コラム

 公開日: 2017-12-19 

夫に先立たれ死別した苦しみ悲しみをどう乗り越えていくか

人生で起きる出来事のなかで配偶者に先立たれることは、最も辛いことです。若いうちに死別すればその悲しみもひとしおで、子どもの世話や経済的な不安もつきまといます。また、亡くなった配偶者に対しての後悔は尽きないものですが、自分を責めすぎてはいけません。
別離の悲しみから抜け出すには時間が必要です。焦らずに、必要な時は周りの人にサポートをお願いしてください。

本当に愛せていたか後悔しがち

大切な人を失ったときには、誰もが打ちひしがれ、例えようもない喪失感を味わいます。親が亡くなれば過去を失い、配偶者が亡くなれば現在を失い、子どもが亡くなるときは未来を失うと表現されます。

とりわけ、配偶者を亡くすということは辛いものです。人生で起こる出来事のなかでも、失業や夫婦別居、離婚よりもストレス強度が高いトップの項目となっています。結婚して一生添い遂げると決めて、まだまだこれからというときに、別れが来ることは耐え難い苦痛となります。

しかし、亡くした時期や状況、夫婦関係によって受け止め方は変わってきます。特に年齢の若い夫婦の場合では遺された人の死亡率が高くなるという調査結果も出ています。これは、夫婦の歴史が短いほど配偶者の死の衝撃が大きく、乗り越えられずに心身ともに衰弱してしまうことがあるということの現れかもしれません。

とはいえ、夫婦の歴史が長い夫婦であっても、一緒にいることが当たり前の存在、空気のような存在だった配偶者を亡くした衝撃は大きく、歴史が長い短いで比較できるものではありません。

亡くした人との関係が深く、気持ちが通じ合っていたほど亡くした辛さは増します。そして、ことあるごとに頼りにしていた場合は、別離の悲しみだけではなく生活する上でのさまざまな事柄で困難が生じます。夫を亡くした場合は、死別の喪失感のなかで、車の運転や力仕事など慣れない作業をこなさなければならないことも大きなストレスとなります。

若くして夫を亡くした場合、子どもがまだ手がかかることが多いものです。自分の仕事に加えて子どもも一人で育てなくてはならず、家計を支えるのも自分だけ。母親業だけでも大変なのに、父親の役割まで課せられます。専業主婦で収入がなかった場合は、仕事を探すことから始めなければなりません。小さな子どもを抱えた母親は公的な補助に頼らざるを得ないことも出てくるかもしれません。

妻を亡くした夫の場合でも、家事や食事の支度、ご近所とのお付き合いなど慣れない作業をこなさなくてはならなく、大きなストレスとなります。子どもが幼いうちに妻を亡くせば、子どもの世話をしてくれる先を探し、そのお金の心配もあります。子どもと一緒に過ごす時間の短さも無視できない問題です。

配偶者を失うと絶望や悲しみなどさまざまな感情が襲ってきます。頼りとしていた配偶者を失うことは、自分の半分がもぎ取られるようなものです。そのため、ふだんは配偶者を失う可能性を考えることを避けています。つまり配偶者の死について心の準備ができている人はだれ一人としていません。

それゆえ、配偶者の死に直面し解決できていなかった問題が必ずといっていいほど出てきます。例えば、「生きているうちにもっと優しくしてあげればよかった」「愛情表現をすればよかった」「もっと看病してあげればよかった」といった後悔です。予期していなかった死であるほど「こうしていれば」「ああしていれば」と後悔の念が吹き出してくるものです。

後悔の気持ちを感じることは自然なことです。配偶者が亡くなってしまうと、もう取り返しがつかないと思い込み苦しんでしまいます。

しかし、第三者からみれば自分を責めすぎていることがあります。誰しも完璧に思いを伝えることはできません。生きていた時、できる限りの方法で気持ちを伝えていたことを思い出してください。

また、もっとこうしてあげていればよかったと思うことも、その時できることの最大限のことをしてあげていたはずです。自分は、その時の精一杯のことをしていたと認められる日が来ることを焦らず待つことも必要です。

どのように活力を見出していけばいいか

遺された配偶者にとって、絶望や喪失感から抜け出すには時間がかかります。特に死後間もない配偶者にとってはいくつかの注意点があります。

まず、亡くなった配偶者のことを話したくない時期があります。また、配偶者のいる人の話は聞きたくなく、意見を聞き入れられない時期もあります。人をうらやんでしまうことも自然な反応ですので、自分はおかしいなどと思わないようにしてください。

人によっては死別の辛さを忘れようと、仕事や趣味に打ち込むことがあります。何かに夢中になることで自分を支えることにもなりますが、無理が続くと体と心が悲鳴をあげることにもなりかねません。あまりにのめり込み過ぎているのならば、一度立ち止まることも大切です。

このような普通の精神状態ではないときに、重大な決断をしなくてはいけないことがあります。慎重な判断ができないので後で困ったことになることもありますので、周囲の人に助けを求めることも必要です。

これは人によりますが、暴飲暴食やお酒におぼれるケースもみられます。とりわけ妻を亡くした男性は食生活が乱れ健康を害しないよう気を付けなくてはなりません。また、喪失感を埋めるためになにかに依存してしまうケースもありますので、気を付けなくてはなりません。

また、配偶者が亡くなった原因にこだわりすぎることも、ときと場合によりますが心と体に負担がかかります。

納得できる原因もありますが、ほとんどが納得できない原因のはずです。それでも、必要以上に原因を追及していては、心が参ってしまいます。亡くなった配偶者に向けていた気持ちを、少しずつ未来に向けていかなければなりません。それは決して愛する人への愛情を断ち切ることではありません。愛情を保ちながら、周りの人々にも愛情を向けるようにしましょう。愛する人を悼む気持ちを抱きながらも、日常の生活にも関心を示し、社会的な活動も始めることで、再び立ち上がれる日がやってきます。

死別の悲しみの中にいる時は、周りが支えようとしても人を避けるような気持ちが強く出ることがあります。本来は避けたくて避けているのではなく、これ以上傷つくのを避けるために、距離を置いてという方が正しいです。一番辛い時期には、人を拒否することもあるということを覚えておくと必要以上に自分を責めなくてすみます。

悲しみが大きいほど、それは、それほど深く配偶者を愛していた証です。
そして、時間をかけて死別の悲しみを乗り越えた先には、新しい世界が見えてきます。悲しみを乗り越えた人には、深い思いやりの心が芽生えます。同じような悲しみを抱えた人の気持ちに寄り添うこともできるでしょう。悲しみは、周りの人々への愛の大切さも教えてくれます。

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