コラム

 公開日: 2016-04-18  最終更新日: 2017-01-14

工賃向上の軸足:就労事業は「利益」が大事

障害者就労継続支援B型事業所など工賃向上に取り組んでいる経営者や管理者の方が、事業を良好に運営していくために必要な軸足として、「就労支援会計の理解」があり、それに基づいた「利益の確保」があります。

障害者就労事業所には2つの会計があります。1つは「福祉事業会計」、もう1つは「就労支援事業会計」です。
福祉事業会計は、収入はサービスを提供した報酬の訓練等給付費で、支出は事業所を運営するための固定費(家賃、水光熱費、職員給与等)になります。
就労支援事業会計は、収入は生産活動を行った売上で、支出はその生産活動を行うための経費(原料仕入れ、水光熱費、利用者工賃等)になります。余剰金は原則不可となります。

就労支援事業会計
利用者が働いて得た売上 - 経費(原料仕入れ、水光熱費他、利用者工賃含む) = 0

上の式を組み替えると
利用者が働いて得た売上 - 経費(原料仕入れ、水光熱費等) = 工賃原資となる利益(利用者工賃)

となります。支払う工賃を大きくするには工賃原資となる利益を大きくすることになり、それには、売り上げを大きくするか経費を少なくするか、または両方を行うかということがわかります。

ここで就労支援会計として注目したいのは「経費」です。
この「経費」には、仕入れ・原材料費、水光熱費、人件費、減価償却費などが含まれます。
しかしこれらの経費には、次のような条件があります。

仕入れ・原材料費:当該年度の売上に係った原材料費等
水光熱費:就労支援事業に係る部分のみ
人件費:報酬算定上必要となる基準を超えて配置していて、利用者工賃の向上に寄与するために「専ら」就労支援事業に従事する直接処遇職員人件費
減価償却費:就労支援事業に係る設備でかつ就労支援事業活動経費で取得した物

どの説明もわかりにくいのですが、いずれの経費も就労事業に係る部分のみ計上ということになります。
人件費は、「専ら就労事業に従事する」とありますので、いわゆる「職員」ではなく、パンの製造販売を行っている事業所であればパンの職人さんというイメージになるかと思います。「職員」の人件費が入らないよう注意が必要です。
中には就労会計なのか福祉会計なのか迷うケースもあると思いますが、明確に就労に係ると分かる場合のみ就労会計に計上し、それ以外は福祉会計に計上すると説明されています。

もし、うっかりと間違って福祉会計に計上される経費が就労会計に計上されている場合、工賃原資は少なくなってしまいます。売り上げはあるのに支払工賃が少ないという場合、経費が大きくて工賃原資が確保できないということなので、経費にどのようなものが含まれているのか一度確認されることをおススメします。

就労支援会計に則って数値を整理したあとで次におススメするのは、工賃原資で利用への工賃支払ができているかどうかの現状確認です。

工賃原資 < 支払工賃 の場合(工賃原資で工賃が払えていない)
   ⇒利益確保に向けた就労事業の改善が必要。

工賃原資 > 支払工賃 の場合(工賃原資が余っている)
   ⇒工賃の適正配分の見直しが必要。

現状を確認することで、どういった対策を考えたら良いのかが見えてきます。

またこの確認作業は就労担当、事務、経理が一緒になって行うことが有効です。就労会計で表れる数字を見ながら就労会計の意味を確認することができ、数字で表れている現状が自分たちの事業使命にそっているのかどうかを確認することができます。

=========================
有限会社キュベル
http://www.cuvel.co.jp

Acvive Days(障がい者就労事業の問題解決を支援するブログ)
http://activedayscuvel.blogspot.jp/
=========================
キュベルのコンサルティング
就労事業の改善、新規事業の導入

キュベルの研修
「工賃向上ワークショップ」(工賃向上計画作成支援と推進支援を行うビジネスワークショップ 年間プロブラム)
「なぜ工賃向上が必要なのか。障がいのある人の働くを考えるワークショップ」(はじめて就労事業に就いた方向け
「工賃向上に必要な就労会計の基礎」(はじめて就労事業に就いた向け)
「工賃向上に役立つ数字作り」(就労事業担当者、就労事業計画作成者向け)
==========================

この記事を書いたプロ

有限会社キュベル [ホームページ]

経営コンサルタント 風間英美子

東京都中央区日本橋3-2-14 日本橋KNビル4F [地図]
TEL:03-5201-3631

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
工賃アップのK-NET!
K-NET!フォーラム

K-NET!は、「障がい者のやりがいのある仕事づくり」を旗印に、事業所管理者や職員、民間事業者、一般企業会社員、士業やコンサルタント、起業したい人、関心のある人な...

CUVELサービス

社会的な課題解決に取り組む事業への成果を重視したコンサルティングです。社会的な事業では、成果が決算書で表されるような数字ではない場合は、数字があったとしても...

 
このプロの紹介記事
風間英美子 かざまえみこ

障害者の経済的自立実現のために。事業所が運営できるスキームを手渡して(1/3)

「多くの障害者就労事業所(以下、事業所)の経営者の方は、『働くことが働くに見合う金額の工賃にしたい』お気持ちがありますが、現実的には理想通りにいかないと悩んでいらっしゃいます。福祉的な想いで事業所を運営していますが、別のスキルである経営ノウ...

風間英美子プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

障害者のやりがいある仕事・社会参加・経済的自立の為の事業支援

会社名 : 有限会社キュベル
住所 : 東京都中央区日本橋3-2-14 日本橋KNビル4F [地図]
TEL : 03-5201-3631

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-5201-3631

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

風間英美子(かざまえみこ)

有限会社キュベル

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
春蘭の宿さかえやを知っていますか?

奈良時代から1300年続く信州渋温泉に、従業員の平均年齢28歳!という温泉旅館があります。「春蘭の宿さかえや」...

[ 事例 ]

工賃向上の共同受注で見落としがちな点は?

障害者が働く就労継続B型事業所(非雇用型)の月額平均工賃は約1万4千円。この工賃を上げるには必要な利益を生み出...

[ 工賃向上 ]

障害者就労の共同受注に「ソフト面」からアプローチするネットワーキングプロジェクト

松戸市では今年度も、障害者就労事業に関する共同受注ネットワーキングプロジェクトを実施し、弊社が受託させてい...

[ 工賃向上 ]

就労継続支援A型で収益改善の計画を立てるのに行うべき基本的なこと

就労継続支援A型の指定基準見直しが出されました。就労の質の向上を目的に、事業収入から必要経費を控除した額に相...

[ 就労継続支援A型 ]

障がい者就労のユニバーサル農業でヒット商品を生んだ誕生物語ー続き
イメージ

障害のある社員とともにミニ青梗菜市場などを切り拓き、売上を伸ばしている京丸園株式会社。http://kyomaru.net...

[ 事例 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ