コラム

 公開日: 2014-10-28 

不動産売買 トラブル相談例⑨【取引の注意点:瑕疵担保免除の覚書】

不動産取引に関して、以前に比べて明らかに業者に悪意のあるトラブルは減っていますが、
それでも未だに耳を疑うような無知・無謀な契約を推し進める業者もあるようです。

多くの不動産購入者は、不動産取引や宅建業法といったことに触れる機会も少なく、
それを生業としている宅建業者の言うがまま契約が進んでいることも少なくありません。

常識の範囲で進んでいれば良いのですが、相談を受ける中には、法律を知らないのか
または知っていてもそれを意に介さず、業者に有利な条件を推し進めていくスタンス
としか思えない、下記のような相談内容がありました。


□質問

この度、築100年の古民家を購入することになりました。
10年くらい前にリフォームは済んでいるようです。

当初は現在居住している売主から直接購入することとし、
かなり古い物件であることも考慮して、瑕疵担保は付けないこと
として話が進んでいました。

ところが、事情があって一旦不動産業者が売主から購入し、
それを改めてこちらで買うことになりました。
これにより、売主が業者となったことから、2年の瑕疵担保を
付けなければならなくなっています。

業者の方からは「瑕疵担保はないものとして扱う」という覚書を
結びたいという申し出がありました。

経緯を踏まえると止むを得ないかとも思うのですが、いろいろ解説を読むと、
業者が売主の場合、2年の瑕疵担保は絶対であるようにも思われます。

以上を踏まえて、このような、「瑕疵担保はないものとして扱う」という
覚書は有効でしょうか。


また、別途「いろいろ不具合があるかもしれないことを理解して契約する」という
覚書の案もいただいています。

これにより、瑕疵担保責任を問わないということを約束したことになる、
と言うのですが、これは有効になるのでしょうか。




結論から申しますと、売主が宅建業者の場合、瑕疵担保責任を免責とする
特約は無効です。

「いろいろ不具合があるかもしれないことを理解して契約する」という覚書も
無効ですから、瑕疵が発見されれば、宅建業者には瑕疵担保責任が生じます。

また、このような契約内容にすることは、宅建業者として公正な取引を害する行為
となる可能性も高く、指示処分などの対象にも成りかねない行為です。


瑕疵担保の期間は、おっしゃる通り、「引渡しから2年」が一般的です。
但し、売主が宅建業者でありながら、今回のように買主に不利となる
特約(瑕疵担保責任の免責)を設定した場合、民法の発見(引渡しからではありません)から
1年として扱われます。

本来、民法では発見してから1年となっていますが、発見するのが遅くなれば、
かなり長期間瑕疵担保責任を追及されることになる為、宅建業者は宅地建物取引業法
第40条の特則である、『引渡しの日から2年』と設定していることが多いです。

この業法の特則がより、買主に不利となる内容(引渡しから2年より短い等)は、
業法の特則(渡しから2年)自体が無効となるので、民法(発見から1年)となります。


しかし、売主が宅建業者でも、瑕疵担保責任として請求できないケースもあります。

例えば、中古物件というこうとで、建物や付帯設備には経年変化や、使用に伴う性能低下、
傷、汚れ等があると考えられますが、¥そういった部分は売主の保証の対象とは
ならないことが多く、電気、ガス、水道等設備機器類及び建具等の調整は買主の
負担となります。

瑕疵担保責任の対象となるのは、雨漏り、シロアリの害、建物の構造上主要な部位の
木部の腐蝕、給排水設備の故障の瑕疵の隠れたる瑕疵についてのみという内容が
一般的です。

また、『隠れた瑕疵』ですので、買主側が知っていたこと(告知されていたこと)については、
瑕疵を知った上で購入したとして、瑕疵担保責任の対象ではなくなります。

覚書の中身が「漠然とした瑕疵担保責任免責」の内容でなく、「具体的な瑕疵を告知する
もの」かどうかで意味合いが変わりますから、どのような内容か確認が必要です。


また、民法上の瑕疵担保責任は、発見から1年未満でも請求できない可能性もあります。

瑕疵担保責任による損害賠償請求権ですが、民法の発見から1年については、
債権の消滅時効により消滅すると判断された判例などもあります。

引渡しの日から10年経過することで、発見してから1年経っていなくても、
瑕疵担保責任が請求できないとされる可能性があります。

こういった場合、売主業者としては、将来的に瑕疵担保責任は追及されないと
考えているでしょうから、それが突然、責任を請求されれば、すんなりとは責任を
果たさず、モメる可能性も危惧されます。
最終的に売主に責任が生じる場合でも、精神的にストレスとなることも想像できますから、
やはり責任の帰属先などの契約条件は、しっかり認識し合っておくに越したことはない
でしょう。

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