コラム

 公開日: 2018-03-20 

マニュアルと具体性

マニュアルに求められる「具体性」とは何か。
マニュアルを読んで同じようにできるという「再現性」。これがマニュアルの肝(きも)である。
この「再現性」を確かなものにするためには、「具体性」が非常に重要になる。
この「具体性」とは、「箇条書きでまとめる」といった類いのことではもちろんない。
それは、右手・左手、秒・分、㎜・㎝といったレベルで捉えること、
つまり、「細部にこだわる」「作業分解する」という2つのことが必要になるということだ。
これが、求められる「具体性」の中身である。

のっけから堅い話で恐縮だが、実はふと、あることを思い出したのだ。
メディアを賑わしていた「まとめサイト」の記事の信ぴょう性を疑う問題に対する報告書にあったことだ。
その中に、「マニュアルは作っていたが、具体的な指示がマニュアルにはない」、
また「具体的なマニュアルが必要だ」と指摘している点である。
言葉尻を捕らえるわけではないが、「具体的な」という表現にいささか違和感を覚えた。

マニュアル屋さんは、マニュアル=具体的として捉えている。
つまり、「具体的でない」マニュアルはマニュアルではないと思っているのだ。
それは、いわゆる「読み物」の類いである。先に上げたように、「具体性」はマニュアルの生命線である。
これなくして「マニュアル」と呼んではいけないとさえ思う。
しかし、一般的にはそれなりの「手順」や注意点が書いてあれば「マニュアル」としてOKなのだろう。
いや、むしろほとんどの人がそう思っているかもしれない。

ちょっと古いが、食中毒事件を起こしたある企業の製造管理マニュアルには、
「緊急時には、状況を適切に判断し、合理的な行動をとるように……」云々と書いてあったそうだ。
「緊急時」にそんなことができるのか。どうも言葉の使い方が“適切”ではないように思う。
ちなみにマニュアル屋さんは、マニュアルの中で使ってはいけない言葉として「適切、合理的、的確」などを
挙げている。


ところで、「具体性」が重要なのはわかるが、どこまで具体的にすれば良いのか、という疑問も
当然出てくるだろう。
たとえば、「窓をキレイに拭く」で終わっているマニュアルと
「キレイな拭き方」までを書いてあるマニュアルとでは、
どちらが誰がやっても同じように「キレイに」拭けるだろうか。言わずもがなである。
抽象的なことをできる限り「具体的にする」こと、細部にこだわり、作業分解することを積極的に
追求してほしい。
そして、何よりも「このマニュアルを読んで、同じように期待する作業(行動)ができるかどうか」を
常にマニュアル作成者は自問自答してほしいと思っている。

冒頭に挙げた記事を読んで、「具体性」がマニュアルには必須だということを、もっともっと多くの人に
知らせていかなければならないとあらためて思った次第である。

マニュアルは、本当に深い。
「ありの~ままで~いいの~♪」
「何がありのままだ!」という声が聞こえてくるが、実は抽象性?も大好きなマニュアル屋さん。
これからも長生きしてがんばろっと!


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『成功したければマニュアルどおりにやりなさい。』(実務教育出版) 2015年

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