コラム

2016-08-22

認知症の人を心配しすぎると能力を奪う可能性がある

先日、70代後半の男性が認知症の奥様のことについて相談にみえたときの話です。

認知症を発症してから5年、今まで家族で介護をしてきたそうですが
この1年ほどで認知症が進み周りから介護保険の申請を勧められたとのことでした。

最初は電話で相談を受け、その日のうちにご自宅へ訪問させていただきました。

ご自宅でもご主人が同じようなお話をされたのですが、奥様もじーっとその話を座って聞いていました。
ご主人は奥様の前でも「認知症」という言葉を何度も使い、奥様はとても緊張した顔をされていました。

私がご本人と色々お話をさせてもらいアセスメントしたところ、まだ初期だろうと思われます。

初期は自分が今までの自分と違うことが分かっています。

その奥様も「自分でもね、色々忘れてしまうし、できないし、もどかしい」と話されていました。

最初はあまり話してもらえなかったのですが
ゆっくりじっくり待っていたら、ご主人がいなくなったときにボソッと話してくれました。

「みんなに迷惑をかけているのは分かってる。でも私だって一生懸命やっている。心配なのは分かるけど、あんなにいつも見張られたらプレッシャーで何もできない」

あぁ、やっぱりな…と思いました。

ご家族はもちろんただ純粋に心配しているんだと思います。
ですが、失敗しないように…事故が起こらないように…、と思うあまり
まだたくさん残っている奥様の能力を使う機会を奪い、知らず知らずのうちに奥様を追い詰め
「見守られている」ではなく、「見張られている」と感じさせてしまっているのです。

介護現場でも同じです。
「見守り」が、「見張り」になってないか常に意識する必要があります。

このご夫婦に関して、まず今回は介護保険の申請をしてもらいました。

これからどのように介入していくか検討ですが
奥様はまだまだできることがたくさんあるので自信を取り戻してもらえる何かを考えていかなければなりません。

そして、ご主人にもご本人の辛さを少しずつ理解してもらう必要があると考えています。

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看護師・準看護師 市村幸美

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