コラム

 公開日: 2017-09-13 

マニュアルによる業務改善へのアプローチ事例


マニュアル作成をお手伝いした企業の役員の方からお手紙をいただいた。

「問題があるのはわかっていましたが、それをどのように解決したら良いのか、
手の打ちようがまったくわからない状態が続いていました。
マネジメントが問題なのか、構造上に欠陥があるのか、クリエィティブ部門という
特殊性からくるものなのか。
腫れ物に触る、そんな雰囲気が社内にありました。
ですから、今回のマニュアル化の話が持ち込まれたときは、当の本人たちはもちろん
私たちも、マニュアルにすることで問題が解決するのか、正直半信半疑でした」

この企業からのリクエストは、「マニュアル」を活用した業務改善。
最初から、“業務改善”が大きなテーマ、目的であった。
問題のクリエィティブ部門との打ち合わせは、確かにスムーズには進まなかったような記憶がある。
しかし、仕事を引き受けた以上は、何とかしなければいけない。
そこはそれ、マニュアル屋さんの粘りと根性で、何とか……。

「結果はマニュアルになり、問題の解決の方向が見えた、という大きな前進がありました。
今回の成果は、私どもにとっては非常に価値のある一歩になりました。
また、マニュアルの凄みを見せつけられた気がしております」

何とも嬉しくありがたい内容であった。
では、マニュアル屋さんはどんなアプローチを試みたのか。

結論から先に言えば、「部分最適」優先で業務を再構築する、という方法である。
つまり、「こうしてくれれば(こうあれば)、ありがたい(できる)」ということを自由に発言してもらい、
それをまとめて、それをベースに関係部門との折衝や仕事の仕組みを考えたわけである。
そして、「何とかしてほしい」といった抽象的依頼ではなく、「こうしてほしい(したい)」という
具体的な形にしていった。
こうしたやり取りや考えをもとに、マニュアルという形に落とし込んでいったわけである。

完成したマニュアルは、20ページ程度のものである。
しかし、その中身は新しい業務の仕組みや方法が盛りだくさん。まさに、「業務が改善」されたのだ。

できあがったマニュアルを前に、当の本人たちは戸惑っている。
「ほんとに、これでやっていいんですか?」と不安を口にする。
「部分最適」で考えたことが、ほとんどそのままマニュアルになってしまった。
それをこれから新しい活動として取り組んでいかなければいけない。
もう不満や愚痴や言い訳は通用しない。
だから、ビビる気持ちはよくわかる。言葉は悪いが、これまでは被害者意識という、
ある種の甘えの構造にどっぷり浸かっていたわけだから……。

マニュアル化が、この部門のすべての問題を解決したのではもちろんない。
しかし、一つの業務を整理し、新しく組み替えることで、大きな変化を生み出すことを彼らは学んだ。
こういう方法もあるんだという認識は、今後の業務改善に向けた大きな一歩に、確かになったと思う。

先の役員の手紙は、次のように締められていた。

「彼らの重い口を、まさにこじ開けて、必要なことを聞き出す。本当に大変なお仕事ですね」

そう、マニュアル屋さんの仕事は、嫌がる相手の口をむりやりこじ開けて、言わせること。
隠しておきたいノウハウを、問答無用で喋らせること。相手に嫌われて当然である。
しかし、弁解するわけではないが、それが素晴らしいノウハウの見える化や新しい仕組みの発見に
つながっていく、これもまた事実である。

役員の手紙を読みながら、あらためて思った。
「マニュアル、君もなかなかやるじゃない!」


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