コラム

 公開日: 2017-09-06  最終更新日: 2017-09-12

「当たり前」にやっていることを分解する


「当たり前を疑え!」

これは、マニュアルの勉強会などで、マニュアル屋さんがいつも強調していることである。
普段何気なくやっている仕事について、「なぜ、こうするのか」と自問自答したりはしないものだ。
まさに、“当たり前”にやっているのだから、それを深く考えたり疑問に思ったりはしない。
そんなことをしていたら、仕事が進まなくなってしまう。

しかし、マニュアルづくりは、
「誰が読んでもわかる、誰がやっても同じようにできる」ように作らなければいけないから、
何気なくやっている仕事の一つひとつを作業(行動)分解して具体的にしていかなければならない。
そうしないと、新人さんには理解してもらえない。

だから勉強会では、
「一度立ち止まって考えてください」と言って、“当たり前を疑う”ことの重要性を訴えている。

例えば、「お客様がお帰りになられたら、テーブルの上を素早く片付けます」とマニュアルに書いて
あったとする。
ベテランの人にとっては、いつもやっていることだから、その要領はわかる、無意識に手や身体が動く。
しかし、新人は経験がないわけだから、この“素早く片付ける”というイメージがわからない。
何を、どの順番で、どのように片付ければ良いのか、皆目見当がつかない。
したがってマニュアルでは、「お客様がお帰りになられたあと、トレイとダスターを持ってテーブルに行き、
最初にコップを……」といった具体的な手順に落とし込んでいく。
こうすることによって、誰でも“素早く片付ける”ことができるようになるわけだ。

マニュアル屋さんの仕事は、
「素早く片付けるとは、具体的にどういうことですか?」といったチェックを入れること。
このチェックを受けて、作成者は「立ち止まって、具体的に考え始める」ことになる。
「いつもどうやっているんだっけ?」
「えーと、最初に……」
と言いながら、“当たり前”を分解し始める。
だから、マニュアルのチェックには、細心の注意と集中力が必要なのだ。

マニュアルづくりは、内容にもよるが、6ヶ月から8ヶ月ほどかかる。
チェックして戻すという繰り返しを続けていると、マニュアル屋さんも自然にその仕事がわかってくる。
現場の取材もするので、なおさら具体的なイメージも持つ。
そうすると、どうなるか。
“当たり前”が疑いづらくなるのだ。
つまり、本来チェックを入れるべきところを、素通りしてしまうといったことが起こる。
この表現は新人が読んでわかるか、行動できるか、という自問が弱くなる。
まさに、「ミイラ取りがミイラになる」になってしまうのだ。

マニュアル屋さんのとこでは、こうしたミスを防ぐために3人体制でチェックをしているのだが、
この3人目、最終校正者のところで厳しい指摘を受ける。
「これは具体的にどういうことですか?」
マニュアル屋さん、答えに詰まる。“しまった!”と青ざめる。
「スミマセン。見逃しました」と平身低頭謝る。
このシーン、実はマニュアル作成ごとに繰り返されている。
成長がない、マニュアル屋さん。反省しきり、である。

あーぁ、毎日ホントシンド!


■作成・活用事例 ~ 株式会社クオーレ ホームページ
■マニュアル作成のヒントが満載! 「マニュアル工房」 (無料サンプルもあります)


工藤正彦 著作

『成功したければマニュアルどおりにやりなさい。』(実務教育出版) 2015年

この記事を書いたプロ

株式会社クオーレ [ホームページ]

経営コンサルタント 工藤正彦

東京都新宿区矢来町24-3 マリオン神楽坂2F [地図]
TEL:03-5261-2294

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
スタッフのつぶやき
イメージ

このところ、マニュアルの改訂の仕事が続いています。マニュアルは一度作って終わりではなく、本当に使えるマニュアルにするには、定期的な改訂が必要です。改訂...

工藤正彦 著作
イメージ

産業能率大学通信教育講座  「仕事の見える化 マニュアル化」受講期間 2か月受講料  19,440円■主な対象者 ・マニュアルを作成する機会のある...

 
このプロの紹介記事
株式会社クオーレの工藤正彦さん

マニュアルの力で現場を強化し、組織の文化を作る(1/3)

 マニュアル作成・活用専門会社である株式会社クオーレ。代表取締役の工藤正彦さんは、前職で教育用ビデオを制作するうち、マニュアルの重要性に気づいたと言います。「ビデオのマニュアルにあたるシナリオがよければ、映像の出来もよくなるとわかり、文書の...

工藤正彦プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

マニュアルの作成・活用・改訂で組織を改革!

会社名 : 株式会社クオーレ
住所 : 東京都新宿区矢来町24-3 マリオン神楽坂2F [地図]
TEL : 03-5261-2294

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-5261-2294

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

工藤正彦(くどうまさひこ)

株式会社クオーレ

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
習得すべき「基準」がない?
イメージ

「マニュアルは、自分たちが必要だと思わなければ、作っても使ってもらえない」と面と向かって言われたことが...

[ マニュアルとは? ]

マニュアル作成の落とし穴
イメージ

マニュアルに求められる“精度”とは、どんなレベルのことだろうか。一言で言えば、それは「再現できるかどう...

[ マニュアル作成のポイント ]

【朗報!】 業務マニュアルのつくり方が通信教育に!
イメージ

産業能率大学の通信教育の教材が、ようやく完成した。自分で言うのもなんだが、1年間に及んだ労作である。依...

[ マニュアル作成のポイント ]

マニュアルの成否を握るのは、徹底するチカラ
イメージ

「重要なことは、ただやるのではなく、『やり切る』こと。 一つのことを徹底するチカラ、『徹底力』が問われて...

[ マニュアルの活用と成果 ]

マニュアル作成の時間を保証する
イメージ

マニュアルを作成する、原稿を書くという作業は、膨大なエネルギーと時間、そして集中力を必要とする。経験...

[ マニュアル作成のポイント ]

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ