コラム

 公開日: 2018-01-30 

就労継続支援A型事業所の実態調査から~経営状況と取り組みの現状に思う

就労継続支援A型事業所全国協議会(全Aネット)が、A型事業所全体のサービス向上と経営の健全化に向けて、A型事業所の現状と課題を把握し、将来の方向性を提言していくために、全国の約3,500の就労継続支援A型事業所を対象とした全国実態調査を行いました。その結果からです。(調査の詳細は、http://zen-a.net/)

経営状況

調査によれば、平均的な事業規模は66,963千円。経常収支差額は1,760千円と、会計全体では黒字になっています。しかし、就労支援事業では,事業収入が29,133千円に対して、利用者賃金18,316千円、就労支援事業におけるその他経費18,694千円と合計37,010千円で、就労支援事業単独では7,877千円の赤字となっています。今年度のA型制度改正では、生産活動の「売上<利用者賃金+経費」は不適切な事例とされているので、調査結果による数字は、残念ながら不適切な事例となってしまいます。その他経費18,694千円の大きさが気になるところですが、調査報告によれば、配置基準のない職員が4.69人(就労支援会計の企画や営業を担当する職員1.52人と生産従事者3.17人の合計)配置されている実態があるそうです。経費の大きさからするとここを圧縮できないかと考えたいところですが、この配置があるから約3,000万円の売上が達成できているとも考えられ、安易な経費削減は難しいことが伺えます。となると、最低賃金を保証するA型事業としては、生産活動の収入増を図らなければならないわけです。

新しい取り組みを考えているのは4割程度

就労支援事業で約800万の赤字。ですが制度改正(制度の厳格化)に照らし合わせれば早急にこの赤字を解消しなければなりませんが、就労支援事業における新たな切り口での仕事や新しい取り組み(新規開業、事業転換、商品開発)等をどれだけの事業所が考えているかというと、たったの4割だそうです。6割は赤字解消の対策を考えていないということになります。これはかなり謎深い・・・・
外部の専門家支援については、社会保険労務士や税理士など社会保険・福祉サービス・税関係の書類手続きに関する助言が多く、中小企業診断士や総合経営コンサルタントなど就労事業活動関係の助言は少ないとのこと。守備固めに追われて、攻めの計画が作れないということでしょうか・・・

赤字を解消するには売り上げを上げるしかない

就労継続A型事業は利用者と雇用契約を結んで最賃以上の賃金を支払います。言うまでもなく、利用者賃金は固定費なので、それをカバーするだけの売上、利益を作っていかなければなりません。。今の事業の延長線上で達成できるのか、それとも新しい取り組みを考えていかなければならないのか。経営者や事業責任者が一番頭をひねるところだと思います。また、もし赤字幅が大きければ、おそらく新しい取り組みを考えるべきだろうと思います。それなのに6割が、新たな切り口での仕事や新しい取り組み(新規開業、事業転換、商品開発)考えていないというのは。
繰り返しますが、本当に謎深いです・・・

制度改正では経営改善計画を作成・実行し、それでも成果が見られない場合は指定取り消しもあるとしています。
A型事業所の廃業や閉鎖の情報は、残念ながらコンスタントに流れています。
今、本気で考えないといけない時期にきているのではないでしょうか。
思いを持って始めた事業を閉じることがないよう、働きたいとやってきた利用者を解雇することがないよう、事業者には踏ん張ってほしいと思っています。

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