コラム

 公開日: 2016-04-25  最終更新日: 2017-01-14

工賃向上の軸足:「誰に」「なぜ」「なにを」

就労継続支援事業には2つの会計があり、福祉事業会計(事業所運営のための会計)と就労支援事業会計(利用者工賃のための会計)があります。工賃向上の取り組みは就労支援事業会計で表され、生産活動の売り上げから経費を引いた残り(利益)を、原則として、利用者に工賃として全額支払うことになります。

工賃を多く払うには利益を大きくすることが必要 - ここまではその通りと納得が得られると思いますが、大きな疑問が次に湧いてくるはずです。「どうやって????」

以前遭遇したケースで次のようなことがありました。
「利用者全員が参加できるので漬物作りをすることにした。近所の農家が作り方を教えてくれた。材料にこだわって高いものを使ったので高級漬物として1パック500円として売ることにした。いざ販売したら全く売れない。作業は楽しいのでどんどんできていくが、売れないので在庫になっていく・・」

原価計算もきちんとして、利益率の高い商品に値付けしたそうです。食べ物なので安心・安全を考えて、衛生管理やコンプライアンスの研修に行ったり、指導も受けたそうです。しかし、売れない・・・

なぜでしょうか?

このケースの場合、一番残念だったのは、誰に買ってほしいのか・どんな人に喜んでもらいたいのか、具体的なイメージがなかったことです。

「あなたたちのお漬物を、誰に買ってほしいんですか?」(私)
「一般の人です(福祉関係者以外の人をこう表現するらしい)」「地域の人です」「高齢者です」(事業所の職員さん)
この3つが大体のお答えのパターンです。

「その方たちはどういう理由であなたたちのお漬物を買うと思いますか?」(私)
「・・・・・・・・・」「・・・・・おいしいから?・・・かな?」「・・・・福祉だから?・・・?・・」(事業所の職員さん)
この辺でお答えが消えていきます。

2つの質問は、「誰に(対象消費者)」「なぜ(消費者のニーズ・購買理由)」を聞いたものです。
シンプルな質問ですが、これに答えられる人はとても少ないです。
逆に言えば、この質問にできるだけ具体的に答えることができれば(それも客観的な事実を使いながら)、作れど作れど全く売れないというリスクはかなり軽減することができます。

例えば「その地方に伝わる昔ながらの味を懐かしむ高齢者や、地域のつながりに関心のある若い移住者を対象に、地産地消のニーズに応える」とするならば、そのどうやって作るか、種類はどうするか、いくらにするか、包装形態はどうするか、どこで販売するか、流通はどうするか、宣伝方法はどうするかがおのずと見えてます。
ここまで来れば、作れど作れど全く売れないというリスクはさらに少なくなっていきます。

「一生懸命作っているけど全然売れない」と困っている方は、一度、「誰に」「なぜ」「何を」売っているのか・対象の人たちにとって自分たちの商品がどうであったら喜ばれるのかを考えてみることをおススメします。

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