コラム

 公開日: 2017-05-01 

障がい者就労のユニバーサル農業でヒット商品を生んだ誕生物語

ユニバーサル農業とは、一般的には、「園芸福祉」や「園芸療法」として知られている園芸作業を高齢者や障がい者が行うこによる生きがいづくりや社会参加の効用を、農業の改善や農業の多様な担い手の育成などに活かしていこうという取り組みです。

最近では、農業分野の担い手不足と、福祉分野の職域開拓や雇用促進をマッチングする「農福連携」の取り組みが言われていますが、意味合いとしては似ているようです。

実は、ユニバーサル農業または農福連携には懐疑的でした。もちろん農業には生きがいや社会参加の効用があることは重々理解してますが、これが農業分野の担い手不足につながるのだろうか、とか。農業のことは全く知りませんが、知らないながらも、福祉施設が取り組むといっても今日・明日できる事業ではないことは分かります。ユニバーサル農業または農福連携で、どうやって収益を生む事業にするのだろうか、という疑問がずっとありました。

ところが、その答えが、浜松にある「京丸園株式会社」にありました!
http://www.kyomaru.net
15代続く農園で、青梗菜や三つ葉などを生産し、売上高は3億円に上ります。
この売り上げに大きく貢献しているのが青梗菜で、一般の青梗菜よりかなり小さい「ミニ青梗菜」で同社のオリジナル商品です。これは障害のある社員とともに開発しました。

同社は平成9年から障害者雇用を行っています。雇用をすすめる中で、どうしたらもっと力を発揮してもらえるのか、どうしたら一緒に農業を強くできるのかを、社長の鈴木厚志さんは常に考えていました。そこで出てきたのが、「他の農家では作らない小さな青梗菜を作ったらいいのでは」という考え。青梗菜はキロいくらで取引されるため、農家では大ぶりのものが生産させるそうです。そこをあえて逆の発想で、小ぶりのものに需要があるのではないかと考えました。また浜松は青梗菜の生産量が日本一。その生産地から生まれた小さな青梗菜であれば名前も通りやすいのでは、という考えもあったそうです。

その発想にいたった背景には、作り手側の事情がありました。作り手側は、障害のある社員たちです。一般の農家の人たちがやるのと同じ作業をすることは難しいため、同じ土俵で戦うことはできません。また万一同じ土俵に上がってしまえば、今度は激しい競争が待っています。この競争を避けて、勝つためにはどうしたらいいのか。ニッチ戦略です。

鈴木社長の読みは当たりました。今まで注目されていなかったミニ青梗菜市場は確かに存在し、今や一日2万パックを出荷しています。全国でもミニ青梗菜を生産しているのはこの農園だけということもあり、全国から注文がきます。そしてこのミニ青梗菜は売り上げに大きく貢献するまでになりました。

生産現場では障害のある社員たちが、定植、収穫した青梗菜の袋詰め、生産に使用するパネルなどの掃除を行います。
見学にお伺いしたときも10人ほどの社員たちが作業をしていました。作業一つにも、より力が発揮できる工夫が満載で、これは続きのコラムで紹介します。

鈴木社長は、自分が考えるユニバーサル農業は、農業を強くするために多様な働き手が一緒になって行うもの。ここがブレないことが重要だ、とおっしゃっていました。また、障害のある社員たちと働いていて、隠れた力を発見したときなど、いい意味で裏切られたときが、本当に面白いとおっしゃっていた笑顔が印象的でした。

京丸園の事例は、障害のある社員とどのように収益を上げる事業を行うかを考える就労継続事業A型の事業者に参考になると思います。




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http://www.cuvel.co.jp
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