を満たす情報を営業秘密として定義しております。言い換えれば、以下の3要件を満たすことが不正競争防止法による保護を受ける条件となります。
①秘密管理性:秘密として管理されていること
②有用性:事業活動(生産、販売、等)に有用な技術上、または営業上の情報であること
③非公知性:公然と知られていないもの
この3要件を満たした営業秘密に関しては、刑事上、民事上の措置の対象となります。こちらについては今国会で改正案が提出される予定であり、もし可決すれば、現行法よりも重い処罰になる予定です。
なお、この3要件は国際的な協定である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定、日本は1995年に加入)を担保するものであり、グローバルでも当該協定に基づいて制度的運用がされています。

営業秘密の要件1-秘密管理性

営業秘密の要件の一つである秘密管理性について、営業秘密管理指針では以下の様に記載されています。

「秘密管理性要件の趣旨は、企業が秘密として管理しようとする対象(情報の範囲)が従業員等に対して明確化されることによって、従業員等の予見可能性、ひいては、経済活動の安定性を確保することにある。」
(「営業秘密管理指針(平成27年1月全部改訂版)」P.3より抜粋)

言い換えると、秘密管理性とは、企業内で限られた者しか存在を知らされていない、等の厳格な秘匿性を求めているのではなく、当該情報が営業秘密として管理されていることを明確にすることです。その理由としては、例えば顧客情報などは共有され活用されることで価値があることから、これを厳格な管理を行うことで円滑な企業活動が阻害される可能性のあること、また、従業員等が何らかの理由で営業秘密に接した際に、営業秘密だと知らせることで不測の嫌疑をかけられないようにすること、等です。
もちろん、情報保護のために何も対応しなくてもよい、という訳ではなく、従業員に明確に示されるよう、経済合理的な秘密管理措置を適用することを求めています。なお、ここでの従業員とは、営業秘密情報に合法的、現実に接することができる従業員であり、必ずしも職務分掌上の従業員だけであるとは限らないことに留意してください。
営業秘密に対する秘密管理措置は、対象となる営業秘密が一般情報から合理的に区分され、かつ営業秘密であることを明らかにされていることです。ここでの合理的区分とは、個々の情報(用紙やファイル)や一覧の項目ごとに営業秘密であるか一般情報であるかの表示等を求めるものではなく、企業内で使用される媒体の管理上、営業秘密を含む情報(営業秘密のみ、または一般情報との混在)なのか、一般情報のみで構成されているのかが判別できれば良いとされています。
また、時には自社の営業秘密を他社(子会社、関連会社、取引先、業務委託先、フランチャイジー、等)と共有する場合がありますが、当該営業秘密に対して法的庇護を受けるには、
自社の秘密管理意思を明確に示す必要があります。一般的には、営業秘密を特定した秘密保持契約(NDA)を締結することで、自社の秘密管理意思を明らかにすることができます。

営業秘密の要件2-有用性

営業秘密の要件の一つである有用性について、営業秘密管理指針では以下の様に記載されています。

「有用性」が認められるためには、その情報が客観的にみて、事業活動にとって有用であることが必要である。
一方、企業の反社会的な行為などの公序良俗に反する内容の情報は、「有用性」が認められない。
(「営業秘密管理指針(平成27年1月全部改訂版)」P.15より抜粋)

事業活動にとって有用であるということは、利用することで経費の節約、経営効率の改善、等に役立つものであることを指します。これは、広い意味で商業的価値が認められる情報を保護することに主眼があり、現時点で事業活動に使用/利用されていることは求められていません。また、ビジネスに対して間接的、潜在的な価値がある情報(例.失敗の知識や情報)にも有用性は認められます。

営業秘密の要件3-非公知性

営業秘密の要件の一つである非公知性について、営業秘密管理指針では以下の様に記載されています。

「非公知性」が認められるためには、一般的には知られておらず、又は容易に知ることができないことが必要である。
(「営業秘密管理指針(平成27年1月全部改訂版)」P.16より抜粋)

上記の記載は言い換えれば、入手可能な刊行物に記載されていない等、情報保有者の管理下以外では一般的に入手できない状態です。なお、営業秘密の保有者とは異なる第三者が、同種の営業秘密を独立に開発/作成した場合、当該第三者が秘密に管理していれば、非公知性は保たれると考えられます。
また、営業秘密を構成する情報の断片が様々な刊行物に掲載されており、これらを収拾することで当該営業秘密に近い情報が再構成される場合でも、非公知性が否定される訳ではありません。つまり、その情報の組み合わせ方法自体に有用性があり、営業秘密となりうるからです。

最後に

営業秘密はそれぞれの企業における競争力の源泉となるものです。企業の様々な創意工夫や経験の集積である営業秘密は、最終的には自分たちで守らなければならないものです。そのためにはこの営業秘密管理指針の内容を把握した上で、自社の事業環境や社内風土に適した、実効的な管理を整備、構築し、運用する必要があると考えます。
なお、経済産業省では今後、漏えい防止対策等を取り纏めた「営業秘密保護マニュアル」(仮称)を策定、公開する予定とのことです。こちらについても公開され次第、内容を紹介しようと考えております。

上記内容に関連して、ご相談や質問などがございましたら、お気軽にご連絡ください。
なお、弊社の関連するサービスの紹介はこちらです。併せてご確認ください。

お問い合わせフォームは、こちらです。

参考:経済産業省の営業秘密に関するホームページ

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