コラム

 公開日: 2015-01-30  最終更新日: 2015-04-09

営業秘密管理指針の改訂(1)-自社の秘密情報を管理していますか

経済産業省より、平成27年1月28日付で営業秘密管理指針が全面改訂され、公開されました。これまでは90ページ近くあった指針が20ページとコンパクト化し、非常に読みやすくなりました。
近年、企業の持つ重要な情報が不正に持ち出される事件が増加しております。昨年であれば、東芝のフラッシュメモリーに関する研究データを海外に流出させた事件や、ベネッセコーポレーションの顧客情報漏えい事件が記憶に新しいところです。これを取り締まる法律が不正競争防止法ですが、その前提として、対象となる情報が「営業秘密」として管理されていることが必要です。法律による保護を受けるための必要最低限の内容が営業秘密管理指針に取り纏めてられています。特に、近年では営業秘密を含む社内情報がデータ化されていることから、情報セキュリティの面も含まれています。
なお、この指針内容だけでは情報漏えいの防止対策としては十分でないこと、また、海外で発生した事案については当該国の法制度が適用されることに留意ください。

営業秘密とは

一般に企業の技術情報などの知的財産を保護するための制度として、特許法に基づく特許権を頭に浮かべる方々が多いと思います。確かに特許権は登録することで権利を明確にし、一定期間は排他的独占権を取得できますが、一方で出願内容は公開され(オープン化)、保護期間満了後は誰でも使用可能となってしまいます。そのため、リバースエンジニアリング等で解析困難な技術情報であれば、当該情報の存在自体を企業秘密とし、非公開にする(ブラックボックス化)という手段も競争優位を実現する選択肢の一つとして考えることができます。こうした秘匿情報に対して制度上の保護を与える要件を満たしたものを営業秘密と呼びます。
知財戦略の比較
ベネッセ社の顧客情報漏えい事件で、個人情報保護法が適用されなかったことについて不思議に思う方々も少なくなかったのではないでしょうか。個人情報保護法では主として個人情報を保有する個人情報取扱事業者の管理等に関わる内容であり、不正持ち出しに関しては法の範囲外です。そのため、顧客情報を他社から秘匿すべき営業秘密として取り扱うことで、不正競争防止法を適用したものです。
不正競争防止法は他社による技術開発や商品開発等の成果を無断で使用することを禁じています。不正に取得された営業秘密の使用や開示行為等は法によって差し止めることができる対象となっております。
このように、営業秘密には技術情報ばかりではなく、顧客情報(データ)や業務上のノウハウ、マニュアル、等も含まれます。
営業秘密の例

営業秘密の漏えいの状況

それでは、営業秘密の漏えい状況について、経済産業省によって2013年度に報告されたアンケート調査の結果を確認してみます。調査対象は、国内製造業、情報産業やサービス業等、約1万社となっています。
最初に、どのような立場の者が営業秘密の漏えいを行ったか、という設問については、退職や契約満了で組織を離れる際に漏えいが発生するケースが多くなっています。次いで多いのがミスによる漏えいとなっています。中には現職従業員が金銭目的で情報漏えいを行うケースもあります。
営業秘密の漏えい者の立場等

営業秘密の漏えい先については、国内の競合他社が全体の半数近くを占めております。また、詳細に分析すると、外国の競業他社への漏えいのほとんどは製造業で行われています。
営業秘密の漏えい先

最後に、漏えいした営業秘密の内容については、顧客情報・個人情報が全体の8割以上となっています。別の設問では、流出した情報は重要性が高いと考えられるケースが多く、特に顧客情報・個人情報、製造ノウハウ、成分情報の80%以上は重要性が高いと考えられています。つまり、漏えい者は価値のある情報を選別していることが想定されます。
漏えいした営業秘密の種類

次回は営業秘密として法的な保護を受ける場合の要件について確認します。

上記内容に関連して、ご相談や質問などがございましたら、お気軽にご連絡ください。
なお、弊社の関連するサービスの紹介はこちらです。併せてご確認ください。

お問い合わせフォームは、こちらです。

参考:経済産業省の 営業秘密に関するホームページ

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