コラム

 公開日: 2016-04-18 

工賃向上の軸足:就労事業は「利益」が大事

障害者就労継続支援B型事業所など工賃向上に取り組んでいる経営者や管理者の方が、事業を良好に運営していくために必要な軸足として、「就労支援会計の理解」があり、それに基づいた「利益の確保」があります。

障害者就労事業所には2つの会計があります。1つは「福祉事業会計」、もう1つは「就労支援事業会計」です。
福祉事業会計は、収入はサービスを提供した報酬の訓練等給付費で、支出は事業所を運営するための固定費(家賃、水光熱費、職員給与等)になります。
就労支援事業会計は、収入は生産活動を行った売上で、支出はその生産活動を行うための経費(原料仕入れ、水光熱費、利用者工賃等)になります。余剰金は原則不可となります。

就労支援事業会計
利用者が働いて得た売上 - 経費(原料仕入れ、水光熱費他、利用者工賃含む) = 0

上の式を組み替えると
利用者が働いて得た売上 - 経費(原料仕入れ、水光熱費等) = 工賃原資となる利益(利用者工賃)

となります。支払う工賃を大きくするには工賃原資となる利益を大きくすることになり、それには、売り上げを大きくするか経費を少なくするか、または両方を行うかということがわかります。

ここで就労支援会計として注目したいのは「経費」です。
この「経費」には、仕入れ・原材料費、水光熱費、人件費、減価償却費などが含まれます。
しかしこれらの経費には、次のような条件があります。

仕入れ・原材料費:当該年度の売上に係った原材料費等
水光熱費:就労支援事業に係る部分のみ
人件費:報酬算定上必要となる基準を超えて配置していて、利用者工賃の向上に寄与するために「専ら」就労支援事業に従事する直接処遇職員人件費
減価償却費:就労支援事業に係る設備でかつ就労支援事業活動経費で取得した物

どの説明もわかりにくいのですが、いずれの経費も就労事業に係る部分のみ計上ということになります。
人件費は、「専ら就労事業に従事する」とありますので、いわゆる「職員」ではなく、パンの製造販売を行っている事業所であればパンの職人さんというイメージになるかと思います。「職員」の人件費が入らないよう注意が必要です。
中には就労会計なのか福祉会計なのか迷うケースもあると思いますが、明確に就労に係ると分かる場合のみ就労会計に計上し、それ以外は福祉会計に計上すると説明されています。

もし、うっかりと間違って福祉会計に計上される経費が就労会計に計上されている場合、工賃原資は少なくなってしまいます。売り上げはあるのに支払工賃が少ないという場合、経費が大きくて工賃原資が確保できないということなので、経費にどのようなものが含まれているのか一度確認されることをおススメします。

就労支援会計に則って数値を整理したあとで次におススメするのは、工賃原資で利用への工賃支払ができているかどうかの現状確認です。

工賃原資 < 支払工賃 の場合(工賃原資で工賃が払えていない)
   ⇒利益確保に向けた就労事業の改善が必要。

工賃原資 > 支払工賃 の場合(工賃原資が余っている)
   ⇒工賃の適正配分の見直しが必要。

現状を確認することで、どういった対策を考えたら良いのかが見えてきます。

またこの確認作業は就労担当、事務、経理が一緒になって行うことが有効です。就労会計で表れる数字を見ながら就労会計の意味を確認することができ、数字で表れている現状が自分たちの事業使命にそっているのかどうかを確認することができます。

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