コラム

2012-12-24

不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【25:角地緩和が使えない角地】

不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴
【不確定な契約条件の注意点/角地緩和(建蔽率10%アップ)が使えない角地⑤】



今回は、建蔽率の角地緩和が利用できる土地でありながら、

緩和(建蔽率10%アップ)の利用が意味を成さないケース、

また、別の縛りで結局利用できないケースをご紹介します。



今までにご紹介した建蔽率適用の要件をクリアした物件であっても、

建物の建築には様々な法規制が絡んできます。

現行法ではないものでも、将来的に都市計画決定され、

建築に影響を与える場合もあります。




まずは、地区計画による制限です。

地区計画とは、まちづくりの全体構想を定め、
その地区の目標や整備、開発、保全の方針を定めたものです。


良く見る制限の内容には、容積率、建蔽率、高さ、壁面後退、

意匠、緑化などへの制限をかけていることが多いです。


画像にあるのは世田谷区のある地区計画の制限内容です。









もともとの建蔽率は60%で、本来、角地なら70%が適用できる地域です。

しかし、地区計画によって40%までと制限されていいます。

緑化基準などの要件を満たせば40%以上適用できますが、

50%までや、角地でも60%までです。

角地であっても、70%(10%アップ)が利用できる訳でなく、

もともとの建蔽率と変わりません。


この地区計画での制限は、現行であれば契約時に説明されたり、

建築プランを検討した際に分かり、実際の建築可能なボリュームも

でてくると思います。



地区計画で注意したいのは、今は制限などないが、

将来的に都市計画決定される可能性がある地域です。


例えば、地区計画内でも制限のあるエリアと無いエリアに

分かれていることもあります。

参考プランを作ったときに制限が無ければ、+10%で図面を

引くでしょうが、一応は同じ地区計画区域内なので、将来的に

制限がかかってくる可能性はあります。


また、現在は地区計画までなっていないが、

ルールづくりを地区関係者とともに検討して、

将来的に都市計画決定させていこうと動いている

地域もあります。



このように、現行法としてかかっていない制限は

説明をされなかったり、購入判断に問題がありそうと

思われれば意図的に隠されることもあるかもしれません。

建築プランにも、将来的な制限までを考慮した

建替えプランの図面ではないので、今現在ない制限や規制は

反映されません。



地区計画は住民の合意に基づいて計画されていくものなので、

将来的に定めていく動きをしている地域かどうかの確認にも

注意が必要です。



次に、風致地区による制限です。


画像にあるように、建蔽率、高さ制限、壁面後退御と、

地区計画に似た制限があります。


ここでも、40%まで制限さています。










そして、建蔽率もそうですが壁面後退もあります。

概略図のような整形地でなく、

例えば、幅7m、奥行10mの縦長形状の敷地70㎡の土地の場合、

制限通り建物壁面を、道路側2.0m:他の部分1.5m、境界から離して

建築しようとすると、建築出来るスペースはMAXでも26㎡という

ことです。

70㎡の敷地に対して建蔽率が40%(28㎡)におさえられていますが、

壁面後退によって、実際は26㎡まで更に制限されているということ

になります。



狭い土地なら加味して道路側1.5m:他の部分1.2mに緩和するなどの措置も

取っているケースがあるようですが、許可申請が必要なことなので、絶対ではない

ですし、敷地の形状によっては、やはり建築面積がほとんどない状況にもなります。



前回までの建蔽率適用の要件が整っていても、他に建蔽率に触れている規制や、

直接的でなくても、壁面後退による建築スペースの制限など、定められた建蔽率の

利用を不可能とする間接的な要因はないか、注意が必要となります。



先に解説した地区計画にも、壁面後退はあります。緑化によって緩和は可能ですが、

緩和後でも、敷地形状によっては更に建築スペースを制限し、実際に定められている

建蔽率ですら、利用できないことも発生しかねます。





他には、中古物件なら建替え時の建築可能なスペースどうか、

都市計画道路や区画整理の市街化予想線などが本地にかかって

いないかも、建築可能なボリューム、また建築可能な土地スペース

での認識の違いを招きやすいので注意です。



中古戸建ては、同じ規模の建物を再建築できると勘違いしがちです。

しかし、古ければ古い程、現行の法律に適合していない、「既存不適格」

であったり、建築当時から法律関係を守っていない「違反建築」であること

が多いです。


すると、建替え時は今の法律に沿って建築されますから、中古戸建て

と比べて土地自体が狭くなったり、それに伴って建蔽率や容積率の

上限も少なくなることがあります。


よくあるケースがセットバックです。


建物を建築しようとする際、接道する道路は幅員4m以上が必要です。


4m以下の場合、セットバックといって、自分の所有部分でも、道路中心から

2mまで敷地を後退させ、道路としなければいけません。


そのセットバック部分は、誰が所有していようと道路としての利用に限られます。

建築面積にも算入できません。



60㎡の土地を購入しても、セットバックが15㎡必要になれば、有効宅地面積は45㎡です。

60㎡に対して建蔽率60%(角地70%)なら、建築面積36㎡(角地42㎡)ですが、

有効宅地面積は45㎡に対しては、建築面積27㎡(角地31.5㎡)が上限となります。


概略図と同じ規模(建築面積40㎡)の再建築を考えていても、実際は4分の3くらいの

ボリュームとなりますので、有効宅地面積はどうかの確認に注意が必要です。












同じように、利用できる敷地を持って行かれるパターンとしては、

都市計画道路や区画整理の市街化予想線などが本地にかかっていないか

というポイントがあります。


簡単に言いますと、「あなたの土地のこの部分を道路にします」と、

都市計画決定されている部分が本地に無いかの確認です。

画像のように、本地にその計画線や市街化予想線という、道路にする予定ラインがあれば、

事業決定、道路整備に伴い自分の土地として利用できなくなることがあります。












事業中という部分もあれば、優先整備路線などの近々道路になるだろう部分もあります。

計画決定のみで、いつ事業化されるか分からない部分も数多くあります。計画決定のみの場合、

「ここはまだまだ先です」とか、「おそらく事業化はできないと思います」といった説明を業者は

することもあると思いますが、実際はいつ事業化されるかなんて分かりません。





土地が狭くなることは、物理的にも法律上の計算式としても、建築できる建物が

小さくなるということです。



そして、建物を建築出来るスペースは、所有している土地の上なら

どこでも良いと言う訳ではありません。

その土地の中で、見た目には出ていない法規制で更に狭められます。


その法律、条例による制限や規制を宅建業者などがひとつひとつ説明してくれても、

総合的に建築可能な建蔽率、容積率、高さなどまで検証し、解説できる宅建業者

宅建主任者は案外少ないものです。



角地緩和とは若干離れた内容にもなりましたが、「建てたい家が建つかどうか」が

大切です。 最終的に、総合的にどれだけの規模の建築ができるのか、現行法での

検証や建物プランの作成をして判断してみましょう。



次回は、角地緩和の利用ができない実例の話です。



尚、建築可能な建物の規模に関しては、斜線制限・高度地区・日影規制等により

建築制限を受け、角地緩和の利用未利用に限らず1割増の建蔽率利用が出来ない

場合がございます。特定の敷地に対する建築可能な建物規模については、

建築士等の専門家との打ち合わせが必要です。


この記事を書いたプロ

株式会社 アドキャスト [ホームページ]

不動産コンサルタント 藤森哲也

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