コラム

 公開日: 2016-10-17 

「体験」と「話し合い」が職員を成長させる

長年、障害者就労に携わっていらっしゃる方とお話をしたときのこと。障害者自立支援法に伴い、開業の門戸が開かれ、報酬体系が変ったが、職員の採用や育成は上手くいっていないのではないか。それが障害福祉サービスの質に影響を及ぼしているのではないかと懸念されていました。

懸念の根拠は、低工賃、特に平均月額工賃3,000円未満の就労継続支援B型事業所が少なからずあること。そういった事業所の中には、そもそもなぜ工賃が必要なのか、なぜ工賃を上げなければいけないのか、どのくらいの工賃を目指すのか、工賃と職員の仕事の関係はどのようになっているのか、そもそも職員に求められている役割は何なのか、など「そもそも」といった議論を事業所の中でしていないのではないか。議論をしていないので、職員を採用するにしても育成するにしても、目指す方向性が定まらないために、ややもすると、利用者にできる部分を「手伝ってもらって」(または休んでもらって)職員が作業をする、という状況が生まれているのではないか。個々の事業所だけでなく、事業所間同士や業界の中で、この話し合いが置き去りにされているのではないか。それが工賃アップと言い続けても、なかなか動かない理由なのではないか、ということです。

障害福祉サービスは人によるものなので、職員のモチベーションやスキルアップは不可欠です。しかしこの部分にどれだけの時間とお金をかけているかというと、どうでしょうか?確かに限られた人数の中で就労支援や福祉支援を行っていくのはチャレンジが多いことですが、職員がサービスの源泉であることを考えれば、少し時間やお金をやりくりして職員の教育や育成にかけるというのも必要なのではないかと思います。

しかし何も「教育」や「育成」の定型の講座を受けるということではありません。むしろ、同じ事業所内で他の職員と同じテーマで話し合う、他の事業所の職員と同じテーマで話し合う、1つのテーマに基づいて他の事業所を見学する、1つのテーマに基づいて民間事業者を見学する、インターンとして他事業所・民間事業所で学ぶ、といった「体験」と「話し合い」が成長につながるのだと思います。

成長を阻むものは、新しいことへの不安やこれでいいという安住の思いなどですが、自分以外の外と交わることで視界が開け勇気がもらえます。要となる職員が生き生きと前向きに成長することが、その組織の成長にもつながります。成長する組織は、おそらく利用者ものびのびと仕事をして、取引先からの信頼もあり、地域の中にあっても支えられるだけでなく逆に支える側に回ることもあるような、そんな姿なのではないかと思います。それはとても気持ちの良い社会のように思えます。

そのような成長に少しでも貢献したいと改めて感じた時間でした。

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