コラム

 公開日: 2017-09-11 

就労継続支援A型事業所の障害者大量解雇、あなたはどう思う? 座談会をしました。。

就労事業所で障害者が大量解雇されたという報道

この夏に、就労継続支援A型事業所が、経営悪化を理由に廃業し、障害者を大量に解雇するケースが相次いでいることが報道されました。いったい何が起こっているのだろう、どうしてこのようなことが起こっているのだろうということで、同業の就労継続支援A型事業所やB型事業所、就労移行支援事業所、障害者就労を支援するコンサルタントや支援者たちが集まって、理解を深める座談会をしました。

就労継続A型事業所は障害者総合支援法に定められた就労支援事業の一つで、一般企業で働くことが難しい65歳未満の障害者に、仕事(就労)と福祉サービスを提供します。事業所は障害者と雇用契約を結び、就労で得た利益を原資に原則として最低賃金以上を支払います。一方でA型事業所は、事業所を利用する障害者(利用者)1人当たり1日5000円以上を障害福祉サービスの給付金を受けます。これは事業運営費として、職員の人件費や家賃に充てられます。

運営費を賄うだけの給付費を受けるために、ある程度の人数の利用者がある程度の日数を事業所に来てくれて、事業所の中では通ってきた利用者に最低賃金が払えるだけの事業を行っていれば回ることになりますが、今回の報道では「経営悪化を理由に廃業し」とあるので、利用者がほどんど来なくなっていて、来た利用者もやることがなかった(仕事がなかった)のかなと想像します。

事業だから当然浮き沈みはあるだろうけど、事業者はどのような経営努力をしていたのだろう? 最低賃金を払う事業としてどのような事業を組み立てていたのだろう? 廃業にあたっては、どのような思いだったのだろう?と疑問は尽きないところです。

巷で話題になっている悪しきA型なるもの

報道されている事業所の事情は全く分かりませんが、巷で話題になっている悪しきA型についても、話が出ました。有名(?)なのは、利用者に短時間労働(仕事とは言い難い内容の者)をさせて、給付費からその時間分の給料を払い、残りで運営費を賄うもの。給付費から利用者へ賃金を充当することは、今年4月の省令改正で禁止されました。

しかしもう一つややこしいことがあって、A型事業所は雇用保険の助成金を受けることもできるので、利用者1人あたり最大3年間で240万円を受けることができるそうなのです。座談会メンバーの話では、ある法人はA型事業所を3~4軒もっていて、雇用保険の助成金が切れると次の事業所に利用者を移すらしい、とのことでした。

ここまでくると理念とか使命とかは全くなく、制度を利用しているだけのビジネスです。A型事業所は全国に約3,600か所あるそうですが、行政は今後チェックを強化していくようです。

ただ申請時から収益の見込みが立っていない事業所も当然あったわけで、それを通しておいて、今ここでチェックだけ強化しても、「善き思いで理想に燃えてA型事業所を作ったけれど、ずっと収益事業を作ることができず、そこから利用者に給料を払うことができないので、結果として給付金から出しています」というA型事業所は、どんな思いなのでしょうか?確かに収益事業が作れていないことが大きな問題ではあるのですが・・・・。

就労継続支援A型事業所は、利用者にとってどのような場所なのでしょうか?

そもそも就労継続支援A型事業所は必要なのでしょうか?という問いかけが、座談会でありました。A型事業所は最賃で仕事をしていることを考えれば一般就労に近く、企業もより障害者雇用をすすめていかなければならないことを考えれば、東京など企業が多く集まっている大都市では、A型事業所はどこに存在意義があるのだろうかという問いかけです。

お給料がもらえる→A型事業所も企業も同じ。(企業のほうがきっと安心)
障害に対する配慮がある→A型事業所も企業も同じ。(合理的配慮義務がある)
同じ障害の仲間がいる → A型事業所も企業も同じ。特に特例子会社に就職すれば。

そんなことをあれやこれや話している中で出てきたのは次のようなこと。

受け入れられてもらえるか→ ここは企業ではクエスチョン。人事、配属部署、実際に働く社員では確実な温度差あり
キャリアアップがあるか→ ここは企業ではクエスチョン。そういう会社もあるだろうが、あまり聞かない
やりがいのある仕事→ここは企業ではクエスチョン。そういう会社もあるだろうが、あまり聞かない。

A型事業所はお給料だけ見れば一般企業雇用とあまり変わらないかもしれないけれど、利用者にとってみれば、仲間として受け入れてもらって、やりがいのある仕事をして、がんばればキャリアアップできるという場所になるのだろうし、A型事業所はそういう場所を目指さないといけないのでしょう。

良いA型にもっと光を!

とは言え、これは相当に相当に難しいことです。単純に計算しても、10人の利用者に毎月10万払うとなると、年間で1,200万の利益が必要になってきます。仕事が減ってきたから人手を調整するという選択肢はないわけで、常に営業活動をしていなければなりません。一般の事業立ち上げよりも、はるかに難しそうです。

だからこそ、今回の報道をきっかけに、巷で話題になっている悪しきA型の話を再燃させるのではなく、「良いA型」にもっともっと光を当てるべきだと思います。実際に素晴らしい理念で、素晴らしい行動力で、働く経験と賃金を利用者に提供しているA型事業所は全国に確かに存在します。

そういう事業所を称え、また次に続く事業所を育成する支援をしていく必要があるのではないでしょうか。
このような事業所が1つ2つと増えていくことは、とても誇らしいことなのではないかと思います。

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